52.四大国会議
その日、フェルマニア城には物々しい雰囲気が漂っていた。
それもそのはず。今日は予定されていた世界四大国会議の当日。場所はここ、フェルマニア城にて執り行われる。
フェルマニアを含む四大国の主要人が一箇所に集うのだから、厳戒警備は当然のこと。鼠一匹すら通れやしない。ましてやこの会議室内に忍び込もうものなら、入ったその瞬間に鼠だろうと何だろうと生まれてきたことを後悔することになるだろう。
会議室内のヒリついた空気感にあてられ、イルファは早くも胃が痛なっていた。
フェルマニア王家直属、王華剣舞隊所属、名はイルファ・クランメディア。彼女は入隊から一年という短い期間で、隊の三番手に上り詰めた若き秀才。
そしてその隣に立つは王華剣舞隊、副隊長ギード・ハイラルであった。
会議室内は異様にだだっ広く、部屋の真ん中に大きくてゴージャスな長机がぽつんと据えられている。その部屋の端、イルファは副隊長と扉の前に陣取っていた。
イルファは思う。何で警備をするのに自分達は室内にいるんだろう、と。普通警備するなら扉の外が相場だろう。まあ、扉の外には同じ隊のオーリック先輩とブレイグ先輩がいるんだけど。
つまるところ、一箇所しかない部屋の扉の前と後ろを四人体制で挟み込んで警備してるわけだ。馬鹿げてる。
イルファは部屋中を視線だけで一周する。
こんなにバカみたいに部屋が広いのは、この中の誰かが暴れ出しても良いようにと造られてるんだろうか。そんなわけないか。
長机の各席には既にこの会議に参加する各国の主要人が着席し、会議が始まるのを静かに待っている。その席の後ろにはお付の騎士がそれぞれ武器をぶら下げて待機している。
この部屋の中にいる殆どの人間が、超人。息を飲むほどだ。これ程の強者達が一箇所に集うことなど何十年、いやもしかすると何百年に一度かもしれない。それほどのメンツだ。
特にこの中で今最も異彩を放っているのは、獣人の国ガルダン王国マスターナイト――ガレオン・タルガニアスであった。
彼を見ていたイルファは心の中で唸った。
――うわ〜……あれが噂の聖天のひとり。すっごいマナ……。
彼を言葉で表すのなら、獅子の皮を被った人型の竜だ。獅子のような顔、牙、鬣、そしてあの馬鹿げたマナ。彼を百獣の王たらしめるに必要なものは全部揃っていた。
次にイルファが視線を動かすと、やっぱり一番手前の席に行きついた。さっきから何度も見ているのに、視線がここに戻ってきてしまう。
そこに座るはイルファの憧れ、この国の第三王女アリス様が凛々しいお姿で着席なさっておいでだ。そのすぐ後ろにはフェルマニア騎士団総団長であり、王華剣舞隊の隊長ベルザムが立ち控えている。
――隊長邪魔……アリス様が見えないじゃん……。
着席するアリスは後ろに立つベルザムの分厚い肩幅のせいで半分くらい隠れている。
――隊長いいな〜私もいつかアリス様に直接仕えてみたい。
そんなことをイルファが考えていたその時、背後の扉からノックの合図だ。
どうやら、漸くお出ましのようだ。
ギードとイルファの手によって、部屋の大扉が軋みながら両サイドに大きく開いた。
廊下からの逆行の中、その男が扉から姿を現した。
男が部屋に踏み入った瞬間、空気が変わった。それを全員が感じ取っただろう。
抑制されていてもわかる。人智を超えた圧倒的強者の圧。
イルファも、もちろん彼を目にしたのは初めてのことであった。
全身を包む白銀の鎧。腰にまで伸びる美麗な金髪。一瞬女性かと見まごうほど整った容姿。
――この方が……あの世界最強と名高き……ラブニの雷神……。
アスモンテ・ラブニ聖王国が誇る至宝。銀翼の騎士団総団長、雷神ルキウス・マルティアス・アルシュット。世界に四人と言われるマスターナイトの一人である。
座席から立ち上がったアリスはドレスの裾を摘んでお辞儀した。
「お待ち申し上げておりました。ルキウス様」
「これは姫君。此度は遅れましたこと、お詫び致しましょう」
二人の高貴な掛け合いを目にしたイルファは、
「〜〜〜〜っ」
感激のあまり思わず喉から声が漏れた。
その様子を横目に見かねたギードが小声で言う。
「おい、弁えろ。遊びじゃないんだぞ」
――そんなこと言われたって……お二人共、美しすぎるんだもん……。
ルキウスとその連れの大臣が着席したことによって、四大国会議はついに始まった。
凛とした眼差しでアリスが口を開いた。
「本日は我が国へお集まり頂き、誠にありがとうございます。早速ですが、改めてまずは自己紹介を。私はフェルマニア王国第三王女アリス・メリタ・フェルマニアでございます。以後お見知りおきを。此度の会合の進行は私と、バーバム大臣が務めさせていただきます」
アリスの隣に座る禿げオヤジ、バーバム大臣が一礼する。
「このたび皆様にお集まり頂いたのは他でもございません。女神様より新たな神託を授かったからにございます」
アリスの言葉を受けて、周囲は「おお〜」とわざとらしく反応する。
「その神託とは、魔王復活の時期が間もないこと。そして聖天の四騎士を集結させよとのこと」
会議参加者たちのヒソヒソとした声が聞こえる。
すると聖天の四騎士がひとり、ルキウスが静かに手を挙げた。
「ひとつよろしいか。その話は我が国に送られてきた文書にもあった話だ。聖天、つまりマスターナイトの招集。女神の神託とあらば従おうとこの地まで赴いたのは事実。だが肝心のマスターナイトが揃っていないではないか。かの剣聖とやらはどうした」
ルキウスの睨むような問に、一人の男が立ち上がる。
カーディアの席に腰掛ける、赤い鎧を纏いし騎士だ。
「剣聖マスターギルドレッドは、此度の招集には応じませんでした。何分多忙なお方でして。代わりに我々がカーディア帝国の代表代理として参上した次第です」
その男をルキウスが睨む。
「貴殿は?」
「申し遅れました。私はカーディア帝国パラディン、ロンダートと申します」
「パラディンだと……?」
「ええ。申し上げた通り私はマスターではありません。しかし実力はマスターの境地にも届きうると自負しております。私が代理では不服ですかな?」
「ふん……特に問題は無い。ただ、少し残念に思っただけだ。此度は剣聖と相見えると思っていたのでな」
ルキウスは少しつまらなそうに言う。
すると「ガハハハハハッ!」と豪快な笑いが響いた。
ガルダン王国マスター、ガレオン・タルガニアスであった。
「おいおい雷神。俺も一応、聖天の四騎士なんだが……まさか忘れられてはおらぬよな」
するとルキウスは横目に彼を睨んだ。
「貴様とは以前にも会っただろう。忘れたとは言わせんぞ」
「ガハハハハッ!そうだった!あん時はすまんかったな!」
部屋の端で話を聞いてるイルファは、一体何があったのか凄く気になった。
アリスが再び手を挙げて言った。
「話を戻します。今回の神託で特に重要なのが、魔王の復活が早まったという事実。そして現在魔人族が怪しい動きをしているという点にあります」
それを聞いた各国の大臣達が驚いた様子でひそひそ声を上げる。
「それは事実で?」
ルキウスが尋ねると、アリスは小さく頷いた。
「先日、東の領地にあるパマルという村が何者かの手によって壊滅しました。現在詳しい状況を確認しておりますが、逃げ延びた村人の証言と、残されたマナの残影から、魔人族によるものと断定致しました」
再び会議室がざわめく。
すると今度はロンダートと名乗ったカーディアの騎士が手を挙げた。
「話はわかりました。それで、我々を集めた理由は?」
「ですからそれは、女神様のご神託により」
「我々を集めたと言うことは、その魔人族共を我々に討伐させるのが目的ですか?それとも他に何か目的があるのでしょうか」
「それは……おそらくは魔王復活の阻止を皆様にご協力頂くためと」
「それは具体的にどのように?まさか神託があったからと、明確な意図も目的もわからず四大国の主要人を集めたわけではありますまいな」
「それは……申し訳ありません。私にも女神様の明確な意図はまだわかりかねます。ですけれど」
アリスが言いかけたところで、ロンダートは失笑を見せた。
「ははっ、これは失敬……しかしやはり、フェルマニアの聖女とは名ばかりなようで」
ほくそ笑むロンダート。
アリス王女がバカにされたことに、イルファがムッとした。そんな時、凄まじい殺気が会議室に充満した。
「貴様……我らが聖女を愚弄するか……」
ベルザムは静かな怒りをロンダートへと向けていた。
やっちゃえ隊長。なんてイルファが思ったそのとき、アリスがスっと手を上げ言い放つ。
「おやめなさいベルザム。私に恥をかかせるつもり」
「……っ、出過ぎた真似を」
その一言だけでベルザムの殺気は瞬く間に萎んで消え失せた。
「我が騎士がとんだご無礼を」
「ふむ、そちらの従者より姫君の方が幾分か達者でいらっしゃるようだ。流石はフェルマニアの王女と言ったところ。私こそ非礼を詫びましょう。しかしながら、はっきりと申し上げましょう。我々は貴女の受けた神託、そして聖女としての力に疑問を抱かざるをえない」
ロンダートの踏み込んだ発言に、室内の空気が一気に張り詰める。
「それは……どういう意味で?」
「そのままの意味です。あなたが本当の聖女かどうか疑わしいと、そう申し上げております」
「そんな、なにを……」
「嘗ては栄華を誇ったフェルマニア。しかし、今では見る影もない。平和に牙を取られ兵力は弱まり、先駆けとなったアーティファクトの技術も、今や他国に追いつかれている。特に国家の剣、マスターナイトがいないとは大国に有るまじきことではないか」
「それと聖女の力に一体なんの関係が……それにマスターナイトなら」
「よもやそのデクが貴国のマスターナイト。聖天の四騎士がひとりとはおっしゃいますまいな」
ロンダートが睨むその先には、歯を食いしばるベルザムの姿があった。
「ふむ、確かに手練ではある……が、聖天に名を連ねるほどでは無い。精々パラディン級といったところ」
「……っ、それで、話が見えませんね。一体どのような関係がおありで?」
「聖天の四騎士よ集えとは言うものの、そも彼の実力は聖天の四騎士には程遠い。しかしあなた方の主張は、彼は聖天の四騎士で間違いないと……我々には矛盾にしか見えませんな」
ベルザムは何も言えず歯を食いしばっている。
その姿をイルファは見つめながら、拳を握りこんだ。
隊長は、本当は凄く強いのに。日々努力を怠らず、高みを目指して研鑽を積んでいるというのに。何も知らない他国の騎士が偉そうに。
しかし、イルファには何も出来ない。この状況が歯がゆくて仕方がない。
するとアリスが睨み返すように言った。
「……彼は我が国家の剣、その侮辱はフェルマニアに対する侮辱と同義です。貴殿こそ、カーディアの代表としての器量に疑いの余地があると思いますが」
「これは失敬……気を悪くなさったのなら謝りましょう。しかしながら此度のカーディア帝国の代表は私だけではございません」
ロンダートがそう言うと、彼の後ろに控えていた女性がゆっくりと歩み出た。
美しい。彼女を見て誰もがそう思った。神官の装衣を纏う美しい少女。歳はアリスと同じくらいだろう。薄紫色の長い髪の上に、神官の帽子が乗っている。
彼女が前に踏み出ると、ロンダートは自信に満ちた声でその衝撃を言い放った。
「ご紹介致しましょう。彼女こそカーディアに舞い降りし真の聖女、リリシア・ナトゥカ・エストルカです」
その発言に、会議室内の誰もが声を上げて驚いた。
「彼女は氷の魔術を極めし、我が国最強の宮廷魔道神官。先刻、突如として聖女の力に目覚めました」
アリスは息を飲む。
その噂は耳にしてはいたが、まさか本当に。
すると周囲のざわめきを押し退けるように、ルキウスが発言した。
「それは誠の事実か?もしも虚偽であれば」
「それは我が国に対する侮辱でありますぞルキウス殿。世界を脅かす悪に世界が手を取り合おうという時に、我々がこのような嘘をつく意味がどこにございましょう」
よく言うわよ、とイルファは部屋の隅で思う。
さっきまでフェルマニアのことを散々バカにしていた癖に。
しかし、
「……そうか。ならいい」
ルキウスはすんなりと引き下がり、その事実を受け入れたようだった。理由は確かに、彼がそのような嘘をつく意味も道理もないからだろう。
するとアリスが納得いかない様子で疑問を投げた。
「し、しかし、なぜ今なのです……?第二の聖女が現れたと噂されていたのはふた月も前のこと。なぜ今ここで公表を……」
「混乱を避けるためです。我国も聖女の出現など初めてのこと。世界情勢を考慮しつつ国の方針を定めるため、暫し時間が必要でした。そして丁度そのころに貴国から四大国会議の申し入れがあったものですから、タイミングとしてはここで公表すべきと考えました」
ロンダートは表情ひとつ変えずそう話す。
しかしアリスの同様は隠しきれなかった。
――だって……女神様はそんなこと、一度だって……。
しかし考えれば考えるほど、女神はこの為に聖天の四騎士を集め四大国会議を行わせたのではと思えてしまう。
「これで我々がアリス王女を聖女として疑う理由もご理解頂けましょう。この世に第二の聖女が現れたことは過去数百年に渡って一度もない。なればどちらかが偽りの聖女である可能性は否定出来ない」
「お、お待ちください!」
ロンダートの言葉にすぐさま反応したのは、アリスの隣に座るバーバム大臣だった。
「アリス様が偽りの聖女だと言うのなら、勇者召喚はどうなるのです!?我々は現にアリス様の神託によって儀式を行い、見事勇者召喚を成し遂げましたぞ!」
確かにそうだ。そんな声が周囲からひそひそと聞こえてくる。
しかしロンダートは顔色ひとつ変えず言う。
「確かに貴国には勇者召喚の功績がある。しかし聞くところによれば、貴国の召喚した勇者達は随分と伸び悩んでいるそうだ。それも、一人は既に死亡したとか」
「ど、どこでそれを!?」
アリスが机を叩いて勢い良く立ち上がった。
それを見たロンダートが小さく笑う。
「おっと、ただの噂話と思っておりましたが、その反応を見ればどうやら事実のようですな」
「……っ、」
「言い伝えでは、数百年前フェルマニアの聖女が大規模な儀式を執り行い勇者召喚を成功させたとある。その儀式に関する情報が貴国には残されていただけなのでは?儀式の方法さえ分かれば、聖女でなくとも勇者召喚は出来る。違いますか?」
「…………っ」
バーバム大臣が酷く動揺した顔で隣のアリスを見つめた。
ロンダートの話は全くの空理空論ではないのだ。むしろ事実に近いところを抉っていた。
勇者召喚の儀式には多大なる犠牲が伴う。それをアリスは許容出来なかった。出来なかったが故に、勇者召喚の儀式の方法を秘匿したのだ。何度説得されようと、彼女は口を閉ざしたまま。見かねた国王は独自の判断で過去の文献を元に儀式を執り行い、勇者召喚を強行した。
儀式は三度失敗した。その度に犠牲となったのは人々の魂。このまま失敗を繰り返し無駄な犠牲を払うくらいなら、いっそ勇者召喚を手伝った方がましと思えてしまった。
四度目にして、アリスは勇者召喚の儀式を行い、ついに勇者達はこの世界に降臨するに至った。
忘れようとしていたのに、ここに来て思い出された罪がアリスの動揺を加速させた。
「わ、私は……本物の……聖女です」
真っ青な顔で震えるアリスを横目に、ルキウスが言う。
「今ここで真偽を確かめることはどの道出来ない。どちらも本物の聖女である、という前提で話を進めてはどうだ。双方、嘘をつくメリットはないのだから」
ルキウスの最もらしい提案に、さっきまで黙りこくってたガレオンが豪快に笑った。
「俺もルキウスに賛成だ。今は協力し合うべき時。特に我ら四国は同盟国だ。そこに亀裂が入っては魔人族の思う壺だろう」
二人のマスターに押され、ロンダートが「ふむ」と渋々頷いた。
するとガレオンが逸れた話を引っ張った。
「して、その第二の聖女様とやらは一体どんな神託を受けたのだ?」
「リリシア様、説明を」
ロンダートに言われ、第二の聖女リリシアが口を開いた。
「神託は二つ。一つは古の悪魔の復活です」
「悪魔ぁ?魔王とは違うのか?」
「はい。その悪魔は太古の時代より存在する災厄。悪魔を信奉する一人の男の手により、封印から解かれたようです」
全員の表情が変わる。
「ハハハッ、まさかもう復活してるとはな。では女神様はそやつを討伐しろと?」
「いいえ」
それだけ言うと、リリシアは首に掛けた首飾りを外し、全員に見えるように掲げた。
首飾りの先には金色の結晶が吊るされている。
「その結晶は……?」
アリスが尋ねた。
「これは我が国の魔術師と神官、総勢百五十人がひと月にわたり命を削って祈り作り上げたもの。膨大なマナと千の魂を贄とし生み出された悍ましき呪物。女神の封印結晶です」
「封印、結晶……?」
アリスはその結晶を見つめながら畏怖した。見た目はとても綺麗なのに、不気味すぎる気配が腹の奥にまで届いてくるようだ。
「それを使ってその悪魔と戦うということですか?」
「はい。女神様の神託では、敵は不死身。殺害が不可能であると」
またもや衝撃的な話に会議室に驚きの声が上がる。
「この世界一強固な封印の呪いによって悪魔を封じる。それが女神様より授かった神託のひとつです」
ざわめきの中、ルキウスが微かに笑う。
「敵は死なずか……なるほど、それ程までの強敵か」
するとガレオンがデカい声で尋ねた。
「しかし、その悪魔とやらをどう探す。見た目も特徴もわからんだろうに」
「女神様より神託を受けた際、悪魔とその信奉者の男の素顔をお教え頂きました。そして、私の持つ天恵〈千里眼〉は、探し求めたものの位置を把握することができる」
「ハッハハハッ!そいつは話が早い!どこにいる!」
「……ここ王都フェルマニス。悪魔達はこの街に潜んでいます」
「そんなっ……!?」
思わずアリスが叫ぶ。
「ガハハハハッ!よい!話がわかりやすくなってきた!」
テンションを上げるガレオンを他所に、冷静な態度でルキウスが尋ねる。
「話はわかった。それで、もうひとつの神託とやらは?」
「はい。悪魔の封印と信奉者の殺害に伴い……第二の勇者を召喚せよと」
今日一の衝撃とざわつきが会議室に広がる。
予想だにしない展開に、アリスは思い詰めたように放心する。
そんな彼女の背中を、イルファは心配そうに見つめていた。




