表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/64

更待月 ―― 納涼会への招待

 暑い。

 朝晩は比較的涼しいが都は盆地。昼間の暑さは現代とあまり変わらない。コンクリートや室外機の熱はないのでマシではあるが。庭の木には蝉が鳴き、さらに暑さを演出する。


 湯殿の隣、休憩室で暑さにやられてだらだら転がっているのは、世にも名高いかぐや姫、こと現代の女子大生、弥子である。


「エアコンほしい。せめて扇風機――」


 と、望んだ所で出てくるはずもなく。

 桶に水を張り、ベンチに座って足を浸し、首に濡れたタオルを巻き、柑橘系のジュースを飲んで暑さを凌ぐ。


 貴族たちは夏でも優雅に過ごすため、納涼会を行うこともしばしば。そして意外な人物がかぐやを納涼会に招待した。


「宮さまのお使いがきて、明日の夕刻、迎えにくるそうだ」


 浮き足立つ翁の話では、主催者は皇族の姫君、西の宮さまで、その使いの者が姫君の言葉を告げにきた。聞けば女子会なので御簾越しではなく、楽しくおしゃべりがしたい、と。


 皇族の姫君となると招待というより、召喚だ。断りの返事を書くことも出来ない。これは、宮さまからの無言のメッセージ。絶対に来るのよ、と。


「また、厄介な相手に目をつけられたものだ」


「ほんと、どうしてみんな放っておいてくれないんだろう」


 弥子はうんざりして溜息をついた。


 姫君の夏の装いといえば肌が透ける薄い絹を重ねたものが主流。ブラがないので、胸が透けて見える。


「普段、顔を隠すのに、胸は見られても平気って、不思議だわ」


「それで、どうするんだ」


「私は普段から下着付けてるもん。今回はちょっとお洒落に見せる下着にしたけど」


 じゃーん、と言いながら、紐を取り付けた桃色の胸当ての布を披露した。白く小さな花の刺繍が施されている。


 下着を見せられて、父は少々困惑気味。


「父親に下着を見せるなんて、恥ずかしくないのか」


「別に見せる下着だもん。あ、そうだ。お父さんは、今夜留守番ね」


「えっ」


「だって、他の姫はこんな下着付けてないんだよ。よそ様の娘さんの胸なんて見たら犯罪だよ」


「袂に隠れていればいいだろ。何があるのか分からないのに、娘を一人で行かせるなんて」


「だめ、留守番よろしく」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ