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結局、セルに問う事が出来ないまま、探索に向かう事になってしまった。
気にはなるが、どうしても引っ掛かるのなら後で聞いてみれば良い。
そう思う事にして、フィーは気持ちを切り替えた。
各々が思う方向へ散っていく。
それの背中を見ながら、そう言えば…と考え込んだ。
(セル様達は、何か手掛りとか持っているのかしら…?
学院敷地内と言っても、かなり広い。
敷地内には学生の為の施設は勿論、教員を始めとした職員用施設、それに加えて警備関連施設。建物だけでもかなり多いし、一つ一つもそれなりに大きい。
これから探す森林にしたって、管理されているとは言え馬鹿みたいに広いのよ。
当てもなく探せる大きさじゃないわ)
ふと顔を上げれば、まだ視界内にルルの背中が見えている。
答えて貰えるかわからないが、聞くだけ聞いてみようとフィーは駆け寄った。
「ルルさん」
「へ?」
フィーが話しかけてくるのが余程想定外だったのか、ルルは目を真ん丸に見開いていた。
「え…っと、どした?」
何故かルルは周囲をぐるりと見回してから、フィーに目線を合わせる。
「すみません、少しお聞きしたい事があるのです」
フィーがそう言うと、今度は満面の笑みを浮かべた。
どうにも理解に苦しむ反応に、フィーは思わず首を傾げたくなったが、そんな事はお構いなしにルルが喋り出す。
「おう!
何でも聞いてくれて良いぜ。
つっても、俺が知ってる事なんて、そう多くはないけどな。
えっと、酷い偏食とかは、無かったと思う。
あ~、何でも大丈夫だけど、好物は果物…かな、多分!
意外かもしれないけど、甘い物も好きだと思うぞ。
別に高級菓子とかじゃなくて大丈夫!」
もし視える人物が居れば、フィーの周辺には盛大に疑問符が、乱舞して視えた事だろう。
ルル自身の事ではなさそうだ…と言う事くらいは、何とか理解出来たが、そうではない。そんな、何の事かさっぱりわからない雑談をする為に、ルルに声を掛けた訳ではない。
フィーが困惑に黙り込んでいると、ルルも気が付いたらしい。
「あれ…違った?
なんだよぉ、てっきりセルの事を聞きに来たのかと思ったのに」
そう呟いて、ルルは不満そうに口をへの字に曲げた。
何故不機嫌になるのか……解せぬ…。
第一、セルの事が聞きたいのであれば、本人に聞けば良いだけである。
だが時間は有限だ。
余計な話で時間を食い潰す気はない…が、まずは機嫌を直して貰った方が良いだろう。
「御気分を害してしまったのなら、それについては申し訳ございません」
「あっと、こっちこそごめん。
俺の早とちりだったみたいだ。で、じゃあ何?」
早とちりってなんだ…と、突っ込みを入れたくなる気持ちを抑え込んだ。
そんな事に一々突っ込んでいては、時間が幾らあってもたりない。
落ち着いて話が聞けそうになったのだから、早々に用件を済ませよう。
「はい。
探し物についてなのですが、皆様は何か手掛りをお持ちなのですか?」
誰かの耳に届いてしまうかもしれないので、言葉を濁したが、伝わってくれるはずだ。
「探し物って、あぁ。
手掛り…そういやフィーには話してなかったっけ」
ルルは途端に、バツが悪そうに顔を顰める。
「本当にごめん。
つっか、セルが話してなかったのかよ…」
むぅと唸ってしまったルルだったが、『ぁ』と小さく声を漏らした。
「探し物そのものについては、後でセルに聞いてくれ。
うん、それが良い。
シャフでもなく、セルに聞いてくれ、うんうん。
で、探す手掛りか…ん~、例えるなら口伝の情報だな」
「口伝…ですか」
「そ。
でも魔法による伝達だから、一言一句間違いはないぜ?
で…それによると、この学院の敷地内にあるのは間違いないんだよな。
ただ、どう言う状況で置かれてるのか…とか、そういう事はさっぱりお手上げ。
でも近づけば血が反応するとは伝えられてるんだ。だもんで、せっせと敷地内を、なんかかんかと理由を付けて歩き回ってるって訳」
「なるほど…。
教えて下さり、ありがとうございます」
ルルに丁寧に礼を言って、フィーはその場を離れる。
一人になり、担当箇所を歩きながら考えに沈み込んだ。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。
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