82.親善大使
神殿ではこれから、ギリシャの首都アテネに向かう準備で慌ただしかった。
ギリシャは、以前ゼウスの領地だった。
この世界の支配権をかけてアントリュースがゼウスを倒して勝利した。
今は、アントリュースが最高神になったが、いまだに心から服従していない神が多くいる。
アテナやゼウス直属の側近の神は、アントリュース軍の神々と顔も合わせたくない状況にあった。
アルテミスが指示をし夢とアミスの身なりを豪華に着飾った。
夢とアミスは、宝飾品だらけになった。
「お母様、本当にこの格好で行くんですか?」
「黄金の翼の国のアントリュースと私の子供としていくのです恥ずかしい身なりで行かせては国の恥です」
こんな、宝飾品だらけなんて成金でもここまではしないと思うけど・・・
「夢、ギリシャの神には気を許してはいけませんよ」
護衛として神竜のドラゴの娘りゅうが付き添う事になった。
全長は、5メートル程の子供の神竜で生まれたときから夢とアミスはよく知っていた。
名前からして、恐らくアントリュースがつけたと思われる。
「りゅうちゃん、大きくなったねぇ」
「夢は、変わらないね、飲み込めそうだよ」
「りゅうちゃん、冗談でも飲み込まないでね」
「私も、気をつけてるの、でも間違って食べても、お父さんの赤い蘇生の玉を借りてるから大丈夫だよ」
「その玉があっても食べないでね!」
ギリシャに向かう客船は、超豪華メルヘン豪華客船になった。
「いいですか、アントリュースに歯向かう神々は殺していいですからね」
「いえ、できれば話し合いで解決でしようと思っています」
「話し合いなどで解決するくらいなら戦争など起こりません、特にアテナにのいうことは全部嘘だと思いなさい」
「わかってます!話し合いにならなければ斬ります!」
夢にもわかっていた。
ゼウスの配下の神々とは、混じり会えないことは知っている。
人間と魔族が仲良くはなれないことも知っている魔族にとっては人間は食い物である。
船長が夢に挨拶に来た。
「今回は、もしものときは、ゴールドエンジェルアタックを撃つ許可を頂いてます!アテナが反乱を起こしたらすぐに撃つようにアルテミス様から指示も頂いてます」
ミコ達が船長や船の乗組員を見ていつも小型乗客船にいる神々だと気づいた。
この乗組員達は、戦いもでき、常に夢の護衛を兼ねている。
夢が小型船に乗ろうが大型の乗客船に乗ってもこのメンバーのほとんどが乗り込む事になっている。
アルテミスほ、用心のため腕利きの従者を夢の護衛に付けた。
子供で5メートルの神竜とはいえ鱗は硬く、魔獣くらいなら簡単に噛み砕く鋭い歯を持っている。
神竜は、凶器と見なされ入場を断られる事が多いが、5メートルの小柄で護衛という事であれば向こうも断れないはずである。
そして、夢には、まだ直属の従者がいないのでアルテミスが信頼している自分の従者を夢に付けた。
トラブルが起きたときはこの従者が話に入る。
今回は、アテナが絡んでいることで、アルテミスは、夢とアミスには、完全な防御体制で送り出した。
ギリシャの首都アテネの市街地を見下ろす高い丘にあるアクロポリスのパルテノン神殿に着いた。
アテネの神々から盛大な出迎えを受けた。
神殿の中にアテナがいたが、機嫌がかなり悪かった。
人間界のギリシャでアントリュースの二人の子供が親善大使で来ることで相手をしなければいけない事が苦痛だった。
「天界でも顔を見たくないのに、なぜ人間界にわざわざ来るのだ」
「これは、国をあげての行事ですのでご辛抱を」
アルテミスも、天界でも人間界でもアテナがいる所には行きたくなかった。
そこで夢がギリシャに行きたいという話がきたから急遽ギリシャでの親善大使の訪問を頼んだ。
「アテナ様、数日の我慢です」
「誰か、代役をたてろ!向こうもそのほうが喜ぶだろう」
「でしたらヘカテーに任せてはいかがでしょうか?」
「何っ、ヘカテーがいるのか?」
「はい、最近冥界のハデスがいなくなり、人間界のこの街に来てます」
「ヘカテーが代役なら誰もが納得するだろう、それよりヘカテーならなにか悪い事もできるのではないか?」
「アントリュースに痛い目にあわせられるか聞いてみましょう」
「報酬と条件を聞け、アントリュースに痛い目をあわせられるなら高い報酬を払ってやる」
ヘカテーは、冥府の案内人であり冥界と地上を行き来し、冥界ではペルセポネの助言者でもあった。
霊や魔女たちを率いる闇の女神としても知られ、冥界を司る女神、魔女の女王とも言われている。




