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家族から見放されたり等、色々な事が重なって歪んでいた所に、追い打ちをかけるかのように、拠り所だったナホミが豹変した。
それで更に歪んでいたのだろう…と言うのが、今の印象である。
とは言え、最重要の魔法については、嫌ではなかったみたいだ。
希少魔法の持ち主であると言う自覚は、現在進行形でないままだが、逃げまくっていた魔法の勉強は、存外楽しかったらしい。
と言っても、やはり理論などの座学は苦手で、楽しいのは実技だけのようだ。
本人が言うには、わからない単語が出たりすると頭が追い付かず、まず眠くなるらしい。
けど、眠っちゃダメだと分かっているから、他の事で気を紛らわせようとする…のだそうだ。
結果、人の話を聞かない、落ち着きのない糞ガキに成り下がるのだと言う。
思わず頭を抱えたのは言うまでもない。
なんにせよ、今日のマナー講座は一旦終わりにしよう。
今の状態では、続けても身に着かないと思われる。恐らく記憶にも残らないだろう……。
フィーは諦めの吐息を零すと同時に、ほんのちょっぴりだけ飴を用意する。
「はぁ…仕方ないわね。
じゃあ今日のマナーの勉強は、一旦ここまで。
ぁ、そうそう、カゴニーのクッキーがあるのだけど…」
「え!!??
カゴニーって…食べる食べる!! 食べたいっ!!!」
聞けない落ち着けない等、ナイナイ尽くしなお子様ドニカだが、非常に飴が有効だった。しかも飴はお菓子程度で済むお手軽さ。
勿論、菓子なんて贅沢品で、決して安いモノではない。
安くはないが、公爵邸では使用人にも菓子が振る舞われる事は珍しくないので、用意するのに面倒がないのだ。
そのおかげで最近は椅子に座っていられる時間が……まぁ誤差範囲ではあるが…長くなっている…様な気がする。
ちなみにカゴニーと言うのは、最近王都に出店した異国の菓子店である。
この国にも伝統的な菓子はあるのだが、どちらかと言うと素朴寄りで、あまり飾り気はないし、甘さも程々だ。
だが、異国の菓子は目に美しく、且つ、とても甘い。
フィーからすると、甘すぎて『うぇぇぇ……』となってしまうのだが、ボーカイネン王国の女性達からの受けは良い。当然、ドニカも喜んだ側の一人だ。
「はいはい。
でも、後で…ね?
先に強化魔法の訓練を済ませておこう」
「う”……先に魔法かぁ…」
「しっかり魔力をつかって、しっかりお腹も減らしておいた方が太らなくて良いんじゃない?」
「!……頑張る!」
チョロインでとても結構。
フィーは微かに目を細めて口角を上げた。
「じゃあ私はちょっと学院に行ってくるわね」
そう言ったフィーに、ドニカが目を丸くする。
「学院?
なんで?
今日は休日だよね?」
そう、本日は休日…学院生は登校していない。
全く居ない訳ではないだろうが、居ても図書室などの利用に登校している程度で、アンネッタも本日は邸でのんびり過ごす予定だ。
その為、フィーも本来の職務に戻るのが普通なのだが、今日は出来れば学院に行きたい。
「お嬢様、寂しがっちゃうよ?
やっぱりイメネアだと、こう……なんて言うの? 勝手が違う? う~~~うまく言えないんだけど、なんかしっくりきてない?
そんな感じだよ?」
実に素晴らしい。
現在のドニカはマナー等も含む勉強こそ、なかなか進んでいないが、アンネッタに絡む理由もなくなったせいか、きちんと身分差も認識できているし、公爵邸の皆ともすっかり馴染んだ。
最初は戸惑っていたサリタメイド長も、今ではドニカを可愛がっているし、ユーミやイメネアも、悪印象は長続きしなかった。
アンネッタやメナジア、オファーロ一家面々は、まだ距離を取っている感じだが、それは仕方ないだろう。
歪められていたとは言え、アンネッタに絡みまくっていたのだから。
受け入れはしたものの、気持ちが追い付かないのは当然の事だ。
そんな小さな問題は散見するが、概ね平穏と言って差し支えない。
だからこそ、この平穏な間に、セル達の用件を少しでも進めておきたいのだ。
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