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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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109/189

第109話 大人の祭りの始まり。

「ディア、お待たせ。」


ドレスコーデを終えた水瀬は、ディアブロですら"完璧"と評価せざるを得ないほどの変貌を遂げていた。


純白を基調としたドレスは彼女の細くしなやかな体のラインを美しく引き立て、歩くたびに幾重にも重なった生地が静かに揺れて優雅な余韻を残し、肩から首筋へと流れる白い肌は照明を受けてほのかに輝き、整えられた髪と控えめなナチュラルメイクによって、元から整っていた顔立ちはさらに洗練され、可愛らしさと大人びた美しさを同時に感じさせる存在へと変わっていた。


それはドレスに着られている少女ではなく自らの魅力でドレスを着こなし、その一着の価値さえ引き上げてしまうほどの気品を纏った。一人の女性がそこに立っていた。


「そ、そんな‥‥ジィーーッと見ないで‥‥すごく恥ずかしいから。」


探索者として『見られる』ことには慣れている水瀬でも、真正面から『見つめられる』ことには慣れていないらしく、耳まで真っ赤に染めながら視線を泳がせる。その仕草さえも、今の彼女には不思議なほど絵になっていた。


「何を恥ずかしがることがある。ちゃんと着こなせているぞ。もっと、自分に自信を持て。俺と出会ってから続けている"努力《美容》"の成果はちゃんと出ている。」


ディアブロは飾った言葉ではなく、事実だけを口にする。その一言にはお世辞など一切含まれておらず、純粋な評価だからこそ、水瀬の胸へ真っ直ぐ届いた。


「‥‥うん、分かった。」


照れくさそうに微笑みながら頷く水瀬の表情には、以前よりも少しだけ自信が宿っていた。


「さて、会場に向かうか。」


そうして二人はホテルを後にするとタクシーへ乗り込み、夜景に彩られた街並みを眺めながらオークション会場へと向かうのであった。


◇


「招待状の提示を。」


会場入口には黒いスーツへ身を包んだ警備員が何人も配置され、その周囲では金属探知機や身分確認が厳重に行われていた。一流ホテルを思わせる豪華さの中にも張り詰めた緊張感が漂い、この場所が選ばれた者だけに許された特別な空間であることを嫌でも実感させられた。


「これ。」


ディアブロが招待状を差し出すと、受付係は一瞬たりとも表情を崩さず内容を確認し、丁寧な動作で一枚の番号札を差し出した。


「確認しました。この20番が札になりますので、入札をご希望の場合はこちらを上げて金額を提示してください。そして落札が決まりましたら、現金またはクレジットカードでお支払いいただけます。では、オークションをお楽しみください。」


恭しく扉が開かれる。


その先に広がっていた光景に、水瀬は思わず息を呑んだ。


天井には幾重にも連なる巨大なシャンデリアが眩い光を降り注ぎ、真紅の絨毯が会場の奥に設けられたステージまで真っ直ぐ伸びている。壁には高級ホテルにも劣らない装飾が施され、各所には一流ブランドのスーツやドレスへ身を包んだ男女が静かに談笑していた。


その誰もが企業の重役、有名ギルドの会長、著名な探索者、芸能人、資産家とテレビや雑誌でしか見たことのない顔ぶればかりであり、この会場そのものが日本でも限られた人間だけが足を踏み入れられる社交場となっていた。


「ねぇ!!見て、あの人。超有名ギルドの会長!!その奥の人もモデルの!!その人も女優の!!ここにいる人たち、みんな凄い人ばかりじゃん!!私、こんな場所に来ていいのかな?」


驚きと緊張を隠し切れず、小声で囁く水瀬の瞳は忙しなく揺れ続ける。


「ジロジロと周りを見るなよ。この場所にいる全員が、自分が一番偉いと思っている。そんな場所で下手にキョロキョロすると、なめられる。堂々としてろ。」


「‥‥分かったわ。堂々としているわ。」


そう返事をすると、水瀬は一度だけ深呼吸をして背筋を伸ばした。


先ほどまで落ち着きなく動いていた視線は自然と前だけを向き、その立ち姿は先ほどまでの一般人らしい雰囲気ではなく、一流の社交場にも違和感なく溶け込めるほど堂々としたものへ変わっていた。


二人は用意された席へ腰を下ろし、静かに開幕を待つ。


会場全体には低い話し声だけが響き、高級な香水の香りと緊張感が入り混じる独特の空気が漂う。誰もが平静を装っているものの、その視線の奥には"必ず欲しい品を手に入れる"という強い執念が宿っており、まるで戦場を前にした猛獣たちが牙を隠しているかのようだった。


そして――バン!!と部屋の照明が一斉に落ち、会場は一瞬で静寂に包まれると、直後、一筋のスポットライトだけがステージ中央を照らし出した。


「皆様!!長らくお待たせ致しました。今宵の祭りを始めましょう!!」


司会者の高らかな声が会場全体へ響き渡ると同時に、客席から自然と期待の熱が立ち上り、ようやく特別な夜の幕が上がるのであった。

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