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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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第103話 スタンピードが終わる。

スタンピードが始まってから数時間が経過したが、ディアブロたちは与えられた持ち場で待機したまま、特にやることもなく時間だけを過ごしていた。


何故なら、ディアブロたちに与えられた役目はダンジョンから運び出される負傷者の救護や補助だったものの、肝心の怪我人がほとんど運ばれて来ないからだ。


周囲では探索者やギルド職員が慌ただしく動き回っているものの、自分たちの出番は一向に訪れず、張り詰めていた空気だけが静かに時間と共に緩んでいく。


「スタンピードって、聞いていた話と授業で習ったものとは全然違うのね。私が習ったスタンピードは、もっと悲惨でかなり被害が出るって聞いていたんだけど、あんたはどう思う?」


「さぁーーな。全く興味がない。」


「興味がないって、一応、私達も探索者なのよ?少しは興味を持ったらどうなの?」


そんな他愛もない会話を交わしていると、この場の指揮を執っていた「西川」が、張りのある声で再び全員を招集した。


「全員!!たった今、ギルドから『ダンジョン内のマナが安定した』と連絡があった!!」


その一言が意味するものを、この場にいた誰もが瞬時に理解する。


――スタンピードは終息したのだ。


本来なら歓声が上がってもおかしくない知らせだったが、ここに集められていた探索者たちは誰一人としてまともに戦っていない。肩の力は抜けたものの、素直に喜んでいいものか分からず微妙な空気が流れる中、ディアブロだけが淡々と口を開いた。


「じゃあ、もう自分達は解散していいんですか?」


「あぁ。ギルドからすぐに報酬が支払われるだろう。」


「そうですか。」


それだけ確認すると、ディアブロはそれ以上会話を続けることもなく、水瀬を連れてその場を後にした。


◇


《――二十層攻略中の暁の視点》


「周りはどんな感じだった?」


入口に残っていた「美空」と「夕実」が、戻って来た仲間たちへ真っ先にそう尋ねる。


「何処も一緒だな。全くと言っていいほどモンスターの気配は感じられない。」


入口周辺だけではない。


慎重に周囲を警戒しながら奥へ足を運んでも、普段なら必ず感じ取れるはずの殺気もモンスターの気配もまるで存在しなかった。静まり返った二十層は不気味なほどの沈黙に包まれ、このまま待ち続けても状況が変わるとは誰にも思えなくなっていた。


すると、やはりというべきか、誰よりも先へ進むことを望んでいた治が口を開く。


「なぁ?やっぱり進まないか?このままここに居ても状況は全く変わらないだろ?」


「だから、その話はさっきもしたでしょ?一旦は待機ってことになったじゃない。」


「いや、それは分かっているけどよぉ、実際、このまま何もしないでいるのは‥‥合わねぇんだよな。」


「そんなの知らないわ。」


二人のやり取りが続く中、それまで一言も発していなかった夕実が、小さく息を吐いて端末から視線を上げた。


「ギルドから連絡が来た。」


その一言で全員の視線が夕実へと集まる。


ようやく進軍命令が下るのかと期待する者、この不可解な状況の理由が判明することを願う者、逆に嫌な予感を覚える者と、それぞれ胸に抱く思いは違っていた。


しかし、夕実が静かに告げた内容は、誰一人として予想していなかったものだった。


「‥‥スタンピードが終わったって。」


その場は一瞬、水を打ったような静寂に包まれる。


誰もが意味を理解できず顔を見合わせるだけで、スタンピードの終息を知らせる連絡だとは、誰一人思ってもいなかった。


◇


《――ギルドの視点》


綾小路との話を終えたギルドマスターは、知ってはいけない事実を知ってしまったような重苦しい感覚を胸に抱えていた。


本来ならスタンピードの終息は喜ぶべき出来事のはずだ。しかし、胸に残った得体の知れない不安がその喜びを押し潰し、素直に安堵することが出来ない。


それでも、ギルドマスターとして仕事を放棄するわけにはいかなかった。気持ちを無理やり切り替えると、すぐに部下へ各所への連絡を指示する。


「はぁ‥‥あのバカ‥‥最後の最後で最悪のお願いをしてきやがった。」


綾小路と別れる直前、あいつは振り返ることもなく、そう言い残していった。


「俺はもう一度、あの穴を探索するつもりでいる。だから、お前も手を貸せ。もうこれで、分かっただろ?俺達には生き残る為には、あの穴の調査をしなければならないと言うことがさぁ。」


その言葉に、ギルドマスターは肯定も否定も出来なかった。


だが、綾小路もその場で返事を求めることはせず、「じっくり考えろ」とだけ言い残して立ち去っていった。


「はぁ‥‥どうするか?いや、答えはもう出てるな。」


誰もいない執務室でぽつりと漏らすと、ギルドマスターは窓の外へ視線を向ける。夕暮れに染まり始めた街を見下ろしながら、自らの覚悟を言葉にした。


「俺のやるべきは‥‥このギルドを守ることだ。」


その決意だけは、もう揺らぐことはなかった。


◇


こうして、多くの探索者を混乱と緊張に巻き込んだスタンピードは幕を閉じ、この一件で起きた問題もひとまず解決へと向かうのであった。

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