80.笑う男
ルシファーに勝つために何か策を教えてもらおうとした事を反省した。
今の自分は弱い、自分がどうやったら強くなれるかそれを考えるべきだった。
天界で耳にした神々の武勇伝も今まで興味がなかったが参考にしよう、それにかか様のようになりたい、この年になってようやくかか様の偉大さがわかった。
僕は神だから皆より強い、かか様とお母様が偉大だからその血筋で強い、なのに剣術はサボっていたその分弱いんだ。
今は、弱い者が見る景色だが強い者が見る景色を見てやる。
毎朝、真剣に剣術の練習をした。
二年生になり学校の帰りにふと公園で子供達が遊んでる所が目に入った。
アトランティスでも見た光景だったが、公園のベンチに座りそれを見ていた。
よくある普通のことなのに心がうたれる。
このセーシェルに住んでいるのにこの街をゆっくり見たことがなかった。
この街にも美術館はあるし、歴史のある建造物もたくさんあるのに今までそれが見えていなかったことに気づいた。
この一年は世界中の色々な所でモチーフ探しと戦いに明け暮れていたが、アトランティスで子供達が遊んでる姿を見てモチーフは近くにもあると思ったが、屋敷の近くの小さな公園にもモチーフはあった。
子供達はなぜ笑うんだろう、当たり前の事だがそれは楽しいから笑うんだ。
笑ってる子供達を見てると自分も楽しくなる。
思いっ切り笑ってる絵を描いたらどうなるだろうと思った。
夢は思いっ切り笑ってる男の顔を描いてみた。
それを見て自分が笑ってしまった。
アッハハハハハ〜〜〜!
自分が笑ってると、遊びに来ていたエルミナとフィリアが部屋に入ってきた。
「ねぇ、どうしたの?」
「何がそんなにおかしいの?」
絵を見て二人も大笑いした。
「アハハハハ〜何っこれ!ねぇ夢、これ出品するの〜?」
「しないよ、試しに描いただけだよ」
「面白いよ!これアハハハハ、悲しんでる人に見せても笑っちゃうわよ!」
「葬儀は、NGね!」
「ねぇ、これ出品しないなら私にちょうだい!」
エルミナが気にいって何度もお願いしてきたからあげた。
その一ヶ月後夢にニューヨークの絵画展から手紙が届いた。
手紙を開けると最優秀作品賞、笑う男!?エルミナがこの絵の価値を上げようとニューヨークの絵画展に作者夢、笑う男で出品していた。
僕が自信を持って出品しても入選しないのに人前に出せないと思う絵が最優秀作品賞になった・・・それも2点目・・・
夏休みに神殿に持って行くお母様の絵を描こう。
ドラゴに乗って弓を弾くお母様、指定があるからモチーフを考えなくていいのはまだ楽だが、見たら威厳が溢れてるというところは悩む、夏休みが来る前に完成させよう。
そして、二年生の夏休みが来た。
夏休みの後半は、人間界の旅行があるという事でルビーとフィリアも同行が許された。
夏休みの後半、人間界の旅行先はエーゲ海に決まった。
近くには、オリンポス山がある。
オリンポスの神が人間界にいたときのことにも興味があった。
アントリュース軍とゼウス軍の戦争が終わってからはかなりオリンポスの神は大人しくしているがアントリュース軍を恨んでる神は多い、だが、戦争で勝利したアントリュース軍の神々も多くいることでアルテミスから許可が許された。
そして、許可された条件は、黄金の翼の国の親善大使としてオリンポスに数日訪れるという事だった。
旅行の当日は、夢の屋敷に集まり小型の乗客船はで天界に向かった。
神殿に着くとお母様に頼まれた絵を見せた。
その絵から威厳が伝わり見ていた使用人達も惚れ惚れして見ていた。
アントリュースが寂しそうに夢に言ってきた。
「私の絵、楽しみにしてるからね」
「卒業までには、本当のかか様の絵を完成させて見せます」
「可愛いい絵だからね!」
アルテミスは、とても気にいって飾る場所を考えていた。
戦いに酔ったアントリュースの絵は、レムリア大陸の大きな美術館に飾られていたが、魔族に盗まれた情報が入っていた。
たくさんの名画が飾られている中でその絵だけが、盗まれていた。
夢は、その話を聞き、まさか魔族があの絵を欲しがってたの!?でもあり得ると思った。
魔族ならあの絵を崇拝してもおかしくない。
お母様に絵を渡しその後、夢はすぐに課題に取り組んだ。
剣術は奏に稽古をつけてもらった。
必死に向かって行ってもあっさり避けられてしまい、奏は本気で斬り掛かってこない、もし本気なら一瞬で自分の首が吹っ飛ぶ。
「夢、本当に上達したね」
「奏さんに本気で相手にしてもらえるにはどのくらいかかりますか?」
「今のペースなら1,000年くらい頑張ればいけるかもしれないよ」
「ですよね」
「夢、1.000年で私を本気にさせられたら勇者よ」
そりゃあ、伝説の勇者奏と互角に手合わせしたら勇者だよと思ったけど言わなかった。




