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悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


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「フィーが居ない…あぁ、フィー…」


 初めて見るセルの狼狽えように、ルルとシャフの方は一瞬呆気にとられた。


「……?」

「え?」


 臨戦態勢を取っていたシャフとルルも、警戒対象である壁から注意が逸れる程の狼狽振りだ。

 そんな二人を置き去りに、セルは何度も周囲を見回し、来た道を慌てて戻ろうと身を反転させる。


「フィー!!!」


 ルルとシャフが止める暇もなく、セルは二人の手をすり抜けて駆けだす。


「ちょ、セル!?」

「セル様、御待ちを!!!」


 シャフとルルは、警戒対象の壁と、遠ざかるセルの背中を交互に見、どちらも選べないまま立ち尽くすしか出来なかった。





「フィー!! 何処いる!!??

 返事をしてくれ!!」


 駆け出して、少し進んだ場所にフィーを見つけた彼は、安堵の吐息を漏らした。

 そして微かな微笑みを湛えて近付く。


「あぁ、良かった。

 かなり歩いたから、疲れても仕方ないよ。

 それなのに気付けず無理をさせてしまったね…ごめん」


 だが次の瞬間…その安堵は霧散してしまった。


 フィーは立ってはいるが、その身体は小刻みに震えていた。

 俯いているので、表情や顔色は確認出来ないが、両手は胸を抑え込み、見るからに尋常ではない様子がわかる。


 セルはすぐさま駆け出し、今にも崩れ落ちそうなフィーの身体に腕を回して支えた。


「大丈夫?…じゃ、なさそうだよね。

 何処(どこ)か横になれるところ…」


 フィーを支えるセルは、首を巡らせて周囲を確認する。

 周りは…さっきの壁以外は、木々が生い茂るばかりで、フィーを休ませるのに適した場所は見当たらない。


「弱ったな…」


 心底困ったように呟きを漏らしたセルだったが、彼の耳は微かな音を拾い上げた。


「…ぇ…?」


 耳を澄ませば、音の発生源は自分が支えているフィー…。

 セルは俯いたままの彼女の口元に、耳を寄せて問う。


「何?

 フィー、苦しい?」

「……………

 ………………………探ら…いで……や…て…」


 誰かに懇願しているように聞こえる声色に、セルは怪訝に眉根を寄せた。


 誰が探っていると言うのだ?

 セルはただ支えているだけで、探ったりなんてしていない。


「? ……何を言って…フィー?」


 セルが顔を覗き込もうとした瞬間、フィーの身体が弾けた様に反りかえった。

 そして絶叫…。


「ぃゃぁあああぁぁぁぁぁあああああぁぁ!!!!!!」


 頭を両手で掴み、何度も首を横に振りながらフィーが叫ぶ。

 流石にその声に、シャフとルルも壁から離れる決意をしたのか、バタバタと荒い足音が近付いてきた。

 それに気付きはするが、今まで見た事もないフィーの様子に、セルは身動(みじろ)ぎも、目を離す事すら出来ず、ただ呆然と立ち尽くす。


「おい! 大丈夫か!!??」

「一体何が!?」


 二人の声で現実に引き戻されたのか、セルが再びフィーの身体を支える為に、抱きかかえようとする。


「フィー、落ち着いて!!」


 頭を抱えて暴れる…いや、苦しさとか、何かわからモノから逃れようと(もが)いているように見えるフィーと、それを必死に宥めようとしているようなセル…。

 二人の様子に、その場に到着したルルもシャフも、何が何だかわからないようだ。


「フィー!!!」


 何度目かわからないセルの呼び掛けが切っ掛けではないだろうが、叫び続けていたフィーが、突然身を硬直させた。


 一瞬で静寂が戻る。


 さっぱり状況が把握できず、どう動けば良いのかも判断できないでいたシャフとルルと違い、セルの動きは素早かった。


「フィー!!」


 しっかりと身体を支え、顔を覗き込む。


 セルの目に映ったのは、目を見開いて、まるで石化でもしてしまったみたいに固まっているフィー……その表情には驚愕とも恐怖とも違う、別の何かがある様な、それでいて何も感情を反映していないかのような、形容し難いモノが浮かんでいた。


「……っ…!?」


 表情にも異常はあるが、それ以上に、セルは覗き込んだフィーに異変を見つける。

 その異変は全く予想も出来なかった物で、彼は息を詰め…そして呑み込んだ。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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