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悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


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209/211

209


「そうだね。

 多分そうなると思うよ」


 答えたセルを見るシャフの視線は、何か含むものがあるのか沈み込んで見えたが、ルルは気付いていない。


「だとよ。

 んじゃ、暫しのさよならって奴だな」


 フィーも思う所を隠したまま、頷いた。

 ただ、表情が明るいのはルルだけで、セルとシャフのそれが暗い事に、フィーは少し引っ掛かりを覚える。

 とは言え、追及する程でもないか…と、引っ掛かりに蓋をした。


「はい。

 あぁ、お守りはちゃんと持っててくださいね」


 そう言って、フィーは気付かれない様に3人の内側を視つめる。

 ちゃんと指示通りに3人共、魂の修復が進んでいる事にホッと胸を撫で下ろした。


 体調不良等を彼等が感じているかどうかはわからない。だが、修復は魂の内部から進めるよう頼んでおいたから、今は例え体調不良等はあっても解消はされていない筈で、あのお守りに不信感は持たれていない……と、思いたい。

 不審に思われて、捨て置かれては元も子もないのだ。


 それと言うのも、フィーが一人で旅立つと…シャフやルルを待たないと決めているから。それを気付かれない様に…もし気付かれても出来るだけ時間を稼げるように…と考えた結果だ。

 内部を完治させた後、一気に修復を完了する様に言っておいたのだ。

 彼等に自身の変化を気付かれては、フィーがひっそりと旅立てない可能性も出てくるので、これは必要な措置だった。


 ルルの石に留まるサーズが、フィーに声を掛けようと出てきかけていたが、それは一喝しておく。


「それでは暫く離れますが、また…」


 シャフの言葉を切っ掛けに、セルも置いていた鞄を持ち上げた。


「イボルボンの土産も持って来るから、楽しみに待っててくれよ」


 ルルが二パッと笑う。

 最後にセルが伏せていた目を上げて、フィーを見つめた。


「元気で。

 そして無理はせず、ちゃんとシャフ達を待ってて欲しい。

 それから……」


 セルは続きを躊躇い、視線を泳がせる。


「セル様?」


 何をためらっているのか…その理由がわからず、フィーは首を傾げた。


「……ぃゃ…その…。

 …忘れないで…。

 忘れてくれて良いんだけど…出来るなら覚えていて欲しい…僕の事を…」


 小さく呟かれた言葉を、しっかり拾ったフィーは一瞬目を見開いて固まった。

 しかし、直ぐに視線を落として頷く。


「忘れません。

 絶対に」


 フィーは服の下にあるネックレスへ指先を伸ばした。

 ただのアクセサリーではない…セルから贈られた彼の色。もう手放せない…フィーの宝物だ。

 ちゃんとセルの無事と幸せを願うから、これは…セルから贈られたモノ全て、一緒に連れて行く事を許して欲しい。


「旅の無事を祈っています。

 そして必ず幸せになって下さい。約束です」


 虚を衝かれたように、セルは伏せていた目を上げた。

 その琥珀色の瞳は、薄膜が貼ったように潤んで見える。思わずフィーへと空いた方の手が伸び掛けた。それにハッとした様にセルは手を戻して握りしめ、クシャリと顔を歪めながらも頷いた。


「そうだね。

 今でも幸せだよ…これ以上ないくらいに幸せなんだよ。

 でも…それはフィーもだから。

 フィーのこれからに、幸多き事を祈り続けるよ、ずっと…」


 そうして歩き出した3人を、フィーは背中が見えなくなるまで見送った。





ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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