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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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第44話 追及と沈黙。

穴の最深部に無事に辿り着き、この場所には今のところ危険が存在しないということが分かると、綾小路は休む間もなく周囲の調査を開始した。


巨大な空間の各所へ鋭い視線を走らせながら何かを確認するように歩き回るその姿には、探索者というより未知を追い求める研究者のような執念が滲み出ており、他のメンバー達もその空気を察したのか、余計な口を挟むことなく自然と待機へ回っていた。


そんな中、ディアブロは索敵を引き受ける形で他のメンバーから少し距離を取り、巨大な岩壁へ背を預けるようにして腰を下ろしていたが、その姿には未知の場所へ辿り着いた人間特有の緊張感はほとんど存在せず、まるでこの空間そのものを既に知っているかのような異様な落ち着きが漂っている。


空間全体には地上とは明らかに異なる重苦しい静寂が広がっており、耳を澄ませば遠くから微かに風が抜けるような低い音だけが響き続け、その静けさが逆にこの場所の不気味さを際立たせていたが、ディアブロはそんな異様な空気に飲まれることもなく、ただ静かに目の前の暗闇を見つめ続けていた。


そして――そんな彼の様子を興味深そうに観察していた火神が、ゆっくりとディアブロへ近づいて来る。


「‥‥あんたは全く緊張とかしてなさそうね。」


火神はディアブロの仮面を覗き込むようにしながら言葉を掛けるが、ディアブロは一瞬だけ火神へ視線を向けただけで、特に返事をすることなく再び正面へと視線を戻し、その態度からは相手に興味を示そうとする気配すら感じられない。


そんな素っ気ない対応に呆れたのか、それとも半ば予想していた反応だったのか、火神は小さく「はぁ‥‥」とため息を漏らしながらディアブロの隣へ腰を下ろし、そのまま横目で彼の様子をじっと観察し始めた。


「ねぇ、正直に答えて欲しいんだけど‥‥あんたって、この場所に来たことがあるでしょ?」


その問い掛けに含まれていたのは、相手を揺さぶる為の軽い探りなどではなく、本心から来る純粋な疑問と確信に近い感情であり、火神自身が本気でそう考えていることは、その真っ直ぐな視線を見れば嫌でも理解出来た。


ディアブロからすれば、この問いを無視すること自体は難しくない。だが、完全に無視を貫けば、それは逆に“何かを知っている”と相手へ余計な確信を与えることにも繋がりかねず、だからこそディアブロは僅かに肩を竦めるような仕草を見せながら――


「さぁ、何のことを言っているのか分からん。」


そう言って、とぼけるようにしらを切った。


そもそも火神は、ディアブロがこの場所を知っているという決定的な証拠を持っているわけではなく、あくまで違和感と勘から来る疑念を抱いているだけに過ぎない以上、下手に認める必要など何処にも存在しない。


「まぁ、そうよね‥‥簡単に認めないわよね。でも、申し訳ないけど私的にはかなり確信を持っているわ。この場所について、あなたは何かを知っているってね。」


火神はそう言いながら、まるで相手の僅かな反応すら見逃すまいとするかのようにディアブロの横顔を見つめ続けるが、その視線を真正面から受けてもディアブロの態度が揺らぐことはなく、仮面の奥から漂う空気だけが静かに周囲を威圧していた。


「ふん。なら逆に聞くけど、仮に俺がこの場所を知っていたとして何か問題があるのか?今回に関しては俺もお前も依頼を受けた側で、大した被害も出ていない。依頼者から何かを言われるならまだ分かるが、同じ立場であるお前からどう思われようとも、何を言われようとも‥‥どうでもいい。


俺がこの場所について知っていると思いたいなら、勝手にそう思っておけばいい。」


ディアブロはそう言い切ると、ゆっくりと火神へ視線を向けたが、仮面越しで表情が見えないにも関わらず、その奥から放たれる圧のようなものだけは確かに存在しており、軽々しく踏み込めば危険だと本能へ警鐘を鳴らしてくるような迫力があった。


「へぇ~~つまり、それは‥‥この場所を知っていたことを認めるってわけね?」


火神はわざとらしく口元を緩めながらそう返すが、ディアブロはそれ以上言葉を返そうとはせず、そのまま静かに立ち上がると、これ以上この会話を続ける価値はないと言わんばかりに火神へ背を向けて別の場所へ移動し始める。


しかし、火神もそこで引き下がるつもりはないのか、当然のようにディアブロの後を追い掛け、その距離を保ったまま隣を歩き続けていた。


「‥‥何でついてくる」


ディアブロは露骨に面倒臭そうな声を漏らすが、火神は悪びれる様子もなく、むしろ当然だと言わんばかりに肩を竦めながら言葉を返す。


「あなたが本当のことを言わないからよ。ちゃんと本当のことを言うまで、何処までだって追いかけるから。」


その言葉を聞いたディアブロは小さく息を吐き、逃げ続けても無意味だと判断したのか、それとも単純にこれ以上相手へ付き合うこと自体が面倒になったのか、再び近くの岩場へ腰を下ろすと、そのまま静かに目を閉じ始めた。


その態度はまるで“好きにしろ”とでも言っているかのようだった。

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