213 狭間の物語 ◇◇◇ 羈旅終演―3―
【おいおい、なんか奴らの話……不味いんじゃねーの?】
【あら、サーズが他人の話を聞いてるなんて、槍でも降って来るんじゃない?】
【うっせえ!
俺様だってそんくらいは【ちょっと黙って!!】ッ!】
サーズの声を鋭く遮ったのはノーエだ。
【今、急いで回路の切断してるんだから、ちょっと静かにしてて!】
【ごめん!】
【お、おぅ……悪ぃ……】
静かにしてくれと言われたが、延々と続く沈黙と人間達……セル達の事だが、彼等の話の進み具合に、アミーナが居ても立っても居られない様子で喋り出した。
勿論声は潜めている…つもりである。
【でも、リエ様って凄いのね。
可能な限り継承魔法の方を先に解除しておいてって言われたけど、本当にそれを発動しようとするなんて】
【俺が担当した…名前なんだっけ?
まぁいいや、あの男女にはなかったんだけど、実際どんな術式なんだ?
リエ様もなんか確信があって言ってたんじゃなさそうだったし、気になるんだよなぁ】
サーズの問いに、声を潜めたままアミーナが憮然と答える。
【呆れた…アナタの担当は『ルルさん』よ、『ルルさん』!
そのくらい覚えときなさいよ。
ただまぁ、あの子たちの話は当たらずとも遠からじ…じゃないわよ。全然的外れね。
っていうか、ほんとリエ様が危惧した通りだわ。継承魔法って穴だらけの癖に無駄に煩雑……】
プリプリと苛立ちを声に込めていたアミーナだが、すっと感情を下降させる。
【でも、リエ様やガヴォ様の話を聞いたら……仕方ないかって思っちゃう。
だって命からがら逃げ伸びて、その先でも正体不明の敵がいつおそってくるかって怯えながら、これだけのことをやってのけたんでしょ?
多分、継承魔法の構築と施術が一番最後だっただろうし…】
【ま、ライアンサなんて俺にはさっぱりだけど、なんだっけ? リエ様の叔父?
すげぇ奴だったんだなぁ…ってくらいはわかる……で? さっきも聞いたけど、その何とかの術式って、結局なんだったんだよ?】
【あら、ごめんあそばせ♪
話がズレちゃってたわ。
あの子たちが鍵って言ってんのは、鍵って言うより緩衝剤…緩衝術? そんな感じね。
どっちかって言うと鍵はガヴォ様だモン。
ガヴォ様とリエ様が揃えば必要のないモノよ。必要となるのはガヴォ様を扱うのがリエ様じゃない時。
ガヴォ様って、ライアンサの至宝って言われてたくらい強い魔力を持ってるでしょ?
で、ガヴォ様はリエ様と繋がってた。
だから、リエ様以外を相棒…と言うか同行者にしなきゃなんなくなった時、ガヴォ様の魔力が、同行者を傷つけないようにする必要があったのよ】
多分理解しきれていないのだろう…サーズは無言を貫いている。
それに気付いているのかいないのか…アミーナは頓着せずに続けた。
【継承魔法はあの子たちの魂の中に刻まれてたじゃない?
だからリエ様も全部はわからなかったみたいだけど、多分術者の方を知ってるから、あの人だったら~とかって考えたんじゃないかしら?
ま、大当たりだった訳だけど…なんて言うか……追い詰められた人って、凄いというか怖いというか…ね】
アミーナがふぅと一息吐いた時…。
【やった!】
ノーエの嬉しそうな声が響いた。
【まだ消しきれてないけど、応急処置で切断は出来た。
これで発動はしない筈!
ふぅ…じゃあ次は修復だな…はぁ、疲れた】
ノーエの歓声の後に続いた言葉に、サーズが怪訝そうに問いかける。
【あ”?
次は修復って……おいおい、まだ修復終わってなかったのかよ】
瞬時に空気が張り詰め、ピキリとヒビが入ったような錯覚を覚えた。
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