表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/123

123



 セルからは…いや、恐らくルルとシャフ、それ以外の人間も同じだろうが、フィーの瞳の色は翡翠色に見えていた。

 その瞳に黄色…と言うより深みのある琥珀色が混ざり込んで渦を巻いている。


 見開かれていたその瞳が、力を失ったようにゆっくりと閉じ、フィーの身体もそれにつれてガクンと重力に引かれる。

 セルは支える力を咄嗟に強めた。

 そのままフィーごと、セルは地面に座り込む。




「……ぉ、ぃ…」


 ルルは続く言葉が見つけられないようだ。

 そんなルルに代わるように、シャフが進み出る。


「何があったのです?

 休日ですから大事(だいじ)には至らないでしょうが、さっきの声は尋常ではありません……フィーさんは無事ですか?」


 シャフの冷静な物言いに、セルも少し落ち着きを取り戻したのか、抱えたフィーの額に手を伸ばし、熱の有無を確認している。


「ぁ……ぃゃ、それが…よくわからないんだ。

 突然叫び出して」

「……なんなんだよ…まさかと思うけど、あの壁のせいだったりするのか?」


 ルルもやっと落ち着いたらしい。


「可能性はなくはないけど……それより……」


 セルが、いつになく弱々しい声音で言葉を紡ぐが、その後が続かない。


「変な所で言葉を切るなよ…。

 それより…なんなんだ?

 つっか、フィー…どっかに寝かせてやった方が良くねぇか?」


 少し無理をしているように見えるが、それでも平素に戻りつつあるルルが肩を竦めた。

 寝かせてやった方が良いのは重々承知だが、近くに寝かせてやれる場所もないのは、先だって確認してある。

 だからという訳ではないが……、


「瞳の色が……」

「セル様?」


 小さく零れ落ちた言葉に、シャフが怪訝に眉根を寄せる。

 ルルも、セルとシャフを見比べて、首を傾げた。


「フィーの瞳の色が……違う色が混じって…」


 『違う色』という言い方をするに留め、『琥珀色』と言う単語を呑み込んだのは何故か……。

 それは兎も角、ありえない事を呟くセルに、ルルがお道化た様に突っ込んだ。


「おいおい、幻影魔法でも発動したとか言う?

 いや、ありえねぇだろ……あんな叫んで、今は意識失ってるみたいだし……それで魔法発動って…」

「違う…魔法じゃない…。

 魔法なら、流石にわかるよ…こんなに近くに居るのだし、何より彼女に触れている。

 魔力の流れくらい感じ取れる」


 他者から見える姿を変えるのは、セルもルルも常套手段で、馴染み深い。

 だからすぐに幻影魔法が思いついたが、その可能性をセルに否定され、ルルも眉間の皺を深くした。シャフも信じられないと、首を横に振る。


「どう言う事だよ…」

「魔法ではないのに、瞳の色が変わる…?

 いえ、普通…ありえません」


 熱は無い様で、額に添えていた手をそっと戻し、セルは難しい表情で意識を失ったフィーの顔を見つめる。


「壁は気になるけど、フィーをこのままにしておけない。

 僕は先に戻るよ」


 そう言うと、セルはフィーを抱えたまま立ち上がり、姫抱きに抱え直した。


「そうですね。

 あの壁は調べなければなりませんが、わたしとルルの二人では手に余りそうです。わたし達も一度戻るとしますか」


 シャフがルルの方を見ながら確認する。


「しゃぁねぇな。

 一番の魔法の使い手が離脱するんじゃ、後日にした方が良いと俺も思う」


 フィーを抱えたセルが頷き歩き出す。

 ルルとシャフもそれに続くが、突然セルが足を止めた。


「……フィー…?」

「ぉ、もしかして気が付いたか?」

「あぁ、それなら一安心ですね」


 ルルとシャフには安堵の空気が広がるが、呟いたセルは固まったままだ。


「セル様?」


 セルの様子に気付いたシャフが、その横顔を見てから彼の背中越しに、抱えられたフィーを覗き込む。


「ッ!!」


 声にならない声を発し、シャフも固まったのを見て、ルルも覗き込んだ。


「ぇ……ぃゃ、嘘だろ……」


 セルの腕の中で意識を取り戻したフィーは、確かに目を開けている。

 しかしその表情は虚ろで、瞼も半分落ちた様な状態だ。


 何より翡翠色だった筈の瞳は、深い…セルの色よりも深い琥珀色に取って代わられていた。


「何で…その色……。

 その瞳はもう、セルしか……なのになんで……」


 ルルが混乱したように呟いた。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ