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ま…まぁ良しとしよう。
アツアツ夫婦のおかげで有耶無耶に出来た。そう思おう……。
ふと見れば、一同、納得の空気が流れる中、ドニカだけが全く理解が追い付いていないようだ。
ここで失敗は出来ない。
だが、彼女自身は深く考える質ではないと思う。
まるっと丸め込めるだろうし、退路は既にないのだから諦めて貰うしかない。
フィーはゆっくりとドニカに近付いた。
「という訳ですので、これまでの罰として労役をお願いします」
「……で、でも…あたし…」
「男爵家に戻れるとは思わないで下さい」
「それはいいんだけど…」
良いんかい…と思わず突っ込みたくなる程度には即答だった。
「あの家から出られて、殺されなくて済むなら…でも、あたし……」
キュッと唇を引き結んで俯くドニカは、そこで言葉を途切れさせた。
まさか此処に至って、ナホミの下に戻りたい等と言うのではないだろうな…?
「何も出来ないし…」
(……そっちの心配ね。
うん、知ってる。恐ろしく平凡設定だったし、リアルでもD組だし、現時点がお察しなのは十分理解してる。
磨き甲斐があると言うものよ)
「何より…」
(あぁもう、うざったぁい!
ナホミの下に戻りたいとか吐かすなら、締め上げるぞゴラァ…)
「身体強化魔法ってなんなの!?」
公爵夫人が居る場でその言葉遣いか…と言う突っ込みが浮かんだのは現実逃避だろうか…。
(まさか知らずに使ってたと言う事?
無意識って奴? もしかして、魔法の授業をサボってたのは、希少魔法の持ち主だと知られたくなかったとかじゃなく、本気で単なるサボりで、単なる勉強嫌いだったって事?)
いや、まぁ…そうか……と無駄に納得する。
希少魔法の持ち主だと言う自覚があれば、それを売り込めば良かったのだ。
ドニカ自身が、何を以て自分の幸せと捉えるかは知らないが、少なくとも男爵家より高位の貴族家へ、養女として入る事も出来ただろう。
アンネッタと対立する事もなく、陥れる必要もなく、ドニカは王家に接近する事も出来ただろう。
だからこそ反対に頭が痛い…と、フィーは額をそっと抑えた。
何故なら……これからドニカを待ち受けているのは、勉強に次ぐ勉強の日々だからだ……。
パァァァン!! ガツ!!
頬を打つ派手な音に続いて、ナホミの身体が壁に打ち当たる音が響く。
そんな力がありそうには見えない男爵夫人からの平手打ちが原因だ。
「この役立たずが!」
壁に当たってそのまま床に座り込んだナホミは、打たれた頬を手で押さえながら床を睨み付けた。
感情のまま男爵夫人を睨んでも、良い事はないと言う位はわかっていたからだが、そんな行動はお見通しだったようだ。
「何て反抗的な目……。
雇い主にとっていい態度だと思ってるの!?
はぁぁぁ……夫も息子も、外に女を作って病気でも持ち帰られたら堪らないと、お前のような薄汚い尻軽にも目溢ししてやったと言うのに…。
あの小娘の子守りも出来ないなんて……ほんと、使えない女…」
男爵夫人は忌々し気に吐き捨てながら、床に座り込んだナホミへ手近にあった皿を投げつける。
上体が床に倒れ伏すと、彼女はナホミの頭を何度も踏みつけた。
突然、これまでにない暴挙を受けてしまい、反撃するよりも先にナホミの意識は朦朧として、為されるままになっている。
「最近の態度は目に余るし…阿婆擦れを飼ってやってるんだからしっかり働きなさい!
いいこと? もう一度言うわ…小娘を連れ戻しなさい!
もう、ほんと…またアレは何をやらかしてくれたのよ…さっさと見つけて、公爵様に差し出さないと、うちが潰されてしまうわ」
朦朧とした意識で踏みつけられたまま、ナホミはそれでも薄ら笑いを浮かべた。
どうやら公爵家から抗議でも来たらしい。
てっきり嫁ぎ先でも見つけたのだろうと思っていたのに、とんだ見当違いだ。
と言うか、これまでより強めの抗議が来て、やっと慌てたと言う所か…。
『如何様にも御処分ください』と、実の娘を差し出して何とかやり過ごしたいのだろうが、ナホミだってドニカの行先なんて知らない。
それにしても血を分けた娘を、名すら呼ばず『小娘』だの『アレ』だの…本当に笑える。
そんな家族だから、ナホミがドニカを都合よく操れたのは確かだが…。
「アレを見つけてくるまで、お前は戻って来なくていいわ。
さっさと探しに行きなさい!!」
男爵夫人は、ビシリと戸口を指差した。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。
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誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




