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魔王の名を継ぐ者  作者: 無明流一刀斎
第二章 魔王誕生
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第3話 Lv.1

 食事を堪能し、食休みときょうじていると、またもやアレクサンドラがやって来る。本当にこの人、俺を監視してるんじゃないだろうな? いい加減疑いたくなってくるぞ。


「ラングリード様。先代様がお待ちです。お越し頂けますか?」




 という事で、魔王が待つ部屋に通される。そこには、豪華なソファーに腰かけ、足を組んだ、イケメンの大男が、ニヤケた顔して待っていた。


「ふふふ、何だ、少しは見れるようになったではないか。どうだ、人の領域を越えて、こちら側に足を踏み入れた気分は?」


 ……こいつ誰? いや、声でわかるんだが……。てっきり渋いオッサンだと思ってたら、ハリウッド映画で主役はれるレベルのイケメンだった。イケオジというよりイケメンという表現がしっくり来る、腹立たしい顔をしている。クソ、5回は爆発しろ!



「何だ? 苦虫を噛み潰したような顔をしているが、飯でもまずかったのか?」


「飯は滅茶苦茶うまかったよ、御馳走さん。お前の顔が気に入らないだけだ。てっきりけたオッサンだと思ってたのに、何だよその張りのある顔は。まったくガッカリだよ!」


「フン、魔王を何だと思っておる。年など取るものか。わかっておらんのか? 我ら高位の存在は、年も取らなければ寿命もない。命を奪われるような傷でも負わなければ、半永久的に生き続けるぞ。そうでもなければ神などと争えるものか」


「何だよ、その出鱈目でたらめ設定。ファンタジーだからって何でも許されると思うなよ! お前なんかキライだぁ、連続コンボで爆発し続けろ!」


「うん? 本当にわかっておらんのか? 貴様も既にその魔王になっておるのだぞ!」


「は? え、俺も? 年取らないの? マジで? ……ボク、オジちゃん大好き♡」


「やかましいわ! 誰がオジちゃんだ。気色悪い事を言いおって、殴り倒すぞこのれ者が!」


 ふっ、照れやがって。本当はうれしいくせによ。その年でツンデレか? えねえぞ。


「ああ、まあ年取らないのは普通にうれしいけどよ。というか、人類の永遠の夢だからな、とんでもなさ過ぎてまだ実感が湧かない。それよりも、見える事がうれしいよ。すげえ見えてる。魔眼とか言ってたけど、こんなによく見えるものなんだな! 正直こんな日が来るとは夢にも思わなかった。この世界に来れて、お前に出逢えて本当に良かったよ。これが前世のごうってんなら、前世の俺、グッジョブだぜ」


「貴様のカルマは、そんなものではないのだがな。それに魔眼とは……、まあよいわ。喜んでいるなら何よりだ」



「にしても、すげえな、この身体。筋肉で完全に重くなってるはずなのに、すげえ軽いぞ。これで俺、どのくらい強くなったんだ? 素手でドラゴンと闘えそうだよな」


「フム、どれちょっとこっちへ来い」


 手招きする魔王に近付く俺。


 『ズバンッ』 突然デコピンされた俺は吹っ飛び、後ろの壁に激突する。


「ぐおおおおっ、イテえ!」


 額を抑え転がり回る俺。



「何しやがんだ、お前! 殺す気か?」


「ふふ、生きておるではないか。この間までの貴様なら、今ので頭が粉砕しておったわ」


 粉砕? コワッ! まだひりひりする額をこすりながら起き上がる俺。


「その程度なら、素手で倒せるのはゴブリンぐらいだろうよ。まあ、いきなり死にたくなかったら、武器は使うべきだと思うぞ」


「へ、そんなに弱いの、俺?」


 この世界のゴブリンがどの程度か知らないが、少なくともボスキャラって事は無いだろう。普通最弱級のキャラだよね。それとようやく渡り合えるレベル? 弱過ぎねえ?


「あのぉ、魔王さん? 俺ちゃんと魔王に慣れたんだよね? なのにゴブリンレベル? それって、村人とどう違うの?」


「まあ、普通の村人よりは強いだろうよ。でも、戦闘職相手なら勝てる保証はないな。そうだな、け出し騎士となら優位に闘えるかもしれんが、腕力と体力のごり押しで何とかなるのは、その程度の相手までだ。何せ貴様は、[魔王Lv.1] だからな」


「へっ、Lv.1? 魔王にもレベルってあるの? ちなみにお前のレベルは?」


「フン、我の全盛期は、Lv.1,000よ。そこで打ち止めになったわ」


「Lv.1,000? こいつは何を言っているんだ? けたが多すぎていまいち把握できない。



「そうかぁ、この世界ってレベルがあるのかぁ。さすが異世界、ファンタジー全開だな! うん、ゲーマー魂にひが着くぜ! メタルなあいつを狩りまくるぞ、一狩り行こうぜ!」



「貴様、何か遠い目をしておるぞ! 現実逃避しておるだろう。さっさと帰って来ぬか!」


「ハッ! 危なかった。新たな世界に旅立つところだったよ。よく呼び戻してくれたな」


「面倒な奴め、精神が脆弱ぜいじゃく過ぎるわ。貴様は1から修業せねばならんようだな。戦闘レベルとともに、精神の格も上げてこい」


 何かトラウマが刺激されるような事を言われた。どこで言われたんだっけ?



「で、俺ってどうすりゃいいの? ちゃんと身体は魔王なんだよね?」


「アレクサンドラは知を司る我が腹心ぞ。あらゆる学問と知識に精通しておる。魔導生命学や魔素生化学などのエキスパートでもあるのだ。何の問題もないわ」


「じゃあ、ぶっちゃけ、俺ってこれからどうしたらいいの? レベルってどうやって上げるんだ?」


「無論、戦うだけよ。敵と戦い、倒して経験を得る。それが蓄積されレベルが上がる。それは人も魔王も同じ事よ。ただし、魔王の持つ固有スキルとして、[必要経験値減少]というものがある。つまり、レベルを上げるのに必要とされる経験値が、並の者より少なくて済むからな、当然レベルが上がりやすくなっておるわ。どうだ? お得であろう」


 確かに、他の連中よりレベルアップが早いのは有難い。いや、チート能力と言えるだろう。やはり魔王だけあって、いろいろとお得なスキルが隠されているようだな。有効に使わないとな。



「で、自分のスキルとかどうやって確認するんだ?」


「貴様は鑑定眼があろうが。あれは自分の鑑定もできる。それで見ればよかろう。自分に意識を向けて、[鑑定]と唱えればよい。ああ、口に出す必要はないぞ、念じればよい」


 [鑑定]? なんだそれ、ホントにラノベみたいじゃねえか。すげえな、オラ、ワクワクすっぞ。では早速、[鑑定]……、あれ?


「何だ、何にも起こらないぞ? お前騙だましたな!」


「貴様、今我を鑑定しようとしたであろう! この愚か者が。Lv.1如きが我を鑑定できる訳がなかろうが!」


 チッ、バレたか。Lv.1,000がどの程度のものか見てやりたかったんだがな。格上は見る事ができないのか。


「フン、このれ者が、油断もすきもないわ。[鑑定]は同格かそれ以下の相手しか見る事はできん。一応言っておくが、今の貴様ではアレクサンドラを鑑定する事も叶わぬわ。我を鑑定したければ、レベルをあと900は上げてからもう一度試すのだな」


 900って何百年かかんだよ、それ。仕方ないな。自分を意識してっと、[鑑定]。


「おっ、何か出た。頭の中に半透明なスクリーンのようなものが浮かぶ。


 名前:ラングリード 種族:魔王 性別:男 年齢:0歳 ジョブ:[旅人Lv.1][魔王Lv.1] スキル:[次元収納][紫電][創造錬金] 魔法:[火D][水C][風D][土D][光D][闇D][雷撃C][治癒C] 称号:[次元超越者][女神の茶飲み友達][魔王継承者]



「どうだ? 見えたであろう」


「ああ、見えた。これが俺か? って、俺0歳ってなってるけど、どういう事だ?」


「貴様は生まれ変わったばかりだからな。まだ1歳にもなっておらんわ、赤子よ赤子」


「えらくけた赤子もいたもんだな。ジョブは2つあるのか?」


「元来ジョブは一人1つだ。だが、まれに2つ持つ者がいる。特殊な血脈や数奇な経験をした者に多いが、貴様は2つあるようだな、さすがだ」


「何がさすがなのかはわからんが、まあ数奇な運命は辿ってるか」


「それと、ジョブ[魔王]の特殊スキルとして、[ジョブ追加]というものがある。そのまま自分のジョブの数を増やすスキルだが、これはもっとレベルを上げないと使えない。Lv.1ではなぁ。気になる項目に集中してみろ、もっとよく見えるようになるわ」


 なるほど、では、ジョブ[旅人]に集中してみる。


 旅人:長らく旅をしてきた者 体力小+ ふむ、0歳なのに、長らく旅とはこれ如何いかに。




 よし、いろいろ確認していこう。それから俺は自分のステータス画面をじっくりと確認していった。魔王は途中できて退席し、今はアレクサンドラ先生が教えてくれている。まったくきっぽいおとこだ。


 にしても、美人女教師と個人授業。……なんかドキドキするね。間違いとか起こらないかなぁ。

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