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奴隷達の気ままな生活  作者: あまね
3/4

3: 皇帝

王城

そこはその国の王族達が住む城。



この国の名はムージェリエ帝国。

世界創造の時から4000年続いている神々の使者の末裔である現皇帝を中心とし、四大公爵家が連なる世界で最も歴史の古い国。

前皇帝は病に侵され、まだ20代前半の若さで現皇帝は王位に付いた。


最近は国内で内乱が起こる事は無く、四大公爵家の勢力も均等に保っていた。



帝国の四方には海の民が住むナイルナ王国、山の民が住むリーフェイト公国、獣人の多いアデライト王国、エルフの多いサルビレ皇国が存在する。


公国の更に山の奥には魔族が住んでいる。あまり行く者や生きて帰ってきた者は居ない為、公国より先は殆どの者がどんな所なのか知らない。人は勝手に魔王国と呼ぶ。


山脈に囲まれた公国と帝国の間に存在する一つの山脈には魔物が存在する。




………





帝国の王族が住む場所であり、大臣や公爵、皇帝が集まって会議をする場所である王城。


門を潜って入ってきたのは二つの馬車。

四大公爵家のうちの一つ、現宰相の出であるレインバーン公爵家の馬車だ。

前の馬車からは若い宰相と公爵家の騎士隊長。後ろの馬車からは騎士が二人と年若い女性が一人降りてきた。


「暗奴は自分の服を何処に隠しているんだい?」

「……空間魔法に入れたり、幻影を見せたりしてる」

「なるほど。暗奴については分からない事が多いから、一つ知ることが出来ました」

「……そう」


目の前でこの国の宰相である男と貴族令嬢では無さそうな二人が穏やかに会話している異様な光景に、周りはただ見ている事しか出来なかった。


「ちなみに、貴方はどうやってその服になったんですか?」

「……普通に空間魔法から出して着た」


それを聞いてウィルデンスはアウラと同席していた二人の騎士達の方を見た。二人は少し恥ずかしそうにして頷いた。ウィルデンスは少し苦笑いをした。


「まあ、先程までの服装よりこの服の方がまだ良いですね。陛下の御前に出るのですから」


周りからチラチラ見られているも、認識阻害魔法をかけているお陰で「闇夜」だとは思われていない。商人風の服装をした女性として見えるであろう。

が、異様な組み合わせな為何処を歩いても注目を浴びる。



暫く案内人にウィルデンスとアウラ達はついて行き、王城の中を進んだ。と言っても、ウィルデンスにとっては見慣れた内装だ。


前に一人の執事が居た。


「宰相様、皇帝陛下がお待ちしております」

「はい、直ぐに謁見の許可を」


先程の案内人に変わり、長年王城で働いている使用人統括の執事が謁見の間まで案内した。


「なるべく少人数で報告したいと陛下に伝えて」

「かしこまりました」



アウラは歩きながら周りをチラチラと見た。今までアデライト王国の王城には忍んで入った事があったが、他の王城はこれが初めてだ。しかも堂々と正面から門を開けて入れた。


キョロキョロしていた為、両隣りに歩いていた騎士に少し怪しまれた。


執事に案内されながら数分歩くと大きい扉が見えた。


この国の皇帝がいる場所。


(206代皇帝ラキシウス。去年即位したばかりでまだ21歳。まだ即位前の時に帝国貴族の派閥争いを簡単に静め、幼い頃は当時の内乱をその人望と采配でおさめた人物)


帝国の皇子はこの様に幼い頃から自分の力を発揮する者が多い。だからこそ、何千年も国が続いても滅びた事が1度もないのだ。



現皇帝は生まれた時から皇帝としての資質を持っていた。生まれた時から魔法を使え、知識を得る為に図書館に行き、平民の生活を知る為に下町まで降りる等、第一皇子として現在と未来を見ていた。



………



皇帝付きの執事ロワイヤフはラキシウスの所まで行き、耳元で先程ウィルデンスが言っていた事を伝える。


「……ふむ、ウィルデンス一行とロワイヤフ以外全員下がれ。重要な会議だ」


その重要な会議に何故自分達は必要無いのかという目を大臣達はしていた。が、皇帝命令の為渋々と玉座の間から出ていく。



そこに残されたのは皇帝と護衛である三人の騎士、執事のロワイヤフ、ウィルデンス、公爵家の騎士三人とアウラだった。



「皇帝陛下にご挨拶申し上げます」


ウィルデンスと騎士達は正式な挨拶と姿勢をとった。アウラはただ何もせずに立っていた。


どの国の人間でも無いため、例え奴隷だとしてもどのような身分でも礼儀は正さない。

皇帝もその事は分かっていたのか何も気にしていない。



「先刻の件のだな。まずはご苦労だったな。相変わらず対応が早いな、流石だ」

「いえ、この様な事大した事では御座いません」

「…さて、お前がここに来た理由はその者の事か」

「はい、陛下。まずはこの様な者を陛下の前まで連れてきた事に謝罪します」

「私はその様な事を気にしないとお前も知っているだろう。なんだ? 奴隷か?」

「はい、暗殺奴隷です」


皇帝の後ろに控えていたロワイヤフや騎士が眉をひそめ、アウラを見た。

どれくらいマシな奴隷でも、ほとんどは奴隷の事を汚いというような目で見る。


そんな空気を裂く様に、皇帝はウィルデンスと話しを再開した。


「その様子だと、ただの暗奴では無い様だな。…まさか、暗奴マスターだとでも言うのか?」

「………陛下の仰る通りです」


ここに居る全員が一度は暗奴を目にした事はあるが、暗奴マスターを見た事は誰一人として無い。会っているとしても、暗奴マスターとは分からないまま出会っているくらいだ。


そう、人々は暗奴マスターの恐ろしさを知っている。

2000年以上も前に大切な者を殺された暗奴マスターが一つの王国を滅ぼしている。大陸中、世界中でその事が今でも知れ渡り物語としても語り継がれている。


暗奴マスターの力の性質は昔より、減るどころか増え続けている。



「(そんな恐ろしい暗奴マスターの一人が今、我々の目の前に居るのか…。まさかこの様な日が来ようとは)…ウィルデンス、その暗奴の紹介をしろ」

「………暗奴マスターの中でも、魔法にたけている「闇夜」のアウラです」

「「闇夜」か。正にその二つ名の通りと聞く。…本人からも直接に話しが聞きたい。どうだ?「闇夜」」


「………。ふふ、初めましてムージェリエ帝国206代皇帝ラキシウス」



この場にいる者は皆帝国の民であり、皇帝に忠誠心を持つ者。アウラ以外は。


「貴様!! 皇帝陛下になんと無礼な!!」

「良い。暗奴はこれが普通なのだろう。いちいち反応しなくて良い」


皇帝の護衛騎士達は納得出来ないという顔をしながら黙ってアウラを睨みつけた。



「……先に言っておくぞ。私はお前達の下に、帝国に仕えるつもりは無い。話すだけ無駄だ」

「嗚呼、暗奴が誰の下に付かないのも知っている。無理に勧誘しようとは思わない」


ウィルデンスはただここに連れてきて、皇帝がどのような選択をするのかを見るだけだった。


ただ一つ、帝国の宰相であり頭脳であるウィルデンスの想像とは違った言葉がアウラの口から出て来たのは誤算だった。


「私はお前に仕えるつもりは無いがな、お前の家臣の一人になら協力者としてここにいても良いと思っている」


ここに居た皆がアウラの言葉に驚いた。

暗奴は誰にも仕えず、自分の為だけに生きる。そんな暗奴の、しかも暗奴のなかの頂点暗奴マスターがそんな事を言っているのだ。


驚きつつも、皇帝はアウラに話かける。


「……。で、その家臣とは?」

「…私の近くにいるではないか」


アウラのその言葉に全員の視線がウィルデンスに向かった。


「この男もお前に仕える者の一人だ。当然、此奴経由でお前から私に命令するのも可能になる。が、私は協力すると言っても気まぐれでしか動かない」


皇帝は二人を見つつ、アウラの言葉を聞きながら思考を巡らせた。


「危険な状態や切羽詰まった状態の時私は動くが、後は私の気まぐれだ。私の自由にさせてもらう。まあ、その動く時もお前では無くこの男が関わっている時だがな」

「……此方としてはそれでも協力を得られて嬉しいが、そなたのメリットが無いように見える」


「……正直私も無いと思うがな、私の中でこの機会を逃してはならないと言っている様でな。それに、この男の近くは楽しそうだ。

……さあ、どうする?まあ、どう答えても私は勝手に動くがな」


皇帝は少し考えた後ウィルデンスを見た。


「宰相、どう思う?」

「……私達の方が不利になる様な事は無いですね。心配する事は情報漏洩。別の方に帝国の情報を流さないとは限りません」

「いくら考えてもそれは無理さ。あんた達の方に居ようが居まいが幾らでも情報は盗めるからね。なんならもう既に持っていたりもする」

「そうでしょうね。ですから、情報の事は彼女の前では対策の仕様がありません」

「情報と裏切り、か。ふっ、ははは!まあ、「闇夜」お前の好きにするといい」


皇帝は意外と話しが分かりそう。

彼の騎士達はとても焦っていた。心配する事が普通だ。


だが、アウラの皇帝への印象が少し変わった。

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