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【完結済】悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


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 そんなフィーの心情は兎も角、サーズ入り…と言うのも変な言い方だが…お守り袋を渡す事が出来た。

 後は観察あるのみ。


 ぜひとも成功して欲しいと祈りつつ、フィーは念を押しておく。


「大事にして貰えるのは嬉しいけれど、仕舞い込んでいては意味がないのよ?

 一応護符と言うかお守りなんだから。

 ちゃんと身につけておく事。良い?」

「う”~~~~……はぁい。

 ちゃんと持っとく……でも汚したくないなぁ…」


 まだ渋るティディに、フィーは苦笑を禁じ得ない。


「汚れたら洗えば良いだけよ。

 お守りの本体は中に入ってる石だから、袋だけ洗えば問題ないわ」


 その言葉にティディはやっと顔を輝かせた。

 『うん!!』と満面の笑みで頷く。

 この話はそこまで…と、訓練に戻ろうとて何すると、途端にティディは死魚目になった。


 わからないではない…どう言えば伝わるだろうか…3歩進んで2歩下がる……と言うか、時折2歩進んで3歩下がる…。

 そんな調子だから、逃げたくなるのも仕方ない部分はある。

 それでも『じゃぁ…』と見逃してやる訳にはいかないのだ。アンネッタや公爵家、何よりティディ自身の為にも。


 うん、先は長そうだが、それでも頑張ってくれ。

 是非とも旅立つその日までに…と、フィーは無慈悲に追い打ちをかけた。







 そんな一進一退なティディの勉強と訓練は一旦横に置くとして…それ以外は、それなりに順調である。

 学院のある日はこれまで同様、メイドと助手の仕事をし、御邸に戻ってからはアンネッタの世話をしつつ、隙間時間にタイミングが合えばティディに付き合う。

 時折じっと見つめてくるケルナーの視線に、罪悪感をチクチクと刺激されたりなんかもしたが、(おおむ)ね平穏な日々が続いていた。




 そんな変わらない日常の中に、それでも変化は訪れた。

 御守りの効果が見え始めたのだ。


 ティディの勉強や訓練に付き合う時、時々魂の状態も視ていた。

 渡したばかりの頃は何の変化もなかった。だが、いつ頃だっただろう……黒い糸の残滓は兎も角、醜く歪んでいた魂の表面が少しずつ平坦になり始めたのだ。


 恐らく強制力という黒い糸の方が、魂への侵蝕度が高いのだろう。直美の悪意による歪みの方から先に修復されてきたようだった。


 サーズ達野良精霊の能力なら可能ではないか…と考えた結果、実行してみた訳だが、本当に可能だった事にフィーは喜びを隠せない。

 何とか人前では取り繕うものの、自室に戻り一人になった途端、頬が緩んでしまった。


(これならいける。

 これで積年の損傷を治し、彼等が今後の人生を謳歌する事が可能になる。

 もう…きっと未来を諦めなくて済む筈)


 フィーの脳裏に、浮かんだのはセル達だ。


 彼等に施された継承魔法は、勿論無駄ではなかった。

 フィーの魂は、元のフィリエーヌの身体に戻っては来たが、記憶が壊れてしまっていた。

 例えるならテープやディスクなどの記録媒体は所持してはいるものの、再生できない…そんな状態だったのだ。


 それが、落下してくるアンネッタを受け止めるという、非常にフィジカルな刺激で前世日本人だった頃だけは思い出せた。しかし、それ以前――何度も生まれ、生きて死んだ記憶と、身体に戻ってからの事は全く思い出せなかった。


 思い出せたのは、セル達と出会えたからだ。

 彼等がガヴォッドラーヘンを探していて、それの手伝いをしていた事で姉の結界に振れ、ガヴォッドラーヘンもフィリエーヌの下に戻って来た。


 だから、これは恩返しだ。

 例えるなら、忠臣へ王族からの褒賞とでも言えば良いだろうか…。気の遠くなるような長い時間、自身の命を削り続けて、それでも繋ぎ続けてくれた事への恩義を示すだけだ。


 元はと言えば、フィーの叔父であるデミックが残したモノ。

 ライアンサの負の遺産なのだから。


 フィーはまた手仕事を再開した。


 シャフには何の石が良いだろう…ルルなら華やかな色も似合うかもしれない。

 セルなら……そこまで考えて、フィーは手を止めて目を閉じた。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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