春美と杏花・Part-2(5)
[場所:公園、桜の木の下]
明転
[杏花]:「――確かに、友人のみなさんがそういう風に言うのは分かる気がするな。私も、それを感じてたし」
[春美]:「お前もかよ」
[杏花]:「ふふ。何て言うか、人当たりが柔らかくなったよね」
[春美]:「そんなこと言われても、何て返していいか分からねぇよ」
[杏花]:「それをキープしていけば、より磨きがかかるね」
[春美]:「磨きって、お前な……」
[杏花]:「いいじゃん。私、お兄ちゃんのファンなんだから。ファンとしては、よりよく他の人に良い印象に映ってほしいものでしょう?」
[春美]:「お前が俺のファンだったなんて、初めて聞いたぞ」
[杏花]:「うん。だって言ってないもん」
[春美]:「いや、それは分かってるよ」
[杏花]:「でも、普段の私の様子を見れば、分からなくはなかったかもね。まあ、お兄ちゃんは見てるわけないと思うけど……」
[春美]:「仮に見てたとしても、お前が言うような考えには至らねぇよ」
[杏花]:「え? そう?」
[春美]:「当たり前だ。どこのナルシストだよ、それ」
[杏花]:「ふっ、俺も罪な男だぜ……くらいかましてくれてもいいのに」
[春美]:「そんなふざけた男は死んじまえ……」
[杏花]:「だよね。言うと思ったよ~」
[春美]:「じゃあ聞かなくてもよかっただろう」
[杏花]:「今ならひょっとしたら……って思ったんでつい」
[春美]:「絶対にそんな風にはならない。天と地がひっくり返ってもな」
[杏花]:「ですよね~。……見てみたい気持ちがあったんだけど」
[春美]:「何か言ったか?」
[杏花]:「いえ、何でもありませんよ~」
杏花、歩いて桜の木の根元へ向かう。




