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(待って…。
木組み?
しかも新しそう?
どう言う事?
私にはしっかりとした石組みの……平凡ではあるけれど、朽ちた壁…例えるなら遺跡の一部のように見えているのだけど……。
それに蔦みたいな植物が絡んでて、忘れられた…って表現がしっくりくるような……そんな壁に見えてる…。
けれどセル様には違って見えて、ルルさんとシャフさんには全く見えていない?
……どう考えても普通じゃない…)
フィーは一人、高まる警戒心に緊張していた。
とは言え、ごく普通の小屋に見えているらしいセル達は、特に警戒するでもなく歩き出す。
フィーも、付いて行かないと言う選択肢はなく渋々歩き出すが、歩を進めるごとに圧し掛かる様な何かを感じ始めた。
(何…これ……。
何かが覆いかぶさってる?
……違う……そうじゃない…。
探ってる……今、何者かに探られている…っ)
フィーは圧を感じながらも、その中に視線のような鋭いモノを感じ取り、歩みが止まってしまった。
不快感の中に、とうとう痛みまでも感じ始め、フィーは地面に膝をつきそうになるのを、必死に踏ん張って耐える。
だが、フィーの異変に気付かないセル達は、ゆっくりとした歩調ながらも、着実に壁へと近づいていった。
「ん~?
なぁ、壁って何処だよ?」
「え?
前方の木々の合間に見えているでしょう?」
「……悪い…俺には見えないんだが…」
ルルの言葉に、セルも流石に足を止めた。
するとシャフも……、
「申し訳ありません。
わたしにも視認できないのですが…」
「……どう言う事…?」
壁の質感など、差はあっても見えているのはフィーとセルだけらしい。
シャフとルルには壁など見えず、ただただ森と言うか林が続いているだけのようだ。
「わかりませんが、少し警戒した方が良さそうですね」
「うん、なんでここまで気付かなかった?…って自分を殴り飛ばしたくなるけど、なんかこの辺り、空気が重くねぇか?
重いって言うか……密度が高い?」
シャフに続くルルの言葉で、セルも身構える。
「……本当…だね。
どうして気付かなかった?
まるで近付くのが当然…そんな感覚に支配されてたみたいだ。
まさか魔物…?」
セルが微かに腰を落とし、周囲の気配を探る。
「放たれる魔物は、学院側で管理している筈です。
野営実習では学院側が用意した魔物を、生徒達の実習日前に放っておくのが通例だそうで、その期間以外は、魔物はすべて回収されるそうですよ。
自然発生する魔物は勿論いますが、それはスライム等の弱小な魔物に見られる事で、人の脅威となる様な魔物が、障壁魔法の内側で自然発生したなんて事例は、今まで報告されていません」
シャフが冷静に答える。
「いやぁ、参ったな…。
こっちに欠片も気付かせずに、するっと精神支配したって事か?
随分と極悪じゃねぇか。
そんな場所で野営実習なんて、この国のボンクラ坊ちゃんや花畑嬢ちゃんには、荷が重すぎるんじゃねぇの?」
軽口を叩くルルの目は、決して油断していない。
「そうですね。
ですが、このままわたし達だけで調べますか? かなり危険な気もしますが……」
シャフが躊躇いがちに言葉にすると、それにセルが答える。
「けれど、このまま見過ごす訳にもいかない。
もし本当に、精神支配を掛けてくるような何者かがいるのなら、今この場を離れてしまえば取り逃がす事になり兼ねない……と、僕は思う。
少なくとも相手が何者なのかは、調べておきたい…かな。
単なる反射的防御機構なら兎も角、生物…生きていなくても悪意のある相手なら、今ここでどうにかしないと…」
「そう…ですね」
セルの言う事に頷けてしまうのが嫌なのか、シャフは顔を歪めた。
「ま、さくっとぶん殴ってやろうぜ。
俺等に手出しした事を後悔させてやらねぇとな」
警戒は緩めないまま、軽口を叩くルルに、セルが呆れたような声をだす。
「機構だったら、感情のままに壊したりしない様に。
いい? そこは自重してくれないと困るからね」
「わかってるって」
だが、そこでセルの表情が変わる。
「ぁ……あれ、フィーは?」
フィーの姿が見えない事に気付いたセルが、真っ青になって狼狽えた。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
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