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第4話

 その夜、クリスは繁華街の外れにある小さなバーを訪れた。


 店内に入るとカウンターの中にいたママ(男性)がこちらを見て微笑む。


「あらぁーん? クリスちゃんじゃなぁーい。うふぅーん。いらっしゃぁーい♡」


「ママ、水割りちょうだい」


 カウンターの席に腰掛ける。ママがグラスに酒を注ぎ水割りを作って置いた。


「聞いたわよぉーん。婚約破棄されちゃったぁんだってぇー? ご愁傷さまぁ」


「そうなのよ! 私のこと性格悪いとか言いやがって! 今じゃ町中の噂よ。あのバカ王子め!」


「クリスちゃぁん。黙ってればぁ美人なのにねぇーん。本当、もったいなぁーい」


 ギロリとした目でママをにらむ。酔いもまわって気が短くなっていた。


「何よ! ママまで私のこと性格悪いって言うの!? キン◯マ潰すわよ!」


「ほらぁ! そぉーいうとこぉーッ! 性格悪いし口も悪いじゃなぁーい。ダメよぉー。もっと私みたいに女らしくしないとぉー」


「女らしくって何よ? 男の後を3歩下がって歩けとでも言うの? はん! 私は私らしく生きるわ! 自分が悪くもないのに謝ったりなんかしないわ!」


 そう言うと、酒の入ったグラスをぐびっと飲み干した。ママがグラスを取って酒を注ぐ。


「あらぁ? 謝るってなぁにぃー? 誰に謝るのぉー?」


「バーナードのバカ王子よ! 私が謝れば婚約破棄を撤回してもいいなんてふざけたこと言ってるの。何で私が謝らないといけないわけ? 何も悪くないのに」


 ママは2杯目の水割りを目の前に置いた。


「いいじゃあなぁーい。謝っちゃいなさいよぉ」


「絶対に嫌! 死んでも謝らない!」


「ここで謝らないとクリスちゃぁん。一生結婚できないわよぉーん。だってぇ、性格ブスなんだもの」


 テーブルをバンッと叩いて、思わず大声を上げた。


「誰が性格ブスよ!? チ◯ポ引っこ抜くわよ! だいたい顔もブスなママに言われたくない!」


「ひどぉーい! クリスちゃん。あとお下品。チ◯ポなんてぇ言っちゃあダメぇ!」


 水割りをグッと飲み干す。ママが3杯目の水割りをすぐに作って置いた。


「思うんだけどさぁー。クリスちゃぁん。王子って、まだあなたのこと好きなんじゃなぁーい?」


「えッ?」


「だって、謝れば婚約破棄を撤回するなんておかしいじゃなぁーい? 普通、本当に嫌いだったらそんなことしないわよぉーん」


「そうなのかな……? でも、だったら何で婚約破棄するだなんて言ったの?」


「それは、分からないわぁ。クリスちゃんの行動に何か思うところがあったんじゃなぁーい?」


 あごに手を当てて考える。思いつくのは……


「あれかしら? 王子の誕生日を忘れてて、誕生日パーティーをすっぽかしたことかしら」


「誕生日を忘れるって、けっこう非道いわねぇん」


「それともあれかしら? デートの約束してたけど当日面倒になって行かなかったことかしら」


「せめて体調悪いとか言って断りなさいよぉーん」


「それともあれかしら? 王子が大事な話があるって言った時に、いま無理って断ったこと? ああぁーッ! 心当たりが多すぎる!」


 ママは少し間を置いてから言った。


「クリスちゃぁん。あなたが悪いわ。王子に謝った方がいいわよ。これまでの非礼を全部。分かった?」


 最後の方は、マジのトーンだった。



 続きが気になる方はぁーん。ブクマしてねぇん。お・ね・が・い。うっふぅーん。

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