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器に相応しい者
昔のお話
「………っ。」
シャルルが唇を噛み締める。
「シャルル兄様、手紙には…何と?」
エレジーの問いに、長い沈黙が訪れる。
沈黙を破ったのは…
「……崩御だ。我が妹、フェンネガリーヌが…死んだ。」
この家の娘の中で一番年上で、美しい娘が…死んだ。
「…兄様、早く…しないと。」
「わかっている。国の存亡に関わる一大事だ。」
オリーヴァの言う通りだ。フェンネガリーヌの遺体に残る魔力はあと僅かなはず。
(……国を守るためには、器が要る。)
魔物の侵攻に民を怯えさせるわけにはいかない。誰か、一生を死の玉座に捧げる者を。
悶々と悩んでいるうちに、シャルル、とエレジーが口を開く。
「…娘が…いるよ。僕たちの宝石には、娘がいた…。」
「会いたい、と言っていた…生き別れの海賊王の娘、
ですね。」
「おい、そうと決まれば急ぐぞ。あの、飄々とした男の居場所を見つけるのには骨が折れるからな。」




