194
隙間時間を全投入して、やっとセル達に渡すお守りが出来上がった。
野良精霊3人にも中に入って貰い、準備は万端だ。。
今日は朝から魔法の授業がある予定なので、帰る時にでも渡そうと考えている。
扉の前に立ちノックする。
中から反応があったので開ければ、珍しく3人全員が揃っていた。
「失礼します」
「あ、皇王女殿……って、ごめ、フィー…えっと、早いな」
扉に一番近かったルルは、バツが悪そうに後頭部を掻き毟る。
これまで通りなのに、どうにも落ち着かないらしく、時折『皇王女殿下』と言う単語が飛び出す。フィー本人にとっては、今更過去の身分を持ち出されても、違和感しかない事は伝えたのだが…。
一番奥の机で書き物をしていたセルが、じっとりと半眼でルルを睨み付けるフィーに苦笑している。
「あまり虐めないでやってくれると助かるよ」
本人は無意識だったが、思い切り不満が顔に出ていたみたいだ。
軽く頬を叩いて改めて挨拶する。
「失礼しました」
姿勢を戻し、室内を見回す。
元々必要最低限しか置かれていなかった室内は、少しずつ本類も減ってきていて、代わりに荷物が詰められた木箱が増えてきている。
「すっきりしてきましたね」
フィーの呟きに、セルも室内を見回した。
「うん。
少しずつでも片してるんだけど、やっぱり本類が多くて、あまり進んでない感じだよ」
そこへシャフが近付いてきた。
「おはようございます、フィーさん。
今日の講義なんですが、遅れの目立つ授業があり、そちらに枠をお渡ししたので、本日の予定はなくなってしまいました」
「そうなんですか」
フィーが関与する魔法系の授業は、成績の見直しなどがあって生徒達の意識にも変化があったらしい。元より重要な授業ではあったが、更に意欲的になっていて、思った以上に授業が進んでしまっているのだ。
反対に歴史など、一部の授業では講師や教師が間違った事を教えていたりしたため、その訂正や修正に時間を取られ、進行が遅れがちになっていた。
まぁ、その間違いも、フィーが助手となる時のテストで発覚した訳だが、教師や講師を入れ替えれば済む話ではなくなっていて、教材そのものも見直す必要が出ていたのだ。その為余計に時間が足りないという、酷い悪循環に陥っている。
しかし、そうなるとフィーが此処に留まる必要がなくなってしまう。荷造りを手伝おうにも、まだセル達は帰国する訳ではない。
それなら書庫に写本の手伝いにでも行った方が、時間の有効活用になるだろう。
そう考えてフィーが口を開こうとすると、それより早くセルが話し出した。
「それでなんだけど、少し良いかな?
他に予定があるようなら、其方を優先して貰って構わないのだけど」
フィーは首を傾げる。
写本はあくまで手伝いで、書庫の職員になった訳ではなく空き時間の有効活用にすぎない。メイドとしての仕事は、助手となってからはイメネア達に任せてしまっている。
なので、予定らしい予定はないのだが、何かあったのだろうか…。
「今更だけど、以前の約束を果たそうかと思ってね」
約束と言う言葉に思い当たる所がない。
フィーは、疑問に傾けていた首を、更に捻った。
「お詫びのドレス一式は返却されてしまったからね」
爽やかな笑みと共に告げられた言葉に、フィーの目が大きく見開かれた。
その様子に、セルは更に笑みを深くする。
「意表を突けたみたいだね」
楽しそうな彼には申し訳ないが、何が楽しいのかさっぱりわからない。
眉根を寄せていると、後押しする様にルルとシャフも口を出す。
「昨日聞かれたアレか?
俺様推薦だからな。間違いない!」
「いいですね。息抜きは大変重要です。
気を付けていってらっしゃい」
何だか出かける空気になっているが、今更あんなに以前の詫びって…と、フィーは戸惑う。
だって、本当に今更だろう…。
フィーとセルの初邂逅時にまで遡るのだ。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。
ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。
AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




