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『ちゃんと愛してたのに』  作者: 設楽理沙


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5/13

5 ◇何もわかっていない男と女

5 



 女にはまだ小さな子供がいた。

 子供を親に預けて週に2回も3回も家を空けて男とセクロス(SEICROSS)三昧。


 どうなってるの?

 子供が不憫だ。


 日々の家庭生活を送ることと、ホテルで2時間ほど会って抱き合うという、

快楽だけを享受することとの間には、大きな乖離がある。


 子供もいなくて静かな私との生活にも(でさえ)飽きて、子持ち女との

放蕩に明け暮れるという経験をしている夫が、あの女と結婚して上手く

いくのだろうか。

 

 血の繋がらない他人の子を養育できるほどの器があるとも思えない。


 子供のいる暮らしは、よく言えば賑やか、悪く言えば静かに1人の時間

なんて作れるはずもなく始終うるさいものだ。


 それに、今までホテルで雰囲気を出してその気になり、ヤルことヤッてた

関係のふたりが、まともな日常を共に過ごすなんてどう考えても無理だ。


 結婚した途端──

夫は夢から覚めることだろう。



 今は、馬鹿になっているからわからないだろうけど。


 ちゃんとまともに日常を送れない者に、真っ当な未来なんてないのよ。


 私は懲戒解雇になった無職の夫に別れを告げ、正式に離婚をして

再び郷里に戻った。

            

             ◇ ◇ ◇ ◇


 何と言うこと。

 妻のことを舐め過ぎてた。

 だからの、このしっぺ返し。


 どうして、必死で不倫相手もいるホテルの部屋に突撃してきた妻の

本気の態度にちゃんと向き合わなかったのだろう。


 あの時、向き合い、ちゃんと謝罪していれば……。


 出勤する必要がなくなり、妻と暮らした部屋にいる俺は、今日も

妻がホテルに来て「何してるのか話して」と何度も追及した日のことを

思いだしては、後悔している。




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