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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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第88話 歴史書。

目的地である図書館へと辿り着き、その巨大な施設の中へ足を踏み入れた瞬間、ディアブロは目の前に広がる光景に思わず息を呑んだ。


視界の端から端まで埋め尽くすように並べられた無数の本棚に一つ一つ隙間なく収められた膨大な書物が壁のように連なり、見上げるほど高く積み上げられている。


その光景は圧倒的な威圧感を放ち、ただ立っているだけでも飲み込まれそうなほどだった。


紙とインクが長い年月を経て混ざり合った独特の香りが空気に溶け込み、鼻腔を抜けるたびに歴史そのものを吸い込んでいるような錯覚を覚え耳に届くのは紙を捲る微かな音だけで、空間全体が静寂に支配されていた。


まるで知識そのものが形になった世界のような‥‥そこに立つだけで、別の世界へ迷い込んだような感覚を抱かせる場所だった。


「どう?気に入った?」


隣に立つ水瀬が、少し得意げな笑みを浮かべながら尋ねる。


その問いに対し、ディアブロは口元を吊り上げた。そして両腕を大きく広げ、この空間全てを抱き締めるように短く言い放つ。


「最高だ。」


その一言には隠しきれない興奮が滲んでいた。


「満足してもらえてよかった。で、どうする?何処から見ていく?」


この図書館には四千万冊もの本が保管されている。当然、一日で全てを見て回ることなど不可能だ。調べたい分野や興味のあるものを絞り、その中から重点的に見ていくしかない。


だが、それだけの量の中から目当ての本を探し出すのは簡単ではない。だからこそ水瀬は、自分が案内役となって本を探すつもりでいたが、ディアブロの返答はあまりにもあっさりとしていた。


「別々でいいだろ。お前も気になることぐらいあるはずだ。なら別々に見た方が効率もいい。それじゃあな。」


そう言い残し、ディアブロは一切振り返ることなく歩き出した。


「ちょっと!!」


慌てて声を上げた水瀬だったが、ディアブロはそれを気にも留めず、そのまま本棚の奥へと消えていく。


追いかけることも出来たが、水瀬はその背中を見送ると小さく息を吐いた。そして結局、その言葉通りに自分も自由に本を探すことにした。


元々、水瀬はディアブロと関わる以前から学習意欲が非常に高く、少しでも空き時間があれば学校の図書館で本を借りて読むほどの読書家でもあったので、この常識外れの蔵書量を前にして平静を装ってはいても、胸の内では確かな高揚感が渦巻いていた。


ディアブロほど露骨ではないにせよ、この場所に心を躍らせているのは水瀬も同じであったのだ。


◇


水瀬と別れたディアブロが真っ先に向かったのは、この世界の歴史を記した書物が集められている区画だった。


そこには年代別、地域別、国別、種族別と細かく分類された歴史書が果てしなく並んでいる。それだけでも数千冊を優に超えており、その規模だけで普通の図書館とは比べものにならないことが分かる。


子供でも理解しやすい漫画形式のものから、研究者向けに細部まで記された専門書まで種類は様々だった。


その中からディアブロが手に取ったのは、『世界の歴史書1』と刻まれた分厚い一冊だった。


革張りの表紙は古びていながらも重厚感があり、その厚みだけで中に記された年月の重さを物語っている。


ここに全てが記されている‥‥俺が死んでからの世界の‥‥歴史が分かる。


ディアブロの瞳が僅かに細まった。


自らの死によって世界がどう変わり、その後どのような道を歩んで来たのか。その全てを知ることが出来るかもしれない。


胸の奥に燻り続けていた空白を埋めるように、ディアブロは静かに本を開く。


そして、一文字たりとも見逃さぬという執念を宿した目で、その歴史をゆっくりと読み進めていくのであった。


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