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悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


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 盛大なブーメラン…とは、まさにこの事だろう。

 ドニカに吐いた言葉が、そのままナホミに向けられた。


 ナホミにしたって、男爵家に思い入れがある訳ではない。ふよふよと意識だけで漂っていた時に、見つけた空っぽの身体が在ったのが、此処(ここ)だったと言うだけの事。


 本当のナホミの魂は絶望して、この身体から抜け落ちてしまっていたから、あっさりと身体を強奪できた。それは都合が良かったが、実際身の回りを確認すると、都合が良かったのはそこまでだった事が、直ぐにわかる。


 ただでさえボロい寝間着は、滅茶苦茶に引き裂かれて、ただの布切れになってしまっていた。

 痩せ細った身体にも、色々な意味での暴行の痕跡が生々しく残っていた。

 多分、この身体の持ち主の部屋なのだろうが、家具らしい家具さえなかった。


 誰かは知らないが、ナホミの身体を乗っ取った魂は荒く零した。


 ―――うっわ…なにこれ…

 ―――ボッロい部屋…この身体もだけど

 ―――あ~なるほどね

 ―――差し詰め初花を散らされたって所か

 ―――ふぅん…あたしだったら有効活用するのに

 ―――勿体ない事するなぁ


 現在身体に入っている魂自身の身に起こった事ではないからか、それとも本気で気にしない考えなのかはわからないが、飄々とそんな事を考えていたが、やはり身体の付着した穢れは気になるようだ。


 ―――つっか、臭いし汚い…

 ―――どうせ相手はスケベ親父なんだろうしなぁ

 ―――せめてイケメンだったら、この身体の持ち主も絶望しなかった?

 ―――ま、どうでもいっか

 ―――絶望してくれたから、あたしがこの身体を奪えたんだしね

 ―――それより風呂よ風呂!


 ―――あ、でも待てよ…

 ―――ふらついてる時、周りはぼんやりとしか見えなかったけど

 ―――日本の下町くらいに思ってたのに…


 身体を強奪するまでは、感覚が曖昧だったようだ。


 ―――まさか日本じゃないの?

 ―――じゃあいったいどこなのよ、ここ…

 ―――って、なんか受け入れちゃってたけど、あたし…

 ―――なんで漂ってた?

 ―――あれ?


 ―――あ~それも気になるけど、まずは風呂よ!

 ―――こんな汚いモン、身体につけたままなんて絶対に嫌!

 ―――本気で臭いし…

 ―――でも……風呂…ほんとにない?

 ―――そういえば人家らしい建物にも風呂なんて見なかったような…?


 ―――ええ…日本じゃないのは理解したけど

 ―――………まさか時代も違う?

 ―――いや、未開の地なら考えられる!

 ―――……結構建物があったし、未開の地というのは難しいか…


 ―――とにかく水、水を探さないと…

 ―――未開の地じゃないなら井戸、それか川くらいあるでしょ


 ナホミの内側に入り込んだ何者かは、汚れと傷だらけの身体を何とか立たせ、部屋から出てみる。

 静まり返った廊下は暗く、何も見えない。

 だが、それほど長くなかったらしく、壁に手を添わせて進むと、直ぐに扉に行き当たった。


 ギ…と軋んだ音を立てて、薄い板張りの扉が開いた。

 途端に夜風が肌を突き刺す。


 季節的には冬ではないと思うが、傷で発熱でもしているのか、それとも栄養失調で血が足りないのか……理由はわからないが、とにかく身体が震える。

 それでも月明かりのおかげで、なんとか周囲を見る事は出来た。


 ―――水…水、せめて川…

 ―――あ、あるじゃん!

 ―――って、ポンプ式じゃない!?

 ―――…ほんと…ここは何処で、一体いつなのよ


 痛みに悲鳴を上げる身体に鞭打って、なんとか水桶を引き上げる。

 覗き込めば、多くはないが、それなりに水を汲み上げる事に成功していた。

 その揺れる水面に、顔が映り込む。

 何となく気になって、水面の揺れが収まるのを待ってから、もう一度じっくりと見つめた。


 ―――へぇ、素材は悪くないじゃん

 ―――悪くないどころか、結構可愛い…

 ―――はっはぁん、だからスケベ親父の餌食になっちゃったんだ

 ―――でもま、これならチャンスがあるかも…

 ―――さて、どうやって成り上がるか…

 ―――この身体の元の持ち主の素性もわかんないしなぁ

 ―――素性は疎か、名前も…


 ―――あ~そう、名前…

 ―――あたしの名前って…なんだっけ

 ―――そういえば…あ…

 ―――思い出した…


 身体の清拭に水を探しに出たのに、それも忘れてしまったようにじっと佇んだまま動かず、水面を睨み付けていた。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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