Girls Night.
グルエップ共和国を離れて数日、宿で一息ついているときだった。
「ルシアンヌとニノンは、治癒の力があるんですね」
ロバーツ邸で浄化だけでなく、彼女たちが怪我を治しているところを目撃した。
「はい、治癒術が使えます」
「わたくし達、聖職者の中でも治癒術士ですもの。だからこそ聖女さまに付くよう選ばれたのですわ」
「それって私も練習すれば使えたりします?」
ニノンがふんわりと、いいえ、と教えてくれた。
「歴代の聖女さま方は治癒の力は持ち得なかったとあります。おそらくは、カリナさまも例外ではないかと……。すみません」
「がっかりとかじゃないんです。確認です。もしできるんならできたらいいな、できなかったらそれはそれでいいんです」
「魔の浄化だなんて世界唯一のお力ですのよ。もっと威厳をお待ちになってくださる?」
カリナは控えめなニノンに親近感を抱いていたが、ルシアンヌのこうした堂々とした強さも羨ましかった。
「感覚だけでよろしければお教えできますよ」
「お願いします」
ルシアンヌとニノンにそれぞれ片手を預けて、怪我はないけれども治癒術を使ってもらった。
「……もぞもぞする……」
柔らかめの筆で皮膚を撫でられるようだった。両腕の感覚に差異はないことから、治癒術を使える誰が使っても似たようなものだろう。
「いったいどうやってるの?」
「感覚的なものを言語化するのは難しいですね」
二人揃って首を捻っている。
「聖女さまこそ、聖水を呼び起こすのはどうなさってますの?」
「こう、聖杯を持って辿るだけ」
「辿る?」
腰袋から聖杯を出して、遠慮するルシアンヌに「いいから」と持たせた。
「聖杯の底から、銀の光が伸びているでしょう?」
「……いいえ、ございませんわ」
言い終わらないうちに、ルシアンヌの手の中にあった聖杯が歪んだ。姿を消して、カリナの手に自動的に戻ってきた。
感嘆のため息が漏れる。
「この聖杯にも防犯機能が……」
「ですからわたくし、そちらは聖女さまだけに許された至極の御力ですと申しましたわ」
ニノンにも聖杯を持ってもらったが、カリナに戻ってくるばかりだった。
Girls Night.
(女子会)




