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【完結済】悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


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 前世の記憶を刺激する休憩を終えて、商店街の中を歩く。

 まだ露店の方が多く、お値段も控えめなので、平民…と言ってもそれなりに懐の余裕がありそうな人々の姿が多い。ただそのまま進めば店舗通りになるので、そちらは裕福な商家や貴族御用達と言えるだろう。

 それなのに、セルは真っすぐ店舗通りの方へ歩いて行く。


「セル様、あの……其方(そちら)は……」

「え?」


 ルルが推薦だとか言ってなかっただろうか……それってつまり下調べしたという事だと思ったのだが…。


「その先は、どう見てもお値段が……」


 フィーが危惧すると所をやっと理解した様で、セルは『あぁ』と頷いた。

 納得して貰えたようで何よりだが、進む方向を変えるとばかり思っていたセルは、そのままの方向を維持して進んでいく。

 フィーが困惑して立ち止まったままでいると、先を行っていたセルが戻って来た。


「行くよ」


 そう言ってフィーの手を握った。

 想定外の行動に、フィーの思考は停止状態に陥りかける。


(ちょ…手、手ぇぇ…。

 推しが…推しの手が…うっひゃぁぁぁ)


 フィー自身にも意味不明な歓声を脳内で上げていると、セルが足を止めた。


此処(ここ)…だったかな」


 どう見てもフィーに縁のない価格帯の店に、引っ張られて足を踏み入れる。

 薄暗い訳ではないが、光量は少し落とされているのか、落ち着いた雰囲気の店内に思わず見回した。一見しただけでは何の店かわからない。


 近付いてきた人物は店員だろうか…やはり幻影魔法を纏ったままらしく、セルを見る店員の視線はおかしな位置で留まっている。


「いらっしゃいませ。

 初めてのお客様でございますね。

 本日は何をお探しでいらっしゃいましょう?」

「琥珀…それに類する色のものを探して居るのだけど。

 出来ればシルバーを合わせた物を」


 何か目的があったらしい。

 具体的な言葉に、フィーは少し緊張が抜けた。セルの買い物なら付き合うのは(やぶさ)かではない……いえ、是非お供させてください。


 奥のテーブルに案内され、暫く待っていると、店員が布張りの豪奢なトレイを手に戻って来た。


「いくつかお持ちしました」


 テーブルにトレイが置かれる。

 柔らかそうな布の上に置かれているのは、どうみても装飾品。

 それも女性用にしか見えない。

 そこで合点がいった。


(あぁ!

 お土産用ね。

 ふむ…セル様がお土産を考えているお相手と言うのがわからないから、助言とかは求められないだろうし、大人しく座って待っていれば良いわね)


 周囲から見れば一目瞭然の筈だが、それをフィー自身は全く気付いていない。

 セルは何と言っていた?

 そう…『詫び』で『デート』だ。


 しかも自分の買い物に付き合って欲しいとも言っていない。セルが一言もなく自分の…いや他人への贈り物を買う為に、フィーを付き合わせる等と言う失礼をする訳がない。

 以前『僕も贈り物なんて、生まれて初めての事だった』とか『女の子が何を喜ぶのかなんて、今まで考えた事もなかったし』とも言っていたのだから、察して差し上げろ……とは思うものの、フィーはすっかりさっぱり忘れているのだろう。


 セルが琥珀…と、あれはシトリンだろうか。他にも店員の説明ではトルマリンやトパーズもあるようだ。どれも石座(いしざ)はセルの希望通りのシルバーで、普段使い出来そうなアクセサリーが並んでいる。

 それらを見比べ、何故か…何度もフィーの方へ視線を投げてきた。


「僕が決めて構わないかな?」


 セルのお土産なのだから、セルが決めるのは当然だろう…と、フィーは頷く。

 そして今一度並ぶアクセサリー達を眺め、結果、大き目のトパーズを使ったネックレスを購入する事に決めた様だ。


 銀の土台に黄金色の石…どう見てもセルの色だろう。

 それをお土産にするとは、余程大切な女性だろうと思われる。そんな相手が居るのなら、尚更魂の修復を急がなければならない。


 セル達に残された時間を正確に把握する事は難しいが、隣国に旅立つまでなら十分間に合う筈だ。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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