春美と杏花(10)
[杏花]:「あり? お兄ちゃん?」
[春美]:「う、く……」
春美、額に手を置き少し苦しむ。
[杏花]:「わわ、どうしたの? お兄ちゃん」
[春美]:「いや、何か急に……」
[杏花]:「だ、大丈夫?」
[春美]:「あ、ああ。……痛みが引いてきた」
[杏花]:「お兄ちゃんって、何か持病みたいなものがあるの?」
[春美]:「いや、そんなことはない。ただ、この時期になると、何の拍子もなく突然今みたいなことが起こるんだ。どうして起こるのかは、分からないんだ。」
[杏花]:「そ、そうなんだ。何か、ごめんね。症状を引き起こしちゃったみたいで」
[春美]:「……お前のせいじゃないと思う」
[杏花]:「この話は、やめておいたほうがいいかもしれないね。お兄ちゃんがまた頭痛を起こしちゃうのは見たくないから」
[春美]:「ああ」
[杏花]:「――今日はこの辺にしておこうか。鬼ごっこで疲れてるのかもしれないよ」
[春美]:「かもな。走りっぱなしだったからな」
[杏花]:「うん。ゆっくり休むといいよ。今日はきっと、すぐに眠りに付けるはずだから」
[春美]:「ああ、そうだろうな」
[杏花]:「じゃあ、今日はありがとう。また、明日ね」
[春美]:「あ、ああ」
[杏花]:「じゃあね」
杏花、退場。
春美、少々考えるような素振りを見せる。しばし考えた後、ゆっくりと退場する。
数秒後、杏花登場。
杏花、どこか寂しそうな表情を浮かべて春美が退場していった方向をじっと眺める。
少しずつ暗転




