表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしがいのちを、取り戻すまで。  作者: 水瀬 悠里


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/11

【第8章】光、その先へ

部署を変えても、私の中には戸惑いがあった。


元いた部署の仲間たちはどう思っているのだろうか。


私は役に立つのかと、思わず友人にきいたこともあった。


新しい仕事を山のように覚えなければならず、今思えばできなくて当然なのに、何か失敗する度に「やはり向いていないのか」「やっぱりダメだ」と闇に引っ張る声がする。


部署は違えど、パワハラの相手のいる場所を通る時は酷く動悸がし、声が聞こえると息が止まった。


「どう、新しい部署は」


明るい声で相手に聞かれた時、ほんの一瞬、殺意のようなものまで湧いた記憶がある。


「ええ、お陰様で楽しくやらせていただいています」

笑顔でそう答えたのは、私なりの精一杯の仕返しだった。


それからも、罪悪感や自己否定、フラッシュバックと戦いながら、毎日をどうにかこなしていく。


思えば、私はずっと俯いていた。

重なる不運も全て自分のせい。

否定され続けた日々は、私の心に大きな傷を作った。

傷はいつも膿んでいて、小さな事でも血が滲む。


けれど私の中には、生き抜いていきたい、というたしかな希望があったのだ。

そして──少しずつ、歩み始める。


失敗しても、もう一度立て直せる。

声に怯えても、次の日にはまた職場に行ける。

ほんの小さなことでも、積み重ねれば風を受ける力になる。


無理やりでも顔を上げると、不安という影もまた風にさらわれていく。


荒波のように、激しく揺れる心を抱えながら、

足元は砂のように脆くても。

それでも───


私はやっと、自分を動かす風をつかまえたような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ