87.決闘
大きな声で威嚇すれば人間はすぐにいなくなると思い当たり散らしていた。
「人間に席に座らせるからいけないんだ」
「あれっ、天使まで座ってるぞ」
その言葉でルシアが震えだした。
フレイアがそれを見て我慢できなくなり、おしぼりをそのグループのリーダーらしき男の顔にぶつけた。
そのすぐ後に夢が食べ終わった食器を五人の神の顔にぶつけた。
「な、何するんだーー!」
「お前たち神じゃねぇかー?」
「俺達は女神アテナ様の軍の者だぞ!!」
震えるルシアを見て夢は怒りを抑えられなかった。
「ここでは店が壊れる表へ出ろ!」
フレイアと夢は、五人の神を許せなくなった。
ヘカテーが夢とフレイアの前にたち話に入ってきた。
「どうするのですか?」
「私が投げたおしぼりを顔で受けた!これは決闘を承諾したという意味になります!」
「僕の投げた食器をこいつらが顔で受けたから決闘が成立している」
五人組がヘカテーの顔を見た。
「あんたは、女神アテナ様のご友人のヘカテー様!?」
フィリアは、聞き覚えがある名前だった。
何処かで聞いた名前だけど・・・冥界を司る女神、魔女の女王とも言われたヘカテーは、顔が三つあるから違う神かな・・・
「ねぇエルミナ、今ヘカテーって言ってたよね」
「ヘカテーがこんな昼間に観光案内なんてしないでしょ」
「でも神は同じ名前はいないよね」
「発音が少し違うのかもしれないよ、ヘカテとヘカテーとか、どちらにしても魔女の女王ヘカテーとは違うよ」
五人の神たちが夢とフレイアの顔に気づいた。
アントリュースの息子と昨日12人のアテナ軍の戦士と戦ったフレイアに勝てるわけがない・・・
ヘカテーは五人の神に言った。
「あなた達は、決闘を承諾してしまったから私には止められないです」
「ちょちょっと待ってください、店に来て席が空いてるか聞いただけですよ」
「アテナの戦士が戦いを承諾した後に断るのは、戦いの神への侮辱になります」
ヘカテーが説明をしていると、付き人の一人がいなくなっていた。
店の表に出てこの五人の神との決闘を始めようとしたとき、この神たちの上官が二人で現れた。
そのオーラと大きな傷跡からして戦場で相当強い敵と戦ってきたことが感じられた。
普通の傷跡なら治療魔法で完全に治せるが呪いをかけて斬られた傷跡は、呪いをかけた者よりも強い神聖の力でなければ直せない。
「うちの部下が騒ぎを起こしたみたいで面白そうだから見に来てやったぞ」
「隊長、助けてください」
「それは、無理だなお前が死ねば部下を殺された敵討ちで、俺がこの二人と戦えるから、早く死ね」
隊長と副隊長は、アントリュースの息子を殺せば有名になると思いヘカテーの付き人から聞き急いでここに来た。
夢は、その隊長の傷跡を見ていた。
僕が呪いをかけて斬ったらすぐに治るのかな?
試してみたくなった。
アミスとりゅう、ルビーとサファイアもようやく出番がきたかと戦闘体制に入っていた。
夢が一歩前に出た。
夢が本気になり、紅い瞳が光り、背中から光の粒子が溢れて翼になった。
周りの神々の中には、このオーラに気づいた者もいた。
これは、アントリュース!?
夢が、大きく剣を振ると景色に大きな亀裂が入り五人の神の体はが引き裂かれた。
二人の上官が夢の力を知ったときには、遅かった。
隊長と副隊長の体にも大きな傷ができて血を流していた。
二人は、すぐに治療魔法を使ったが治らなかった。
「何だおじさん達、弱かったんだね」
二人は、まさか子供の神にこれだけの力があるとは思ってもいなかった。
「おじさん試したい技があるんだけどいいかな?」
「いや、俺は、休憩中だからこの副隊長とやってくれ」
「私は今、休憩に入たばかりなので隊長からどうぞ」
会話しているところに突然二本の矢が立て続けに飛んできて隊長と副隊長の眉間に突き刺さった。
夢は、一歩も動けないどころか気配さえ気づけなかった。
夢の後から巨大なオーラを感じた。
夢はこの矢とオーラを知っている。
金色の弓矢を持った美少年が歩み寄ってきた。




