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「そうだね。
多分そうなると思うよ」
答えたセルを見るシャフの視線は、何か含むものがあるのか沈み込んで見えたが、ルルは気付いていない。
「だとよ。
んじゃ、暫しのさよならって奴だな」
フィーも思う所を隠したまま、頷いた。
ただ、表情が明るいのはルルだけで、セルとシャフのそれが暗い事に、フィーは少し引っ掛かりを覚える。
とは言え、追及する程でもないか…と、引っ掛かりに蓋をした。
「はい。
あぁ、お守りはちゃんと持っててくださいね」
そう言って、フィーは気付かれない様に3人の内側を視つめる。
ちゃんと指示通りに3人共、魂の修復が進んでいる事にホッと胸を撫で下ろした。
体調不良等を彼等が感じているかどうかはわからない。だが、修復は魂の内部から進めるよう頼んでおいたから、今は例え体調不良等はあっても解消はされていない筈で、あのお守りに不信感は持たれていない……と、思いたい。
不審に思われて、捨て置かれては元も子もないのだ。
それと言うのも、フィーが一人で旅立つと…シャフやルルを待たないと決めているから。それを気付かれない様に…もし気付かれても出来るだけ時間を稼げるように…と考えた結果だ。
内部を完治させた後、一気に修復を完了する様に言っておいたのだ。
彼等に自身の変化を気付かれては、フィーがひっそりと旅立てない可能性も出てくるので、これは必要な措置だった。
ルルの石に留まるサーズが、フィーに声を掛けようと出てきかけていたが、それは一喝しておく。
「それでは暫く離れますが、また…」
シャフの言葉を切っ掛けに、セルも置いていた鞄を持ち上げた。
「イボルボンの土産も持って来るから、楽しみに待っててくれよ」
ルルが二パッと笑う。
最後にセルが伏せていた目を上げて、フィーを見つめた。
「元気で。
そして無理はせず、ちゃんとシャフ達を待ってて欲しい。
それから……」
セルは続きを躊躇い、視線を泳がせる。
「セル様?」
何をためらっているのか…その理由がわからず、フィーは首を傾げた。
「……ぃゃ…その…。
…忘れないで…。
忘れてくれて良いんだけど…出来るなら覚えていて欲しい…僕の事を…」
小さく呟かれた言葉を、しっかり拾ったフィーは一瞬目を見開いて固まった。
しかし、直ぐに視線を落として頷く。
「忘れません。
絶対に」
フィーは服の下にあるネックレスへ指先を伸ばした。
ただのアクセサリーではない…セルから贈られた彼の色。もう手放せない…フィーの宝物だ。
ちゃんとセルの無事と幸せを願うから、これは…セルから贈られたモノ全て、一緒に連れて行く事を許して欲しい。
「旅の無事を祈っています。
そして必ず幸せになって下さい。約束です」
虚を衝かれたように、セルは伏せていた目を上げた。
その琥珀色の瞳は、薄膜が貼ったように潤んで見える。思わずフィーへと空いた方の手が伸び掛けた。それにハッとした様にセルは手を戻して握りしめ、クシャリと顔を歪めながらも頷いた。
「そうだね。
今でも幸せだよ…これ以上ないくらいに幸せなんだよ。
でも…それはフィーもだから。
フィーのこれからに、幸多き事を祈り続けるよ、ずっと…」
そうして歩き出した3人を、フィーは背中が見えなくなるまで見送った。
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