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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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第37話 第一の試験は唐突に。

部屋へと足を踏み入れたディアブロは、余計な接触を避けるように壁際へと体を寄せ、誰とも視線を交わさないまま、静かに周囲へと意識を巡らせていく。


その視線は表面的な外見をなぞるものではなく、立ち方、呼吸の間合い、視線の動き、そして体の奥に宿る色に至るまでを見極めるようにして、集められた探索者たち一人一人を値踏みしていった。


これだけの人数が揃っていれば、たとえ僅かでも“使える駒”が紛れている可能性はあると、そんな前提のもとに行われる選別であったが、結果として映るのはどれも似たような無能ばかりでディアブロの求める基準には到底届かない人間ばかりであった。


――見込みはない。


そう判断した瞬間、興味は一切断ち切られ、ディアブロはゆっくりと目を閉じることで外界への関心そのものを遮断するのだった。


それからしばらくの時間が流れた頃、唐突に扉の施錠音が室内に響き渡る。


ガチャリ、と無機質な音を立てて閉じられたその瞬間に続くようにして照明が一斉に落ち、先程まで保たれていた明るさは嘘のように消え失せ、空間は一気に闇へと沈み込んだ。


予兆など一切なく起こったその変化は、だからこそ余計に際立ち、周囲の探索者たちは突如訪れた異常事態にざわめきを隠せず、落ち着きを失った視線をあちこちへと泳がせていたが、その混乱の中にあってもディアブロだけは静かに目を開け、迷いなくある一点へと視線を向けていた。


暗闇に沈んだ空間の中、本来であれば視認できるはずのない領域に確かな“存在”があった。それはステージ中央に立つ何者かが、この場に集められた全ての探索者を見下ろすようにして無言のまま観察を続けていた。


その気配は極限まで抑え込まれており、意識して探らなければ気付くことすら出来ないほどに薄められていたが、それはおそらく気配遮断系のスキルによるものでありながらも、ディアブロの感覚にとっては無意味に等しく、その存在は最初から“そこにあるもの”として捉えられていた。


そして――その何者もまた、自分の存在に気付いている者がいるという事実を理解していながら、それ以上の干渉を見せることはなく、動く気配も仕掛ける意思もないまま、ただ静かに“観ている”。


つまりこれは襲撃でも事故でもなく、最初から仕組まれていた“試験”であり、どれだけの者がこの異常に気付き、あるいは気付かずに終わるのかを測るための、極めて静かでありながら確実に差が生まれる選別だった。


やがて何事もなかったかのように照明が復旧し、部屋は再び元の明るさを取り戻す。


「すいません。今の停電はこちらのミスです。実は配電にトラブルが起こりましたので、試験会場を変更したいと思います。わざわざお忙しいところここに集まって頂いて申し訳ないのですが、このまま来た道を戻っていただき、入口で案内をしていた黒服たちから次の会場の場所を聞いてください。


――誠に申し訳ございません。」


丁寧に頭を下げるその仕草すらも全てが計算の内にあるものだったが、その違和感に気付く者はごくわずかで、ほとんどの探索者たちは表向きの説明をそのまま受け取り、不満を漏らしながらも指示に従って動き始めていく。


その中でディアブロだけは表情一つ変えることなくその流れに乗り、来た道を戻って入口へと向かうと、先程と同じ黒服の前で静かに足を止める。


「はい。あなたは、この場所に向かってください。」


差し出されたのは一枚の名刺のような紙片であり、そこに記されているのは次に向かうべき住所――ただそれだけだった。余計な説明は一切なく、必要な情報だけを渡してそれ以上は語らないという意図が明確に示されている。


ディアブロは何も言わずにそれを受け取り、視線を落として内容を確認すると、そのまま踵を返して指定された場所へと歩き出す。無駄な動きも迷いもなく、その行動には既に理解し切っている者の静けさがあった。


もちろん、たった今行われた一連の流れが第一の試験であったことも、自分がそれを通過したという事実も把握している。この先に待つのが第二の試験なのか、それともこれで全てが終わるのかは判断できないが、導かれる先が既に示されている以上、思考を深く巡らせる必要はなかった。


ただ一つ、胸の内に浮かぶ感情があるとすれば――それは“早く終わってくれ”という極めて単純な願いだった。余計な感情を挟むことなく、その思考だけが静かに残り続けていた。

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