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コルフィーヌ司教
目が覚めたら、よくわからない所に俺はいる。
ー此処は?
「緑白花の園よ。」
寝台の傍にいる彼女に尋ねると、そんな答えが返ってきた。
『ファンテーヌ、お前の母さんは女王様だったんだぞ。神聖エレオス王国の、だ。で、母さんの妹は、緑白花の園って言う、この世の言葉では語りつくせない花園を持っていたんだぜ。…いつか、一緒に行こうな。』
父さんが昔、こんな風に言っていたのを覚えている。結局、叶わない約束になってしまったけれど。
「貴女、お腹が空いているでしょう?」
柔らかな微笑みを浮かべ、彼女は大きな白パンを差し出す。
嗚呼、なんて久しぶりな…。ハードタックも、レモンも、仲間や父さんが遺していった一欠片のチーズ…全てが尽きたとき、海に投げ出されてダメかと思ったのに。ここには、ほかほかな素朴なスープと柔らかな白パンがある。優しさが何だか胸にじんわりと染み渡って、目から熱いものが零れだした。
「…今日、此処が貴女の家よ。貴女が好きに出て行ってもいいし、此処に居たければいて良いの、何日も、何年も。」
抱きしめられた温もり、ほのかに甘い花の香りの中で俺は子供のように声を上げて泣きじゃくった。
「…お前の、名前は?」
「コルフィーヌ、コルフィーヌ・ベシルコス・エブヘンディ・エレオスよ。この修道院で司教をしているの。」




