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アレは、何だろうか?覚せい剤?いや、話の流れ的に…そして、これまでの行動から可能性から思いたあるのは、そんなのではない。
「それは、何だい?」
「これは、光属性の魔法を使える人の為の魔法増幅剤よ」
増幅剤!?だから私が先生をさがしていたのか!きっとアレを体内に入れたら魔力が、暴走して最悪場合は、死ぬ。助けないとっ!止めないとっ!
「幸せって、求めるだけじゃないよ。人に分ける事によって、分け合った分だけ返ってくる。直ぐでは、無いけれど…見えない物かも知れないけれど、少しずつだけかも知れないけれど、幸運って言うのは、誰にも持っている物なんだよ」
「煩い!貴方に何が解るのよ!天才が、凡人の気持ちなんて、解るはずがない!」
「解らない。俺は、君じゃあないしまして君のお兄さんでもない。それに君もお兄さんの気持ちなんて解らないよ。それは、皆んな同じ事だからね。他人の気持ちなんて思いなんて考えなんて、誰も解らない。家族だって、絶対に心が通じ合っている訳でもない。他人が受けた、怒りや苦しみや悲しみ、痛みなんて、絶望感だって、痛感しないと分かち合えないんだ。でも、他人の心は、解らないけどね…」
先生は、真剣な顔でそう言った。少しだけ怒っているようにも感じた私は、少しだけ先生が怖いと思った。
「世界に絶望した?皆んな見てくれない?それは、わがままで、被虐的で、ヒステリックな考えに過ぎない。それを他人のせいにして、八つ当たりをして、殺すなんて、面倒くさい奴だね。君のお兄さんは」
「兄さんを馬鹿にする人は、皆んな許さない!許さないだから!
こうしないと元の優しい兄さんに戻らないの!大好きだったあの兄さんに…!戻って欲しいだけなのよ!だから死んでっ!」
そう言って、注射器の針を先生に刺そうとした。
「させません!」
私は、反射的に思わず、魔法を解除してエリーゼ博士の腕を掴みそれを阻止してしまった。私を見たエリーゼ博士は、驚いた顔をした後に睨みつけ私の手を振り払って、一歩、二歩と下がっていった。
「どうして、皆んな邪魔するの?どうして、何もかも上手くいかないの?どうして?どうして?私も兄さんも何も悪い事をしていないのに…」
エリーゼ博士は、座り込み頭を抱えた。
「悪いのは、この世界なのよ……この世界なのよ私たちは、何も悪くない。悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない…ーーー」
狂ったように何度も何度も“悪くない”と繰り返して、目を見開いて言った。正直言って怖い。これほど、憎んで憎んで全てを恨んで、それでも幸せを掴もうとしている彼女らは、最大のわがままで、最大の八つ当たりだ。
でも、彼女は、大切な人を救おうとしている事は、否定できない。やり方は、間違っているけれど、大切な人が幸せになって欲しいと、願っている。
「そうか……貴方たちの力を借りなくても私が、この世界を壊せば良いだった……」
ニヤリと微笑みながら注射器を見ながらそう言った。いやダメでしょ!アレを体内に入れたら魔力の大量摂取により暴走する!それに光属性の魔法を使える人は、太陽の光や蛍光灯の光だけで、十分に魔力が足りる!
「ダメです!」
慌てて手を伸ばしても届かず、エリーゼ博士は、注射器に入っていた液体を体内に入れてしまった。
「ふふ、ふふふ」
俯いたまま立ち上がり不気味に笑った。すると、髪の色は、銀色に変わり。爪の色は、赤く…いや紫色に変色し、肌の色は、青白くなっていった。
「アハハハハハハ!凄い!凄いわ!魔力が!魔力が漲ってくる!これで、何でも出来る!何も怖くない!あははは!」
私を見た目は、白目の部分が赤くなり唇の色は、より一層赤くなっていった。
エリーゼ博士は、両手を広げ上を向いた。
「皆んな死ね!」
そう言った瞬間に手の指から光線が発射された。壁は、光線により大きな穴が空いた。肉が焦げた匂い。これはきっと、穴の先の光線により体が焼き落ち胴体が半分しかない人や下半身しかない人、腕がない人が多くいるだろう。血生臭い…吐き気がする。
「成功だわ。私の魔法であるレーザービームは、ここまでの威力は、無かった…実験は、大成功よ」
クロトは、大丈夫だろうか?彼女は、今何処にいるのだろうか?エリーゼ博士は、四方八方に光線を放ち私も先生も交わすのでやっと。こうして、交わしている間も人は、死んでいく。しかし、手も足も出ない。
「はははははは!」
この人は、人を殺しているのに笑っている。笑ている。これはまるで人ではなく悪魔だ。
「先生!」
彼女の魔法により崩れ落ちる天井が先生と私に直撃しようとした。私は、ほんの一瞬で、影の魔法で、先生と影の中で、あたりを見ていた。
「彼女は、普通にお兄さんが好きで、大切で、幸せになって欲しいって願っていたんですよね」
「うん」
「でも、こんなの間違っています。誰かを憎んだって、恨んだって、妬んだって、誰も幸せなんてなれません」
私も一度間違った。全てを恨んで、全てに絶望した。他人から見たら私もあんな風に見えたのだろうか?悪魔と思われたのだろうか?
床は、崩れ落ち私たちは、影の重なる場所へ次から次へと移動して行った。チラリと見えるエリーゼ博士は、風を纏いゆっくりと落ちていった。アレも彼女の魔法なのだろう。
落ちていく人もいれば、魔法でどうにかこうにか瓦礫を交わしなながら移動している人もいる。そんな中クロトは、白い天使のような羽根で、空を飛んでいるのも見えた。良かった。彼女は、無事だったのか。きっとクロトは、私たちを心配をして探しているのだろう。しかし、私には、彼女に無事を知らせる術は、今はない。今、ここで、影の魔法を解くと先生もろとも落ちてしまう。上手く瓦礫で出来た影で移動して、埋もれないように進まないと結局は、同じな事だ。
地面までたどり着きやっと一息をついて影の中から再び辺りを見た。
「……たくさんの人が死んでるね」
「はい」
「これも彼女が…彼女のお兄さんホープ君が望んだ事なのかな?」
「……」
もし、先生の身に何かあったらきっと彼女のようになっていた。あの日以上に絶望と憎しみで、魔力が暴走していたかもしれない。彼女も私も傲慢でわがままで、自己中な悪魔だと言ってもいい。でもそれでもきっと先生は、望まないだろ。誰も誰かを犠牲にしてまでも幸せになろうとだなんて望まない。
「先生…。。。私、エリーゼ博士を救いたいです」
救いたい。あの日、私を救ってくれた名前も知らないあの人の様にエリーゼ博士を救いたい。今は、私が出来る事は、それしか無い。
「なら、俺の魔法が必要だね。アミー」
そう言って手錠を私に見せた。先生の魔法……そうか、先生の魔法は、空間に部屋を作るだけでは無い。私は、手に強化魔法をかけて手錠にチョップをした。すると、手と手の間を繋がっていた鎖が切れ次に手首の輪っか部分も引きちぎった。
「ありがとう」
やっと自由になった先生の手は、指を鳴らし肩を回した。
「アミー、俺の合図に合わせて魔法を解除して」
「はい」
私は、息を飲みいつでも影の魔法を解除が出来る様に構えた。




