72.アバロン島
冬休みが終わり、人間界に来てから一年が過ぎようとしていた。
あっという間だな、あと二年なんかすぐに過ぎてしまいそうだ。
最初は、見たくて行きたい所がたくさんあったけど、モチーフはすぐ近くにあった事を知ってからは、それほど遠出をしようと思わなくなった。
でも、皆でどこかに出かけるのは楽しい、春休
みは、2週間くらいだけど天界に帰らなくていいから、少し遠くまで行こう。
春休みが来る前にアミスの絵を描こう、可愛い妹のためだと思うとかなり気合いが入る。
アミスの好きな所は、たくさんあるし、描きたいところも選べないくらいあった。
一ヶ月が過ぎ今回は、兄から見た可愛いアミスを描いた。
完成したその絵を見てると、「お兄ちゃん」という声が聞こえてきそうなくらい可愛いアミス、本人は気にいるかどうかはわからないが、心を許した者にしか見せない可愛い表情を描いた。
春休みはどこに行くか、ミコのお父さんが経営しているレストランに行って、ミコとエミリーンと話をする事になった。
当然、誘ってもいないエルミナとフィリアも一緒だった。
「夢は、どこに行きたいの?」
「僕は、特に行きたい所は無くなったんだ」
「どうしたの人間界の色んな所を見て回りたいって言ってたのに」
「モーリシャス島とアトランティスの人達を見てたら、見つかったんだ」
「何を」
「僕が見たい物は、綺麗な景色じゃないんだ人間の感情や人々の生活感なんだ」
見たい景色や美術品は、本やネットで見る事ができる。
感動できる物は常に身近にあった。
「そうなのでも旅行は行こうね」
「だったらアトランティスにおいでよ」
「い〜え、でしたら、アバロン島にしましょう」
ミコが、嫌な目をした。
「アバロン島ってアーサー王が眠ってる所?」
「そうですわ、私の父の友人があの島でホテルを経営してますの、ですが泊まる所はプライベートビーチがある当家の別荘になりますが」
「あのアーサー王って本当はいないんでしょ」
「心の中にいますわ」
「宗教じゃない!」
エルミナも怖い顔をしていた。
「マーリンって魔法使いは、存在しないのになんか有名になってるのか許せないよねフィリア」
「えっ、私に振るの!?興味ないよ、だって術式の本も残していない大魔法使いなんていないと同じよ」
「そうだ!!フィリアもっと言って!!」
「エルミナ、アイスコーヒー飲んで酔っ払ってるの?」
「酔ってないよ、ねぇエミィ、エクスカリバーって何なの?」
「聖剣ですわ、それが何か?」
「その聖剣は、ちゃんと研いでるんですか?それに何かに突っ込んでた物からアーサーが抜いたとか?聖剣ならもっと大事にするはずでしょ!売るときに値が落ちるわよ」
「聖剣を売るお話しですか?どちらにしても私は知りませんよ、アーサー王なんて実在しないんだから」
「えっ認めるの?」
「ヨーロッパを制圧したログレス王国だのキャメロットなんて城もありませんし、ブリテン島にアーサー王なんて実在しませんわ」
「じゅあ何故アバロン島に?」
「観光ですわ」
よく考えたらエミィは、アーサー王がいるとは一言ってない。
「ごめんエミィ、私の早とちりだ!フィリアも謝って!」
「何で私が謝るの!?エルミナが勝手に騒いでたんじゃない」
「本当に気分が悪いですわ、では今回はお詫びとしてお二人は、アバロン島に賛成してください、これで三票ですわ」
エルミナの早とちりにより、アバロン島に行く事になった。
「エミィは何故そんなにアバロン島を勧めるの?」
「あそこには、当家のプライベートビーチがあってとても良い島なので、アーサー王とは関係なく、良い観光地だという事を多くの人達に知って頂きたいのです」
「居心地が良い島だから、でアーサー王目当てでない人達を増やしたいのね」
「アーサー王好きな人達に怒られそう」
「昔っから、あまり一般の観光客が来なくて、島に来るのはアーサー王を信じてる人ばかりなんです」
「アーサー王の聖地巡礼する人達いるんだね」
「作られた話ではなく真実だと思っている人達がかなりいるから困ってるのです」
「そこのリゾート地売っちゃえばいいじゃない」
「父の友人の方からのご紹介なので売れません」
夢も、今回は気がのらなかった。
一人でモーリシャス島かアトランティスにスケッチに行きたかった。
人間界の付き合いというものを覚えた。




