179
「あ~チェポンは酷いというより、お頭が足りないというか…思い込んだら一直線と言うか……まぁ性格は悪くないんだけど…」
ネルローネが訂正を入れた通り、確かにチェポン・カバレタは、性格は大型犬だ。
ただ酷くIQが低いというか……幼稚園児を相手にしているような気分になるというか……。いや、幼稚園児に失礼かもしれない。
「そうねぇ…どうしても貴族同士のバランスも入ってしまうから、選定時はどうしようもなかったのよ…」
疲れたように話すヨリアンナに、ネルローネは半眼になる。
「いい加減、方針転換が必要なんじゃない?
側近は上位貴族から…なんて制限、不要でしょ? 大事なのは実力で、家格じゃないわ」
「それはそうなんだけど、王家の力もまだ…ね。
とは言え、ノクレンダ家をこれで追い込めるから、少しは風通しを良くできるかもしれないわ」
フィーは話題の主軸が変わってきた事に、平静を装いながらも聞き耳を立てた。
エネオットの今後の話から、ケルナーの一件へ話が徐々に移っていく。
どうやら貴族間の勢力図的にも、ノクレンダ侯爵家が属する貴族派の勢力を削ぎたいらしい。
実際、エネオットの側近も、各派閥から選出されている。
貴族派のノクレンダ侯爵家からデービー。
王派のカバレタ伯爵家からチェポン。
そして中立派のオファーロ公爵家からケルナー。
と言った具合になっていて、爵位も、王派が伯爵家なのだ。
これだけでも力関係は、ある程度察する事が出来ると思われる。
今回の件で、貴族派の影響力を少しだけでも削ぎ落とす事が出来れば、側近の再選出もやりやすくなるだろう。尤も、それはエネオットもとい耕作が王位継承を拒否しなければ…ではあるが。
「デービーの処遇はもう決まったようなものだと思うけど、アレはどうするの?」
ネルローネの問い掛けに、ヨリアンナが首を傾ける。
「アレ?」
「アレったらアレよ。
名前が出てこないんだけど…」
ネルローネは名前を思い出せないようだ。
だが然もありなんだろう。ナホミはただのメイドだ……表向きは…。
モーソー家での歪な力関係を、どこまで聞いているのかわからないが、普通に覚えている方が珍しいというか、おかしいと言い切れる相手だ。
「あぁ、共犯の?」
ヨリアンナもやっと思い出したらしい。
「まだ色々と調べてる最中のようだから、まだ確定はしていないわね。
でも公爵家に楯突いたのよ?
家は取り潰しになるでしょうね。ただ本人は鉱山労働や国外追放で落ち着くんじゃないかしら」
フィーの片眉がピクリと跳ね上がった。
黙って聞いていたが、これは宜しくない…大変宜しくない。
ナホミには、跡形もなく消え去って貰わなければならないのだ。いや、実際にはナホミではなく、中の根岸 直美に消失して貰いたいだけなのだが、魂に喰らいついている以上切り離せない。
「…王妃陛下、少々宜しいでしょうか?」
フィーが王族に声を掛ける等、本来は許される事ではないのだが……が、どうしても看過できない。
だから告げる。
「そのメイド…悪霊です」
ヨリアンナは勿論、ネルローネも青くなって固まった。
フィーがドニカについて調べていた事は、直ぐに納得して貰えた。
なにしろアンネッタに絡みまくっていたのだ。付随してエネオットの恥ずかしい諸々まで思い出されて、ネルローネはそっと目線を彷徨わせた。
それは兎も角、ドニカに付いているメイドについても、調査していた事を話す。
その調査の中で、メイドの様子が変わっていった事を知り、更に調査を進めた結果わかったのだ…と、適当に理由づけた。
「そんな……じゃあ、あのドニカって子…悪霊のせいで逆らえなかったって事?」
「はい」
痛まし気に眉根を寄せるネルローネに、フィーが頷いた。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。
ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。
AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




