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「あのね……サーズ達は結界の修繕なんかも出来るって言ってたでしょう?」
【……うん。
そう言うの得意!
つっても、修繕が一番得意なのはノーエだぜ?】
そういう細かな作業は、ノーエが一番得意そうだとは思っていたが、本当に予想通りだったようだ。
フッと笑みが零れる。
「今回は実験みたいなものと思ってくれて良いんだけど……結界じゃなく魂の修復って可能?」
サーズが『出来る』と言ってくれるのなら、そのまま進めれば良い。
わからなくても、それならそれで試してみれば良いのだ。
【魂??
あ~生き物達の核みたいなやつ?
……どうだろ…わかんね。でも多分、俺だけじゃなくアミーナもノーエもわからねぇと思うぜ?】
まぁ、想定内だ。
「そっか。
無理そうだなら、それはそれで良いから、一度試してみてくれる?」
【試すって、魂とか言う奴の修繕?】
「そう。
それでサーズが出来れば良し。無理だったら別の方法を考えるわ」
【ふーん。
ま、試すくらいだったらいいぜ。
つっか、俺、本当に追い出されないよな?
追い出されるかも…だったら、俺はお断りだ!】
そこは大丈夫だと言えば、やっと安心したようだ。
作業が完了すれば、ザースが帰りたいと願った時点で、元居た場所――ガヴォッドラーヘンの石の中へ帰還できる術式も組み込んである。
そこまで説明を終えたフィーは、薄茶色の勾玉を、サーモンピンクのお守り袋に入れた。
実験の側面もある為、魂の修復が出来るかどうかは半ば賭けだ。
出来なければ次の手段を考える。出来るなら、どの程度、どのくらいの時間がかかるのかも見ておきたい。
ティディの魂も外圧による黒い糸の残骸が残っているが、損傷具合としては耕作と同じくらいか、少し重度…と言った程度だ。
それに一番細かな作業に不向きなサーズで検証すれば、アミーナやノーエなら、もっと心配は不要になる。
ティディの傷を治し、次は耕作か……そしてフィーが一番治したい相手も癒せれば、その時がフィーの旅立ちの合図となるだろう。
当然だが、ライアンサの状況も不安だ。フィーが戻されたという事はそう言う事だろうと理解している。
でも、今更1年や2年程度の猶予もない…なんて程ではない。
そんな一刻を争うようなら、ガヴォッドラーヘンも急がせるはずだ。
だから、憂いなく旅立てるよう、心残りは消し去っておくのだ。
後日、フィーはティディの魔法の訓練に付き合った時に、お守り袋を渡した。
「うわぁ、なにこれ?
すごーく可愛い!」
サーモンピンクのお守り袋を両手で包み、顔を輝かせるティディに、フィーは微かに笑みを浮かべながら話す。
「多分…なんだけど、私の生まれ故郷とか、そんな場所の護符みたいなもの…かな」
いつだったか…ドニカを保護した後に、フィーは幼い頃の記憶がない孤児だったという話が、何かの折にでたのだ。
だから記憶が戻ったのかと、目を真ん丸にしてティディが聞いてくる。
戻りはしたが、それは話さない方が良いだろう。それを理由に旅に出ようと考えているのだから。
「いいえ、でも薄っすら断片的なイメージが残ってるみたい。
まぁ何の効果もないモノだと思うけど、気休めに、良かったら持ってて」
「効果なんてあってもなくてもどっちでもいい!
フィーさんがくれるものは、全部取ってあるんだから!
全部あたしの大事なものだモン。これも大事にする!」
うん、何と言うか…わかってしまう。
これはアレだ…『馬鹿な子ほど可愛い』と言う、ジジババの心情だ。
素直な愛されキャラ――フィーからすれば『いつまで幼子のつもりだ?』『いい加減、年相応になってくれ』…と、切実に祈りたくなるのが本音だ。しかし、素直なのは悪い事ではない。こうして全幅の信頼と言うか、好感を向けられるのは悪い気はしない。
でもやはり思ってしまう。
そのままでは、いつか騙され傷つくぞ…と。
まぁ、ただの老婆心だ。わかっている。
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