表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

198/214

198


「そろそろ戻ろうか。

 帰りの時間もあるし、あまり遅くなるとフィーの雇用主である公爵家から苦情が来てしまいそうだ」


 セルの気遣いには感謝だが、最近は特に、心配らしい心配はされてはいないと思う。先だってのケルナー救出劇も、陽が落ちてからの話だったので、公爵邸面々の認識が『心配不要』に落ち着いているのではないだろうか。

 まぁ、この王都でフィーに物理的怪我を負わせられる人物がいるかと問われれば、返答に窮するのは間違いない。


 でも…だからこそ、気遣いが嬉しい。

 まるで女の子扱いされているようではないか。これを喜ばずして何とする…である。

 

 フィーが頷くと、当たり前のように手が差し出される。

 正直に言うと気恥ずかしいのだが、今だけの特権と、フィーはその手を取った。

 手を繋ぎながら、てっきり来た道をそのまま戻ると思っていたのに、そのルートをいつの間にか外れている。


「あの…セル様?」

「ん?

 うん、少しだけ寄り道」


 何処に寄り道したいのか、皆目見当もつかないが、手を引かれるまま歩いて行くと、なだらかな坂道が見えてきた。どうやら目的地は少し高台になっている場所にあるようだ。坂道を上っていくと、先の方に噴水が見える。

 その噴水の先はちょっとした展望スペースになっているみたいだ。


 夕方前と言う微妙な時間だからだろうか、人影はフィーとセル以外にない。

 仕事終わりにも、夕飯の買い出しにも、少しばかり早い時間だからだと思われる。 



「こんな場所あったんですね」


 フィーは普段、公爵邸を中心に学院と王宮、近場の商店街くらいしか出歩かない。その為思った以上に王都の事を知らないのだ。

 別にそれを不満に思った事はないが、こうして新たな発見があれば、やはりワクワクしてしまう。


 手摺に手を置き、眼下に広がる景色を楽しんでいると、いつの間にかセルがフィーの背後に立っていた。

 振り返ろうとすると『そのままで』と小さく告げられる。

 何故止められたのかわからないが、言われるまま眺望の方へ顔を戻すと、首元にひんやりとした何かが触れた。

 『え?』と思い、視線を下げると見た様な気がする深みのある黄色が揺れている。


「セ…セル様!?

 あの、これは……」


 そう、見たようなも何も、さっきセルが購入したばかりのネックレスだ。

 セルの色そのままのネックレスが、今フィーの首元で揺れている。


 思わず振り返ろうとするが、それは後ろから抱き込まれる事で阻止された。


「!?」


 思いがけない行動に、フィーの方が固まってしまう。


「ごめん、そのままで…。

 君の顔を見ながら言う勇気がない……それ以上に自分の顔を見られながらだと、言い切れなくなりそうなんだ」


 自嘲するような吐息を感じ、フィーも再び眺望の方へ顔を戻す。

 これは有頂天になって良い場面ではないかと思う反面、それを表現してはいけないかも…と言う考えも浮かぶ。


「…皇王女殿下に不敬だよね。

 本当にごめん。

 でも、出来れば不敬は問わないでくれると嬉しいかな」


 内心で突っ込みは入れる。それはもう秒の素早さで。

 

(不敬なんて問う訳ないデス!!

 そんなモノ、用水路にでも放り込みますが、万歳三唱をしてもいけない訳で……あぁ、でも内心で舞い上がるくらいは許されますよね?

 大丈夫、きっと許される筈よ!)


 等と一人忙しなく脳内突っ込みを入れる。

 まさか、そんなズレた思考に陥っているとは思っていないセルが続ける。


「前回の詫びは返却されてしまったからね。これは受け取って欲しい。まぁ返却不可だから諦めて。


 ……冬になったら僕達は帰る…イボルボンに。


 僕はきっともう戻れない。

 だからこれは代わり。

 共に行く事が出来ない僕の代わりに連れて行って欲しい」


 そこまで聞いて、抱き締められた事に舞い踊っていた気持ちが、一瞬で氷点下にまで急降下した。


(ま、まさか…自分の寿命は長くないと……知ってる?)


 セルが何を考えて、そう言っているのかわからないし、問い返す勇気もない。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ