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悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


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203/213

203


 何を企んでいるのか……ネルローネもヨリアンナも、それはそれは、これ以上ない程の満面の笑みである。


 そして見回したりする必要もなく、室内は布地で埋め尽くされていた。

 どこを見ても布、布、布…純白、白真珠色……ほぼ全てが白か、それに準ずる淡い色味のものばかりで溢れていて、何とも目に眩しい。一部、見本だろうか…主に真珠やダイヤと言った、白を侵蝕しない宝石も片隅に置かれていた。


 どうやら話を聞くとネルローネの提案だったらしい。

 実は彼女の婚姻話も進んでいて、来年の春には婚約を公表する事になりそうだという。恐らくネルローネが嫁ぐより先に、アンネッタがエネオットに嫁ぐ事になりそうではあるが…。


 それで現状を説明すると、出来れば布地やデザインの一部だけでも良いから、アンネッタと揃いの婚礼衣装を作りたいとの事だった。

 しかし…だ。フィーは考える。


(婚姻先の関係各位に、話は通っているのだろうか……)


 当たり前の懸念ではあるが、王女が他国に嫁ぐ……それ即ち政略面を無視する事は出来ないという事だ。

 相手の国の面子など諸々考えると、感情で動くのは…と表情を曇らせていると、ヨリアンナが正確にフィーの表情を読み取ったようで、心配ないと告げる。

 どうやらネルローネと相手とは、幼い頃から面識があるようで、ネルローネの思いを汲んでくれたらしい。


 なるほど…とフィーは納得したが、アンネッタはまだ不安があるようだ。

 アンネッタは王家に嫁ぐとは言え、現在は公爵家の令嬢でしかない。そのアンネッタと、王女であるネルローネの婚礼衣装に、共通の何かを取り入れるのは不敬ではないか…と、アンネッタが不安を持つのも当然だろう。


 すると、すかさずエネオットがアンネッタの手を取り、優しく握りしめた。


「不敬なんてある訳ないだろう?

 ネルローネ本人が望んでるんだし、お相手も良いと言ってくれた。それにもし許されるなら、俺もアンネッタ嬢と揃えたいんだけど…」


 『ボン』と小さな爆発音でも聞こえてきそうな程、瞬時にアンネッタの顔面が沸騰した。


「で、殿下……それは、その……嬉しいです」

「良かった。

 許してくれて、俺も嬉しい」


 流石にヨリアンナとネルローネが咳払いをする。


「「んん!」

「エネオット……少し席を外して貰えるかしら?」

「もう、お兄様がいると進まないわ。フィー、悪いのだけどお兄様を部屋から出して。

 で、そのまま暫く部屋に閉じ込めておいて」


 ネルローネがシッシと手払いをしている。

 妹の失礼な仕草に怒る様な事はもうないが、相談が進まないと言われ、エネオットはぐうの音も出すむぅと唸った。

 とは言うものの、やはりアンネッタから離れがたいらしく、抵抗する様にフィーへと情けない表情を向ける。

 尤も、そんな彼の表情に狼狽えるフィーではない。


「かしこまりました」


 淡々と告げるや、フィーはエネオットの前にズイッと割り込む。


「王妃陛下、王女殿下のお許しを頂きましたので失礼いたします」


 流れる様に拘束しようとするフィーに、エネオットが慌てて待ったをかけると、大人しくフィーの圧に押されるように部屋から出て行った。


 エネオットをせっつくように後ろから続くフィーが、一礼してから扉を閉める。

 その一連を眺めていた高貴な女性達は……。


「流石フィーね。いとも簡単にエネオットを御したわ」

「お兄様もフィーには形無しね。

 やっぱり褒賞を与えるべきじゃない? だってあの馬鹿を見事に矯正してくれたんだもの。

 おかげでアンネッタとは、無事、義姉妹になれそうだし!

 ほんと嬉しい…あぁ、もう、フィー様々だわ!」


 辛辣とも言えるヨリアンナとネルローネの言葉に、アンネッタは困ったように視線を泳がせた。




ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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