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奴隷達の気ままな生活  作者: あまね
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2: 暗殺奴隷

暗殺奴隷

普通の奴隷は誰もが想像するように、主人にこき使われ、危険な仕事を強制で行わせ無償で働かせられる働き人形だろう。だが暗殺奴隷(略して暗奴)はその様な普通の奴隷ではない。暗奴紋を持った奴隷を暗奴という。


暗奴になる理由は様々だ。ある者は自らの快楽の為地位を落としてまで成る。ある者は今までの生活に飽きた為刺激を求めて自らを縛り付ける。

何かの為に暗奴として生きる者もいれば、自らの為だけに生きる者もいた。


だが、全ての奴隷や人々が暗奴になれる訳では無い。前提として、暗奴に会わなければなる事は不可能。

さらに、魔力を持っていたり、暗奴として生きても死なない程度の力が無くては暗奴紋を付ける事が出来ない。暗奴紋は複雑な魔法で出来ている。興味本位で暗奴紋を付けようものなら、身体が崩壊し精神をも汚染する。


だからこそ暗奴紋を付けられるのは何時の時代の世にも五人しかいない。



「暗奴マスター」



飛び抜けて魔力を持っていたり、魔獣を使役できたりなどの力が無ければ暗奴マスターになれない。

彼らは全ての暗奴を把握する為に暗奴紋を付けさせる。暗奴は増え続けても管理に困る。好きに生きるのは何も言わないが、自身の邪魔をされては困る為、組織では無いが組織のように暗奴達の知らぬ所で暗奴マスター達が操り管理している。


一定数を超えないように、暗奴マスター達は気軽に紋を付けさせない。暗奴が減れば増やす。それだけだ。


暗奴は暗奴になる前に暗奴マスターに一人は必ず会っている。その際仲間うちで争いが起こらないよう、暗奴マスターの見た特徴だけは必ず伝えられる。しかし、どの暗奴達も1人の暗奴マスターには会うが生涯の中で2人目に会うものはほとんどいない。





暗奴マスターは必ず、自分の継ぎになる暗奴を生きている間に選ばなくてはならない。もし継ぐ者が居なく死んだ場合、違う暗奴マスターがもう一人を選ばなくてはならない。


暗奴マスターが代替わりすれば、その前の暗奴マスターが暗奴紋を辿って暗奴達に伝えられる。

だが、暗奴マスター達はそれぞれ定期的に連絡をする手段を持っている。

暗奴マスターは前代の暗奴マスターに暗奴紋の付け方と暗奴マスター同士の連絡する手段、その他を教えられる。





現代の暗奴マスターは


「毒師」のオーウェン

「一刀」のルイ

「闇夜」のアウラ

「獣使」のライアコット

「魅惑」のレギオン




何時の時代にも暗奴マスター全員が二つ名を持っている訳では無い。誰も持っていない時代も有れば、何人かが持っている場合もある。

そもそも二つ名は暗奴内や貴族などの上流社会などで勝手に付けられた名がほとんどだ。自分から名乗る者など居ない。





なぜ暗殺する目的だけで奴隷になるのか。常人なら不思議でしょうがないであろう。だが、彼らにとって暗殺はただの名目。ただただ殺しをしたいだけの連中がほとんど。誰かに使える暗殺者になるより、依頼で来た暗殺対象や依頼者本人、はたまたそこらにいる野党を自由に手にかける。


それなりの身分で暗殺をしていればそのうち捕まって死刑になる事もあるだろう。しかし、奴隷として紛れていれば見つからず、もしバレたとしてもすぐに逃げることが可能である。

彼らは常にスリルを楽しんでいる。



………







ここはとある国のとある貴族の屋敷のある一つの部屋。コンコン扉が叩く音が響いた。


「どうぞ」


中からは二十代後半程の青年の声が帰ってきた。


「失礼します。第一部隊ただいま戻りました」

「ご苦労さま。帰ってきて早々ですが、報告お願いします」


目の前にいる自身の息子と同い年の青年。先代に似た穏やかな顔でこちらに微笑みかけてくる。この国の宰相であり自分の仕える者に今回の現状を報告した。


「商人達は我々が気づいている事を分かって直ぐに証拠となる書類などを馬車で運んで出ていた様です。その際、他の証拠となる物が店に残っていた為、隠滅の為に火を付けた様です。我々が付いた時には火が充満していました」

「怪我人は?」

「我々の中には居ませんが、地下にいた奴隷の中にかなり。奴隷は全員で120人。うち、105人が今回の火事や今までの環境の影響で体調が著しく無いです」

「……残りの15人は?」

「暗奴でした。暗奴達は特に異常は見られませんでした」

「流石と言うべきかな。……しかし、15か。あの商館にかなりの情報が集まる事を彼等も分かっていたみたいだね」

「まあ、奴らは奴隷とは違って自由気ままですからね。自分のやりたい事しかやらない連中ですから」

「奴隷以上に扱いにくい」


暗奴のほとんどは自分の為になる事しかしない。貴族などの依頼で動く事もあるが、自分のやりたいものしか受けない。

どんな場所に居ても、暗奴達は絶対に逃げられる術を持っている。


「……それと、あの暗奴達の中に暗奴マスターが一人潜んでいました」

「本当か!? という事はもう……」

「はい、顔も確認しました」

「暗奴マスターと分かって会える者などそうそう居ない。で、どの者でしたか?」

「黒い髪に反して、色の無い瞳と肌」

「「闇夜」か」

「はい。今は魔法拘束具で押さえ付けて居ますが、特に抵抗する様子はありません」

「自分の命の危機が無ければ、特に何もしないからね」


現在他の暗奴達も拘束具を付けられ捕らえられているが、拘束を解いて逃げるのは時間がかからないであろう。数時間後には牢の中が空になる事は大体予想はついていた。

二人の話し合いは扉の鳴った音で止まった。


「失礼します。ウィルデンス様馬車の準備が整いました」

「ああ、ありがとう。

さて、私は今から王城に上がる。君も「闇夜」を安全に連れて付いて来なさい」

「はっ!!」




………




王族が乗るような綺麗で豪勢のある馬車に先程から私を見張っている騎士達と押し込まれた。


私の両手足には魔法や物理的な力を無効にする、主に暗奴に使われる魔法拘束具が付けられている。


私達暗奴は普通の奴隷と違い、自由気ままに生きることが出来る。

先程までの私のように、何処か一つの奴隷商に普通の奴隷として留まって生活をしていたり、自由に外で誰にも縛られずに暗奴として働いていたりなど様々。



奴隷商に留まると言っても、大抵の暗奴は牢の外に自由に出入りしている。

魔法で自分の代わりを置いたりして夜にもなんなら昼にも外に出入りする。


奴隷商にいた頃は何度も暗奴が壁や牢を自由に出入りする光景を見ていたし、日常茶飯事だったし、私達の普通だった。



牢の中にいた時に暗奴の仲間の一人がこんな事を言っていたなと思い出す。まだ彼女は新人だった。


『私は暗奴になって少ししか経って居ません。今までの様にご奉仕をする事がある時、どうすれば良いのか分かりません』


『……。気絶させればいいじゃん』

『幻影でヤッている様に見せる。傍から見たら、一人で動いてる様に見えるから面白い』

『ヤッたと思わせる洗脳して寝る』


当然傍からはただの奴隷と同じにしか見えない為、そういう事やら拷問器具でやら色々ある事も有るが、大抵は相手を気絶させてその他の時間は自由にしている。


自分の快楽の為に暗奴になった者などはこういう人物を喜んでいたぶって殺している。そして奴隷商に返却されずに色んな所を自由に彷徨う。





暗奴の仕事は名前の通り、暗殺をする事だ。

暗奴への依頼はスラムになっている裏通りの子供達に金を渡して伝言を伝える。

子供達は此方が誰が伝言を持っているのか分かる為、黒いフードを被った暗殺者を待つだけだ。伝言をもらった暗奴は依頼人の所に行き、その仕事が自分のやりたい事か一度聞き、興味のある物だったら受け、興味の無い物だったらその場でスパッと断り、何処かで仲間に会った時にその依頼の内容を教えて興味のある者が行く。

その依頼が既に達成されていて違う者が知らないで行こうとしても、暗奴紋が反応して達成されている事が伝えられる。





そして私は今、多分さっきまでの外での光景からして公爵家位の地位の者達に捕えられ(保護され)て監視と一緒に馬車に揺られている。

乗る前の外の様子と人々の話しや状況からして、今から王城に行くのだと考えかれた。因みに私は結構耳が良い。


外にいた時もそうだし今もそうだが、私の事をチラチラ見てくる。それはそうだ。

暗奴マスターは滅多に自分の事を名乗らない。今回は名乗って居なくとも、特徴などで知られた。別に認識阻害の魔法も使えるのだが。



特に抵抗する必要は無い。

今までにだって有力貴族や王族に連れて行かれたことはあったが、それはただ逃げたり抵抗したりして無いだけ。いざという時は記憶を改竄する事も出来る。


今までは捕まっても直ぐに逃げていたが、今回は逃げない方が良いとなぜか私の心が言っていた。



これは私にとって良い出会いになると言っている様だった。





「付いたぞ」

「君達、拘束具を外してやりなさい」

「は? し、しかし外してしまっては……」

「逃げる事はしない。そうでしょう? 申し訳ないですが、外す代わりに認識阻害魔法を自分にかけて貰えますか。周りに君が誰なのか知られるのは避けたい」


目の前の穏やかそうな顔つきの貴族。部下に対しても、奴隷に対しても親切に丁寧な言葉で対応する。珍しい貴族だ。だが、それだからと言ってこちらが舐める態度を取るようにはならない。不思議とその話し方が心地よく感じる。


コクリと一つ頷き、私は拘束具を外されて認識阻害魔法を自分に掛けた。

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