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【完結済】悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


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182/215

182 狭間の物語 ◇◇◇ デービーの後悔―2―


 デービーは貴族牢の中で、やっと自分の歪みを自覚した。

 自覚した途端、胸の奥から苦いモノが込み上げる。


 より幼い頃…側近でもなんでもなく、ただの幼馴染だった頃は、ケルナーにも距離を感じる事なんてなかった。

 アンネッタだってお転婆だったし、そんな彼女にちょっかいを掛ける事にも、抵抗なんて感じなかった。反対にエネオットの方が大人しくて良い子だった。

 アンネッタを自分の背に庇う様に、ケルナーとデービーの前に立ち、嫌がらせしたりしないよう注意してくるエネオットに、むかついた事だってあった。


 面白くない

 非常に面白くない…と、デービーはケルナーと一緒になって、更にアンネッタを揶揄ったりもした。エネオットは王子だから、標的には出来なかったからだ。


 それなのに………。


 大人になったかのように、ケルナーの方が、先に自分達と距離を取り始めた。


 悪戯に誘っても頷かない。

 勉強時間にサボらない。

 幼いアンネッタを気遣う様になった。いや、その頃にはアンネッタも大人しくなっていたような気もする……どうだっただろう…。

 アンネッタだけではなくネルローネ王女に対しても、態度を改めた。


 そんな態度の変化は、子供達からだけではなく、大人達からも一目瞭然で、デービーは裏切られたような、置き去りにされたかのような、そんな心許なさに苛まれる。


 ―――なんでだよ

 ―――いい子ぶりやがって

 ―――自分だけ褒められて

 ―――なんで……


 デービーの心に蘇った、幼い頃の記憶……その風景の中に思い出した事が一つあって、叫んでいた口を閉じた。


 ―――あぁ……

 ―――……そうだった…

 ―――あいつらが…

 ―――ケルナーもアンネッタも変わった頃…

 ―――あいつらの傍に一人増えたんだった

 ―――もっとちっさい、だけど幼子らしくない無表情な少女

 ―――そいつが何かしたんだ


 アンネッタよりも小さな、メイド服に身を包んだ少女が寄り添うようになって、急激にケルナーやアンネッタとの距離が離れた。


 そんな思い出に、デービーは目元が引き攣った。

 幼い癖に、まるで大人のような落ち着きと貫録を持った幼女と、先日の魔法合戦で、自分を叩きのめしてきた少女が同一人物だと気が付いた。


 ―――そうか

 ―――そうだったのか

 ―――敵う訳がなかったんだ

 ―――あのケルナーとアンネッタを矯正した幼女なら

 ―――わたしをねじ伏せるのも簡単だったろう…



 今更だ…今更だが、後悔がとめどなく溢れてくる。


 側近は外されるだろう。


 エネオットは…少しは惜しんでくれるだろうか…。

 いや、少しくらい惜しんで欲しいと思う気持ちはあるが、反面、そんな訳はないとも思う。何故なら、エネオットの柔らかい心に、仄暗い楔を打ち込み、傷つけ続けたのは自分だ。

 最近拒絶されていたのは、それに気づかれたからかもしれない。


 ケルナーはどうだろう。

 許してくれるだろうか…わからない。

 許して欲しいと思うが、許される筈がない事もわかっている。


 自分はケルナーを消し去るつもりだった。つまりは殺したいと思っていた。

 だって消えてくれなければ、いつまでたってもデービーの前に、彼は立ち塞がり続ける。

 邪魔だ…目障りだ……何度思ったかしれやしない。

 そう思っても必死に押さえつけていたのに、酒の勢いとナホミの(そそのか)しで、デービーの悪意は堰を切ってしまった。

 ずっと悪意を募らせ、仕えるエネオットも醜い泥沼に引き摺り込んでしまった。もう取り返しは付かない――覆水盆に返らずとはこの事だろう。


 両手で顔を覆い、暫くした後、デービーはほぅと息を吐く。


 だが、これで良かったのかもしれない。

 ここで終わりに出来る。

 これ以上、悪意を募らせる事も、比べられて惨めな気持ちになる事も、もう遠くなる。あの両親の顔も見なくてよくなるのだ。


 囚われて、裁かれる日を心待ちにする日が来るなんて、デービーは思ってもみなかった。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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