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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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第56話 覇王でも勝てない相手。

「で、どうしてお前の家に俺はいるんだ?」


呆れを隠そうともしない声を漏らしながら、ディアブロは水瀬の家のリビングを見渡した。


前回この家へ来た時は、水瀬母の強引な勢いに押し切られる形で半ば無理やり招き入れられたのだが、今回は違う。今回はベガと結奈が「せっかくなんだから」と妙に乗り気で話を進めた結果、気づけば当然のように水瀬家へ連れて来られていたのである。


「いや、だってね。せっかくいいお肉が手に入ったんだから、今日食べないと勿体ないでしょ?」


「そういうことじゃない。俺が聞いているのは、何でお前の家なのか?ということだ。別に食べるだけなら他の場所だってあっただろ。わざわざ家に来る意味が分からないと言ってるんだ。」


ディアブロは眉を顰めながら深々と溜め息を吐くが、水瀬はどこ吹く風といった様子で鼻歌混じりに食材を並べており、その姿を見ているだけでディアブロの胸中には嫌な予感しか湧き上がってこなかった。


すると、その時だった。


玄関の方から勢いよく扉が開く音が響き、その直後――


「ただいまーー!!」


元気いっぱいな子供たちの声が家中へ響き渡った瞬間、ディアブロの表情は目に見えて強張り、次の瞬間には周囲を見回しながら本気で身を隠せる場所を探し始める。


もちろん、それは”女の家に男がいるところを見られたくない”などという甘酸っぱい理由ではない。ディアブロがここまで水瀬の家へ来たがらなかった理由が、今まさに帰って来た存在だった。


以前、この家で食事をしたあとのことだ。


水瀬の弟たちはディアブロを完全に気に入ってしまい、“本を読んで”や“一緒に遊んで”はまだ序の口で、“お馬さんになれ”などという無茶苦茶な要求まで次々と飛んで来たのだが、本人たちには一切悪意がないからこそ余計に厄介だった。


当然、ディアブロは覇王としての威厳を持って断固拒否したのだが、そんなものが子供相手に通用するはずもなく、結局は泣かれ、抱きつかれ、腕を引っ張られ、最後には強引に遊びへ巻き込まれることとなり、生涯を通して数え切れない強敵と戦って来たディアブロですら、あの時ばかりは子供特有の無邪気さというものに本気で恐怖を覚えていた。


だからこそ、ディアブロは水瀬の家へ来たくなかったのだが、来てしまった以上もう遅く、しかも子供たちが母親と共に帰宅した時点で、もはや逃げ場など残されていなかった。


「「あーー!! 春宮だ!!」」


次の瞬間、子供たちは獲物を見つけた肉食獣のような勢いでディアブロへ突撃してくる。


「ぐへぇ!!」


と腹部へ勢いよく飛び込まれたディアブロは、人生で初めて情けない悲鳴を上げながら身体を大きく揺らし、そのまま両腕へぶら下がられ、服を引っ張られる。


「遊ぼう!」


と何度もせがまれた結果、結局はベガ共々、子供たちの遊び相手として延々と付き合わされることとなった。


◇


「‥‥酷い目にあった。」


疲れ切った顔でソファへ沈み込みながら、ディアブロは心底うんざりしたように呟く。


食事を終えた子供たちは、満腹感と遊び疲れもあってか食後すぐに眠気に襲われ、そのまま静かに寝息を立て始めた為、ディアブロは今しかないとばかりに気配を消しながら立ち上がり、このまま子供たちが起きる前に帰宅しようとすると背後から――


「今日は泊まって行ってください。」


と水瀬母があまりにも自然な口調でとんでもないことを言ってきた。


その言葉を聞いたディアブロは、ゆっくりと振り返りながら数秒沈黙したあと、心の底から理解出来ないと言わんばかりの表情を浮かべる。


「‥‥何故そうなる。」


と、本気で困惑した声を漏らすのだった。


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