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第2章 「だれが、だれの名前を決めたのか」

あなたの名前を決めたのは、だれですか?


……両親ですか?

それとも、戸籍係?

名付けの本?

出生届に記された文字列?


では、

あなたの両親の名前を決めたのは、だれですか?

そのまた親の名前を?

そうやって遡っていくと、いったい最初の“命名”はどこで起きたのでしょう。


名前は、名づけた瞬間から“誰かに与えられたもの”です。

あなたは自分で自分を名付けたことが、ありますか?

きっとないでしょう。


名前とは、あなたが“そうであれ”と望んだものではなく、

“そうであってほしい”と他者が望んだ結果です。


その名に意味があるとすれば、

それは“呼ぶため”です。

区別するため。

指差すため。

そして――支配するため。


あなたは、

いまの名前に、ほんとうに納得していますか?


たとえば。

名簿の中にあなたの名前がなかったら、

あなたは“欠席”ではなく、“不在”とされます。


名札が剥がされ、履歴書が破られ、呼ばれないまま名簿が閉じられるとき、

それは社会における“死”と変わりありません。


名を失うことは、存在を剥奪されること。


だからこそ、わたしたちは名前に執着する。

ペンネーム、コードネーム、ID、記号。

本名とは別に“自分らしい名前”を探そうとする。

けれどその行為すら、すでに「名付ける」という構造の檻の中にある。


わたしは、誰か?

わたしの名前は、わたしが選んだものか?

それとも、“そう呼ばれるべき形”に身体を合わせてきただけなのか?


「あなたの名前を決めたのは、だれ?」

この問いは、こう変換できる。


「あなたという存在を定義したのは、だれ?」


それは他人?

社会?

神?

物語?

それとも、このページ?


たったいま、ここに新しい名前を書き込むとしたら、

あなたは、どんな名前を選びますか?


無名のままでいたい?

それとも、まだ呼ばれたことのない名前を、持ちたいですか?


その答えこそが、

あなたがこの物語の中で“なりたいあなた”なのかもしれません。


ページの下に、余白を残しておきます。

そこに、あなた自身の手で――


まだ誰にも呼ばれたことのない、

あなただけの名前を、書いてみてください。

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