214 狭間の物語 ◇◇◇ 羈旅終演―4―
ノーエの代わりに、アミーナがげんなりした様子で答えた。
【あのねぇ…サーズが担当してるルルさんが一番軽症なの!
ワタシの担当のシャ……そう! シャフィロンさん!
彼がその次で中傷って感じなの! そのシャフィロンさんもまだ完了できてないわよ?
ワタシは継承魔法を消せてるけど、魂の修復自体はまだ終わってないの!
でもって、ノーエの担当がセルフィウスさん。
リエ様のお気に入りで一番重症の人!!
一番の重症なんだから、言われなくっても察しなさいよっ!!】
アミーナに説明されてもピンとこないのか、サーズは若干むくれたように零す。
【つっか、じゃあいつになったら終わるんだ?
俺はガヴォー様ンとこに早く戻りたいんだよ。
だって居心地良いじゃん?
……今も別に居心地が悪いって程じゃねぇけどよぉ…】
【そんな直ぐに終われるなら苦労してないんだけど?】
疲れ切った様子のノーエが言うには、セルの魂は生きてるのが不思議だったくらいボロボロ状態で、真っ先に継承魔法の解除に取り掛かれず、最低限の修復をしてから取り掛からざるを得なかったらしい。
人間達の会話から、先に使い物にならないようにしたが、解除と残りの修復はこれからなのだという。
【があああ!!!
じゃあいつになるんだよっ!!!】
「!?」
サーズが感情のままに叫んだ拍子に、セルがピクリと耳を欹てた。
【ちょ!】
【ぁ…】
【やべ!】
アミーナ、ノーエ、そしてサーズの声が咄嗟に漏れる。
「その声……どこ…?」
気付いたのはセルだけだったようで、シャフとルルは首を傾げていた。
「…結界で聞いた声だよね?
確かサーズ…アミーナ……あと一人はごめん、名前を聞いた記憶がない」
【…………】
「あれ…もしかして違った?」
何処からともなく溜息が聞こえる。
【はぁ……間違って…ないわね】
【おいぃぃ!?】
返事をすると思ってなかったのか、サーズが慌てた。
【今更だわね。
気付かれたんだモン、あっさり見逃してくれる筈ないでしょ?
セルフィウスさん相手だと、ワタシ達、しっかり捕まえられちゃうだろうし…はぁ、もう…サーズのせいよ……】
【う”……】
サーズが大人しくなったところで、アミーナが再び話し出す。
【改めまして、ワタシはアミーナ。さっきから煩いのがサーズよ。
そして名乗ってなかったもう一人はノーエ。今、アナタの修復に忙しいみたいだから、放っておいてあげて】
「修復…?」
シャフとルルにも声が届いたらしく、目を見開いて固まっている。
何故あの3精霊達がこの場にいるのかわからない。
それを問うと、アミーナはあっさりと口を割った。
【リエ様に頼まれたのよ。
アナタ達の魂がボロボロだから、修復してやってくれって。
だって、放っておいたら早晩死んじゃってたもの】
「「「………」」」
【あ!
だから鍵とか何とか言ってたけど、それももう無理だから! ンフ♪】
「な…」
セルが慌てて、何かを念じるように目を閉じる。
だが、暫くして脱力した様に、その場にへたり込んだ。
「……発動…しない…。
………そんな…どうして!?
鍵がなければどうなるんだ……」
絶望を滲ませたセルに、アミーナが淡々と告げる。
【どうにもなんないわ。
だって鍵じゃないし、ただの保険ってだけみたいだったもん。それにもうリエ様はガヴォ様と旅立ってるから、どのみちアナタ達は追いつけない。
このまま帰って、寿命まで生きるのが一番よ。
あ、もう暫くはワタシ達も同行する事になるわよ?
だって、まだ完了してないモン】
へたり込んだまま地面を睨むセルに、アミーナが続けた。
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