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願い
「私は、旅に出るよ、ハルモニア。」
『…なんじゃと!蹴飛ばされたり、殴られたり、出来なくなるというのか。寂しいぞ~、寂しいのだぞ~!』
決めたことを伝えると、喚き散らしだしたハルモニア。思えばコイツも結構口やかましかったな。私は、コイツから礼法を叩き込まれた。体も散々好き勝手にされたし、玉座に在ることがどんなに大変か分かった。
「母様の宝石で我慢しておくれ。少しだけ、私の宝石も置いていくから。」
ごめんなさい、母様。貴女は絵のままで留まることを選んだというのに。
(母のように、死んではならない。この古の呪いを解くと決めた志は叶えてみせなくては。)
『…フェンネが泣いておるぞ。民が苦しんでおると自分も苦しむ奴じゃったからのう。』
「命がけで国を守った母様には悪いけど、母様が魂だけになって苦しむ姿を見てきた。だから、俺は止められない。」
もう、振り返らない。私は真っ直ぐに私の道を行き、振り返るのは全て終わってから。
…こうして、私は旅に出る。




