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空母 双龍 東へ  作者: 銀河乞食分隊
燃えるミッドウェー
33/62

ミッドウェー攻略戦 出撃

ようやく出撃です。


 準備は整った。

 今やらないと18年秋以降じり貧になるだけである。今でも苦しいが。

 ミッドウェー現地時間6月7日の上陸に都合のいい潮目に合わせて出撃する。

 本土に残した五千五百トン級軽巡や駆逐艦連中(二〇隻)からは連れて行けと言われたが、本土の護りを頼むと別れてきた。

 本当に全力出撃と言って良かった。

 これで負ければ、もはや手は無い。

 全員、悲壮な覚悟で臨んだ。

 

 ミッドウェー占領はしない。輸送船団はおとりだ。と軍令部は言うが、あいつらのことだ海戦で勝てそうになれば必ず無傷で占領をしろと言ってくるに違いない。

 艦隊司令部では、無視することにした。陸軍さんには誰一人かけること無く帰ってもらおう。

 陸軍には、占領はしても一時的な物。ミッドウェー要塞を爆破すれば撤収します。こう軍令部の奴も約束していた。

 約束は守らねばいけない。歩兵一個連隊、工兵二個大隊を無傷で返す。

 

 装備は時間の許す限り、最新の物や実績のある物を装備した。

 戦闘機は零戦四三型になった。一部だが。

 艦攻は天山が来た。赤城・加賀・翔鶴級三隻しか設備の関係で搭載できなかった。

 一部には開発中の増加試作機が来た。かなりの高性能という噂であった。

 

 電探は、一部の艦に新たに水上見張り用一二号電探が装備された。

 武蔵には射撃管制電探三二号が装備された。まだ実績は無いが、今回活躍してくれると思う。

 二一号電探が大きく重いため駆逐艦には装備できなかった。今回小型軽量の新型電探が完成し駆逐艦にも装備され始めた。二三号電探であった。


 機銃がようやく開発終了して配備されるようになった。初期ロットなので不具合があるが、抜群の性能(開発者曰く)らしい。


 出撃前、最後の陸上での情報確認ではハワイに大型空母三隻と新型戦艦三隻他巡洋艦・駆逐艦多数が確認された。

 軍令部では、空母は前回取り逃がした空母。戦艦はサウスダコタ級と言う事だった。確かに写真ではそう見える。電送写真なので通常の写真よりは不鮮明ではあったが、艦影の確認はできた。

 奴らマーシャルであれだけ失ったのにまだこれだけの数を出してくる。恐ろしい奴らだ。

 

 MI艦隊、参加全艦が択捉島単冠湾に集結する。

 ここから北廻りの大圏航路でミッドウェーに征く。おそらくアメリカの潜水艦もこの方面には来ていないだろう。だが、ミッドウェーから日本に偵察に来ると途中で見つかるかも知れない。

 どのみち、意図的にリークして6月7日の上陸予定は伝わっているはずだ。

 我が艦隊が壊滅的被害を受ければ、その時点で日本の負けだ。奴らもそれはわかっているだろう。決戦になるはずだ。


 指揮官と航海参謀・機関参謀全員が大和に集結し、最後の確認をする。これ以降は敵に発見されるまで無線封鎖だ。

 艦隊速力は十四ノットと確認された。これはすでに決定していたことなのだが念を入れた。

 輸送船達の巡航速力が十四ノットだった。これだけの艦隊だ。間違えると夜間に衝突とか、行方不明とかが出る。

 万が一低気圧にぶつかった場合の迂回航路と、迂回した分速力を上げ行程の回復を図ることも確認された。

 他にもいくつかの事項を確認していく。


 各空母の飛行長を始め航空参謀や空母艦長は、双龍に来ていた。へえー、ほー、これはなかなか、など存分に見学していた。暢気な物であった。


 中でも、艦橋前に設置された三十三mm単装機銃には興味津々で担当の陸軍さんを困らせていた。

「これ良さそうだな。今からでもうちの艦に来ないか陸軍さん」などと言って困らせていた。


 赤城と加賀の艦長からは、天山がでかくて二十センチ砲を撤去して作ったスペースを食い潰したんでまた搭載機数が減ったとか。


 零戦の四十三はいいぞとか。


 十四試艦爆はアレが最後だからな。大切だぞと言われた。

「うちの艦には来てないのですが、なぜ大切なのですか」


「ロールス・ロイスのエンジンだがあれで最後らしい。以降日本には入ってこないと言うことだ。性能は素晴らしいのにな」


「もったいないですね」


「本当だ」


 帰りの時間が来て、また呉でとか横須賀でと挨拶をして別れていく。見送った。



「夕雲抜錨」


「旗艦抜錨」


「抜錨」「碇上げ」本艦も碇を上げ湾外へと出て行く。


 泊地警備の駆潜艇や補給艦達に別れを告げ各艦一列で外海に出て行く。帰ってくるまで陸地は見えない。本艦もそうだが各艦とも手空き総員が択捉島を見納めかのように見ていた。


 航海は平穏だった。潜水艦らしき不振電波は無い。

 あと二日で作戦海面と言うところで不振電波を探知した。見つかった。だが、まだ潜水艦だ。航空機ではないので無線封鎖はされたままだ。


 日付変更線をミッドウェー北北西八百海里と言うところで超えた。

 ミッドウェーまであと少しだった。日本からはアメリカ軍の追加艦艇の情報は来ていない。だが居るとみた方がいいだろう。願いは空母が増えていないことを願った。


 作戦は、明朝6月5日、ミッドウェー島北東から一航戦、二航戦の攻撃隊が夜明け前に発艦。早朝ミッドウェー島を東から攻撃。飛行場をできれば使用不能にする。三航戦、四航戦は上空直援。以降、反復攻撃を行うという計画だった。

 敵機動部隊が発見されるまで、あるいは発見されたときまで行う計画だった。


 司令部では、軍令部発案のこの作戦はあまりにも稚拙であるとして変更を求めたが、変更されなかった。

 電探による見張り効果をあまりにも軽く見ていた。

 ただ、状況によっては変更もやむを得ず。と言う言質は取った。


 言質の一つを実行した。四航戦の空母、海鳳・天鳳を十九駆・八戦隊と共にMI攻略部隊の直衛に回した。

 昨日、不振電波を探知した。上空援護の無いMI攻略部隊が空襲されたら大損害が出る。当然の措置であった。武蔵は大和と合流した。 


 6月4日、MI艦隊から一機艦が分離し、ミッドウェー島北東に向かった。

 分離して数時間後、攻略部隊から至急電が入った。「ワレ敵機二発見サル」「電波使用自由」。

 この事態に司令部は困惑した。予定通りミッドウェー強襲か、攻略部隊の援護に向かうべきか。

 一航戦・二航戦からは攻略部隊援護という上申が発光信号で来た。

 

 そうだな、最初に決めた。陸軍さんを一兵とも欠けさずに帰すと。


 攻略部隊はミッドウェー島の西方向に向かって避退。一機艦はそれを援護すべく跡を追った。



 攻略部隊は二十ノットの速度で避退していた。二十ノットは陸軍を乗せた輸送船や補給部隊の出しうる最大速度であった。

 先ほどの敵機は盛大に無線を発信していた。四航戦から迎撃に向かったが所定の距離までに追いつけなかったという連絡があった。四発の大型爆撃機であったらしい。B-17だろう。

 四航戦が居なかったらまだこの上空に居座って、無線を発信し続けただろう。四航戦を分派してくれた一機艦に感謝だ。


 すでに軍令部の作戦要領は崩壊していた。あとは好き勝手にやらせてもらう。


 電探に機影は映っていない。今攻撃に来たら、ミッドウェーに帰る頃には夜だろう。夜間飛行と夜間着陸は敬遠したようだ。


 完全な強襲になってしまった。電探時代に奇襲の成功などまず見込めないというのに、軍令部のボケどもめ。

 先ほど一機艦から追随中と連絡が来た。やはり、近くにいた方が良いだろう。艦隊速力は先ほど機影が無いのを確認した時点で落としている。程なく合流できるだろう。

 


「初手は四航戦に譲ったが、大物は赤城航空隊が頂く」


「四航戦は追い払っただけらしいな」


「B-17だが、速かったらしい。二百五十くらい出ていたと言うことだ」


「二百五十というと、一式陸爆や一式陸攻くらいですね」


「抜かれれば、あっという間に攻撃を始めるぞ」


「徹底的に食らいつくしか無いですが、頑丈だし機銃もたくさん積んでいると言う情報です。如何すれば良いでしょう」


「そうだな、ぐっと近づいて急所に二・三発という戦闘機や艦爆・艦攻相手のやり方ではダメだろう」


「それができたら苦労しないんですよ」


「情報によると機銃は全て十三ミリだそうだ。十三ミリでもホ-103とは違うぞ。ブローニングM2と言う世界最高クラスの銃だ」


「どういう機銃なんですか」


「96戦に乗っていた連中はよく知っていると思うが、7.7ミリの弾道は良く伸びたな。アレより伸びるようだ。貫通力もたいした物らしい」


「そんな機銃をたくさんですか」


「そうだ。ただ、機銃配置の問題で必ず穴はあると思う。これは実戦でつかむしか無い」


「初めて相手取るのは、我々母艦戦闘機隊ですか。腕が鳴ります」


「よし、気合いが入るのはわかった。明日はおそらく防空戦闘だ。基地航空隊の相手だと思う。B-17もたくさん来るぞ。いい時間だ、もう寝ておけ」


「了解です」



6月5日夜明け前


「警戒・補給部隊に上陸部隊と龍鳳と十八駆・五戦隊を付けて、少し後方に下がらせようと思う。如何だろう」


「龍鳳の搭載機は、戦闘機二五機、二号艦攻八機です。十分な上空援護と警戒ができるとは思いません。昨日のように四航戦ではダメなのですか」


「今日はかなりの襲撃が予想される。空母は少しでも増やしたいし、龍鳳は一度実戦を経験している。四航戦は昨日が初めてだ。経験のある方が少数でも能力は期待できる。対潜警戒や周辺警戒も千代田・千歳の水偵でできる。ダメだろうか」


「そう言うお考えでしたら反対はしません。しかし、まともな対空戦闘ができるのが五戦隊だけです。大丈夫でしょうか」


「では如何する」


「三戦隊の日向と七戦隊を付けてはいかがでしょうか」


「その3隻は主砲を下ろして高角砲と機銃を積んでいるのだな。大きい船の方が輸送船の連中も安心感があるだろう。よろしい手配してくれ」


「龍鳳・日向・七戦隊を警戒・補給部隊の直援任務に回します」


「頼む」


「三航戦と四航戦はひとまとめにしてしまおうと思う。如何だろうか」


「賛成ですが、対空砲火に不安があります。九戦隊を付けてはどうでしょう」


「九戦隊は殴り込みの時、先陣を任されるのでは無かったか」


「ですがまともな対空砲火を展開できるのが九戦隊しか残っておりません」


「わかった。手配してくれ」



 MI艦隊は、前線部隊と後方部隊に分かれそれぞれ進路を取るのだった。 

  



単冠湾とはあざとかったでしょうか。

明日は決戦です。5時に予約のはずですが、引っ張るかも知れません。戦闘場面は苦手ですよ。


18時に双龍の世界が一編入ります。

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