表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/116

77



 まずは順当にノックする。

 アンネッタ達、他の王族の部屋からは考えられない程、かなりシンプル且つ重そうな扉だ。

 エネオットが暴れたりするから、飾り気の少ない部屋が、自室として割り当てられたのだろう。


 そして案の定無言だ。

 フィーは想定の範囲内と思いながらも、つい溜息が零れる……が、ここで反転180度してしまったら、今日訪れた意味がない。

 もう一度ノックし、今度は声も掛けた。


「王子殿下。

 フィーでございます。

 扉を開けて頂けませんか?」


 扉の奥で人の動く気配がする。

 我慢強く待っていると…。


「(………か、帰れ!!)」


 扉越しに、くぐもった(いら)えがあった。


(声は……くぐもって聞こえるけど、エネオットに間違いなさそう。

 でも、妙におどおどした感じがする。やっぱり転機があったみたいね。

 それが記憶のせいか、魂のせいか、それともそれ以外なのかはわからないけれど。

 けど、どうしたものかしら…このまま来た道を戻ると言う選択肢はない。

 ない以上、(天岩戸)をなんとしても()じ開けないと…。

 ……ぃゃまぁ、だからってダンスする気はないけど…)


 正確には単なるダンスではないが、そんな事はどうでも良い。

 今の所、声を掛けるしか方法がない訳だが……どう言った言葉を掛ければ、扉を開かせる事が出来るだろうか?


 フィーは思わず腕組みをして考える。


(これまでのエネオットとしての記憶があるなら、フィーと名乗ったのは悪手だったかもしれないわね。

 出来れば遭遇したくない…それこそ敵…と言うか天敵だもの。

 ……ぁ…そうだわ……ぃぇ、でも……)


 何か思いついた様だが、直ぐに逡巡してしまった。

 しかし他に方法はないと決意したのか、フィーは双眸を閉じてゆっくりと深呼吸してから、(おもむろ)に扉に近付き……身を屈めて張り付いた。


「超大盛りフェア」


 中の気配がたじろいだように感じる。


 前世を彷彿とさせる言葉は、フィーにとっても諸刃の剣だ。

 なにしろ、これはフィーにも前世の記憶があると、白状しているに等しい行為だからである。


 エネオットの中身次第では、敵になるしかないから、可能な限り避けたかったが仕方ない。

 賭けなのは確かだが、さっきの返答から『勝算あり』と見込んでの行動だ。


(中身が碌でもない人物なら、おどおどした感じにはならないと思うのよね。

 そう言う人物なら、きっと開き直るに違いないもの。

 開き直った挙句、呆れ返る程、弱みも変化も、見せたりしないモノだと思う。

 ………あれ、私ってじゃあ……碌でもない?

 まぁ良いわ。

 開き直ったけど、別に悪事を企んだりしてないし…きっと悪役なのは顔だけよ)


 そんなズレた事を考えていると、中の人物…エネオットが、ゆっくりと近づいてくる気配がある。

 だが、少しすると止まってしまった。

 やはり、あまり悪人の反応ではない気がする。


「ラノベ、サブスク、アニメ、漫画、他には……ゲームも……オタクにとってはこの世界、『ないモノ尽くし』で辛いものがありますよね」


 立ち止まっていた気配が、驚きの早さで扉越し直ぐにまで近付いてきた。

 そして間髪入れずに開錠音。

 ……ゆっくりと薄く扉が薄く開いた。


 開かれた扉の隙間、その奥の暗がりに、(やつ)れきったエネオットが驚愕の表情で、立っているのが見える。

 暗がりのせいだけではない顔色の悪さに、フィーの方がギョッとしたくらいだ。


「……ィ……フィー……き、みは…」


 暫く、声を発する事もなかったのだろう。

 一人閉じ籠って、話し相手も居ないのならそうなるしかない。

 最初は声が(かす)れていた。


 だが、それに留まらず、扉の奥のエネオットは、くしゃりと顔を歪めたかと思うと、滂沱の涙を零し始める。

 ただでさえギョッと身を引いていたフィーだが、思わず仰け反ってしまった。


 だが直ぐにハッとして、周囲を見回し、誰もいない事を再確認すると、素早くエネオットの部屋に滑り込んだ。

 中身はどうあれ、彼は『エネオット』その人である事に変わりはない。

 一国の王子殿下が、泣き顔なんて周囲に見せる訳にはいかないだろうとの判断だ。


 そっと扉が閉じられる。

 男女が密室に…なんて言ってる場合ではないし、問題になるのは同じ貴族階級の令嬢や夫人に限った事で、メイドなんて動く置物程度にしか思われていない以上、問題にもならない。


 そして…部屋の前の廊下には、静寂が戻って来た。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ