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生粋のライアンサ人であるフィーは、元より鉱石とは親和性が高い。そのせいかどうかはわからないが、特産品の一つに鉱物加工――装飾品の作成等、彫金関係があった。
ガヴォッドラーヘンことガー君も、鉱石に意思が宿った存在である事からも、如何に馴染み深かったか容易に想像がつくだろう。
「うん、なかなか良いんじゃない?」
フィーが磨き上げた石を、照明の灯りに翳した。
光を弾き、あるいは透かし通して煌めく様は勿論、頭から尾へのカーブが美しい
自画自賛かもしれないが、なかなかの出来栄えだと思う。
ティディには、前世で言う所のスモーキークォーツに似た石を選んだ。イメージ的にはロースクォーツ等の方がピンとくるかもしれない。でも、彼女のもつ素直さは大事にして欲しいと思い、石言葉に『素直』とあるスモーキークォーツに似た方を、あえて選んだ。
「サーズ、ちょっと出てきてもらえる?」
何もない空間に向かって呼びかけると、光球が一つ姿を現した。
【リエ様のお呼びじゃぁしゃーねーな!
なんだなんだ?
俺様にどんな用だ??
つっか、俺だけでいいのかよ? なんなら叩き起こしてくるぜ?】
どことなく弾んだ声が響いた。
それにしても他…アミーナとノーエはお昼寝中らしい。
フィーは勾玉の形をした薄茶色の石を差し出した。
「暫く此処に留まってくれる?」
【あ”?】
合点がいかない…と、あからさまな返事に苦笑するしかない。
気を取り直して……。
「この丸っこい石の中に入ってみてよ」
【これかぁ?
ま~いいけどよぉ…】
勾玉に光球が吸い込まれた。
「どう?
居心地は……悪くない?」
【お~悪くねぇ
いい感じだな…って、リエ様の魔力が込められてんのはわかんだけどさ……なんだ? この術式……】
流石と言うか……組み込んだ存在に気付いた様だ。
野良精霊とでも表現するしかない彼等だが、結界の出入りが可能だった事で、フォリアーヌとガヴォッドラーヘンの結界に居候する事になったと言っていた。
彼等にとって外界は危険だという認識があり、どうせなら居心地の良い結界内に置いて欲しいと住み着いたのだそうだ。
それで、居候させて貰う御礼として、結界の綻びの修繕、調整等を請け負っていたという。
……そう、彼等、野良精霊は修復技能を持っているようなのだ。
魔力を満たし、彼等にとって居心地の良い環境を提供できれば、何もガー君の傍にベッタリいなくても大丈夫だろう。そうすれば外界を飛び回らない距離の修復なら、可能ではないだろうか?
結界が修復可能なら、傷ついた魂――今回の場合元ドニカ…現在はティディと名乗る彼女の魂修復も、出来るのではかもしれないと考えたのだ。
勿論、まだ可能かどうか、確証がある訳ではない。
野良精霊達に聞いてもいないし、本人達だってわからないかもしれない。
でもまぁ、それならそれで実験してみても良いかと考えた。
「その術式は石の中に魔力を留めるモノ、サーズの能力を補助・増幅するようなモノ…他にも幾つか術式を重ねてみたのだけど、どう? 問題ない?」
【へぇ…すげぇな…。
うん、気持ちよく流れてらぁ…こりゃいいや】
フィーは心持ち緊張を滲ませる。
「それでなんだけど……その中だったら移動しても怖くないかしら?」
【移動?
……………ぇ…なんで…?
俺……ガヴォー様の石の中から追い出されんの……?
……俺、ポイッてされんの?】
落ち込んだ…今にも泣きだしそうな声に、フィーの方が慌てる。
「違う違う。
追い出そうとかそう言うんじゃないの。
ちょっとね、力を貸して欲しいのよ」
フィーは小さく深呼吸してから、唇を真一文字に引き結ぶ。そしてそっと伏せた目を上げた。
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