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女神ハルモニアと世界の言葉。その2

「「龍種一同心よりお待ちしておりました・・・ハルモニア様・・・」」


確定調和発動失敗により神力枯渇で気絶、目が覚めてヘスティア先生に会うも直ぐに気絶、そしてまた目を覚ますも怠すぎて寝込む・・・結果的に完全に目を覚ますのに1週間かかった私を出迎えてくれたのは私以上に疲れ果てている龍でした・・・


『何でそんなに疲れているのですか?貴方は地龍王のベルリンですよね?!』


「はい・・・ここに来てから激務が続き・・・もう仕事に疲れてしまいまして」」


ヘスティア先生の『原初神召喚、強制連行神技「他者との邂逅」』により魔法世界に強制着地させられた女神ハルモニアです。


ちなみに私を連れて来た(誘拐して来た)「原初神ヌン様」は他所の銀河で仕事中での参加だったとの事で直ぐにいなくなりました・・・仕事中のスキマ時間に小娘を相手にセクハラなんてしないで下さい。


神力切れを起こした私はあれからまたヘスティア先生の手の上で1週間ほど寝込みました。普通に寝るとアメリアちゃんが上に乗って来ますので今回は逆に私がアメリアちゃんの上に乗りましたよ。でも起きた時にはしっかりアメリアちゃんが上に乗ってました。



「「先生は1週間も2人が手の上に乗ったままの体制のままでピクリとも動けずビックリです!先生ってベッドの才能もあったんですね」」



それは・・・本当に申し訳ありません。先生の手は温くてとっても寝心地良いんです。布団役のアメリアちゃんのお腹は温いですがめっちゃ重たいんですけどね。

いえ!そんなアホな事よりベルリンですよ!


この世界に来る直前に・・・

《現地では地龍王ベルリンが龍種達を統制してます。詳しい事は彼に聞いて下さいね》

アテネ様からそんな説明を受けていたのですが肝心の地龍王ベルリンは疲れてますよ?!


せめてパシリ女神のナデナデで癒されて下さい。

『貴方ほどの龍種に一体何が?・・・・・・』ナデナデナデナデ


「「グルルルルル・・・・・・ハルモニア様のナデナデ・・・これはなかなか癒されますな。

いえ・・・ハルモニア様・・・我は己の限界を思い知りました・・・

我には王たる資格はありません。地龍王の座は息子のクライルスハイムに譲って我は一度天界に帰り修行し直して参ります」」


『帰る?天界に?え?ええ?』ナデナデナデナデナデナデナデナデ

嫌な予感がしまくりナデナデにも気合いが入ります。


「「ハルモニア様・・・老骨よりの忠告です・・・

この世界・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジヤバです」」


『マジヤバ?!あのベルリン?ちょっと待って?話し合いをしましょ?

ガイア様に掛け合って待遇改善をしてもらいましょう?ね?

私はこれでも顔は広いんです。お祖父様ゼウスにもお願いするから!ね?」

ナーデナデナデナデナデ


「「何のお役にも立てず申し訳ありませんでした。

息子のクライルスハイムには地龍王の力の全てを教え込んでおります。

もう・・・我なんて・・・我なんて・・・」」


あ・・・ダメなやつだこれ。

完全に自暴自棄になってます。ベルリンには休暇が必要です。


『わ・・・分かりました・・・お大事にベルリン・・・』ナデナデナデナデ


こうして私の赴任と同時に頼みの地龍王ベルリンが実家に帰ってしまいますよ?!

不安しかない初めての天界外任務・・・私!これからどうなっちゃうのぉおおお?!



そしてベルリン帰還の日・・・



魔法世界に到着した調和の女神ハルモニアが最初にしたお仕事は・・・

地龍王ベルリンの休暇療養願いを大地の女神ガイア様と大神ゼウス様に向けて書く事でした。


『ガイア様とゼウス様から帰還承認の通知が来ました。

後の事は何も気にしないで天界でゆっくりと休んで下さいねベルリン』ナデナデナデナデ


今日は天界に帰還する地龍王ベルリンのお見送りです。

餞別代わりにたくさんナデナデしましょう。


「「我の様な軟弱者にこれほどのお心遣い・・・今後ベルリンはハルモニア様に絶対の忠誠をお誓い致します」」


『ものすごーく面倒臭い事になるのでお気持ちだけいただいておきますね』

ナデナデナデナデ


下っ端のパシリ女神がガイア様の眷属神獣を引き抜きでもしたら・・・

いや、お心が大陸の地平線まで広がる大草原の様に広大なガイア様なら何も言わないな多分・・・でもガイア様の従属神の方達がうるさそうです。


「「父が大変なご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした」」


『いえ?私は書類を書いただけですから・・・私も女神らしく「癒し」の能力でも有れば良かったんですけどね』


どうやら私にはその手の才能は無いようですね。


「「そんな事ありませぞ!ハルモニア様のナデナデには凄い癒しの効果がありますぞ。

後でクライルスハイムもやって頂きなさい」」


「「はい!よろしくお願いしますハルモニア様」」

そう言って頭を下げ私に撫でられる体制のクライルスハイム君。


『え?ええ、こんなので良ければいくらでも』ナデナデナデナデナデナデ


「「これは・・・おお・・・これは・・・何かこれから存分に戦える気がして来ましたぞ・・・」」


「「クライルスハイムよ。ハルモニア様からたくさんナデナデして貰うのだぞ?」」


「「はい!父上!」」


そんな言葉を息子に残して地龍王ベルリンは天界へと帰還しました。

もう少し何か息子に残す有意義な言葉はなかったのでしょうか?


後で分かった事ですけど私のナデナデには龍種限定にはなりますが精神崩壊を急速に回復させれる治癒の効果があるらしいです。

アテネ様・・・これ前から分かってましたね?だから私に龍種の統括をしろって。


「「わたくしもハルモニアちゃんの上に乗っかるととても癒されます。

お腹からハルモニアちゃんの光のパワーを充電ですわ」」ズシン!


『だから重くて寝苦しいんですよアメリアちゃん』パンパン


ついでに私の光エネルギーは龍種の魔力充電に使えるとの事です。

でも私にわざわざ乗っかる必要はないらしいです。

要するに私は居るだけで龍種の魔力補給基地と医療施設になります。

そう考えると私の派遣は理に適ってるのかな?


それはそうと・・・


『今日は風が強い・・・猛烈な暴風雨ですねぇ』

何事もなく会話が進んでいる様に見えますが実際の周囲の状況は「猛烈な嵐」です。

神の私が言う「猛烈な嵐」ですから本当に凄いですよ?

まだまだ若い惑星なのでたまにこうなるらしいですね。


「「これはもう天気の話しじゃなくて天災の話しになるレベルの大荒れですねぇ」」


「「瞬間最大風速は55m、1時間に180mmを超える雨らしいですねぇ

何より勢力が全然衰えず気圧の目がこの地域から殆ど動かないですねぇ」」


「「何それ?ヤバくね?ピンポイントで俺たちを狙い撃ちしてね?」」


「「あれ?ヘビモスと天龍は気候操作出来るんじゃなかった???」」


「「ある程度ならな?こんなん流石に俺らでも無理だわ」」


『それより850hPaって凄くないですか?新記録じゃないですか?

これは人間の国なら滅んでも不思議じない災禍レベルのハリケーンですねぇ?

あら?見て下さい。さっきまであの辺は窪地だったのにもう水没して湖になってますよ?』


これは雨後の地形も前とは変わっちゃいますねぇ。


「「女神の力で何とかならないんですか?」」


『何とかなる、ならないで言えば「確定調和を使えば何とかなります」。

でも星の気候を変えるのが妥当かどうか天界で審査して許可が降りないと実行は出来ません』


「「そうなると許可が降りる頃には嵐は収まってますねぇ」」


『まあ、基本的に神が自然の摂理を変えるなって事でしょう。

それより見て下さい?出来た湖が目に見えて大きくなってます。凄いです』


「「こんな天気のままで既に3日経過してますからねぇ。総雨量も3000mmを超え周辺の川も全域で氾濫して湖の一部になってますねぇ」」


龍&ヘビモスと女神ハルモニアが見ているのは後の世で「ピアツェンツア淡水湖」と呼ばれる中央大陸中央部にある大きな湖の誕生の瞬間です。

どれくらい大きな湖かと言うと日本の「面積が琵琶湖の65倍」の湖です。

それでも世界では5番目の大きさの湖なので魔法世界がいかに広大なのかが分かります。


「「窪地で寝ていた地龍達も綺麗サッパリと水没してますねぇ・・・つーかアレでよく寝れるなアイツら」」


龍種は種族関係なく無呼吸活動が可能です。

と言うよりは宇宙空間での活動も考慮に入っているので溺死する事はありません。


思い起こせばこの頃の龍種&ヘビモス達と私は拠点も神殿も何も無いものだからその辺の適当な野原に野営してたんですよね。

ただ、野原滞在期間も長くなりさすがに苦情がチラホラと出て来ました。


「「ねえ?そろそろ根なし草は嫌。拠点を何とかしてアメデ」」


あまりの悪天候に我慢の限界に来たのか雨に打たれながらビッチャビャチャの仏頂面な天蒼龍のシーナが天龍王候補のアメデに絡みます。


「「我が?・・・そうは言ってもなぁ」」


「「そうねぇ・・・贅沢は言わないけどせめて屋根付きの寝室とお風呂が欲しいわ。雨降れば冷たいし、水浴びの時も冷たいし・・・」」


「「わたくしは別に気にならないわよ?」」


「「水を司る海龍に言われても・・・空を司る天龍には野原の環境は少し辛いのよ」」


「「地龍的にもここは地脈の流れが良くないからな」」


「「そもそも何で我らはこんな資源も遮蔽物も乏しい野原のど真ん中で野営してんだ?この野原拠点は海龍、地龍、天龍、ヘビモス、誰にも利点がない」」


「「いや・・・最初にアメリア様がここで寝始めたから・・・皆んなも何となく」」


「「先生も即席で作った掘立て小屋教室からは卒業したいです。これからは教材もきちんと保管したいですからね」」

ああ・・・ヘスティア先生が作った学校も大絶賛水没中です。


いえ・・・平屋ですけど石造りの結構立派な学校だと私は思うのですが地龍的には掘立て小屋の扱いになるんですね。

ただ、即席の学校に皆んなが寝れる訳もなくほとんどの龍が野宿してます。


「「そうは言ってもなぁ。クライルスハイムよ?何か考えはあるか?」」


「「そうだな・・・拠点の候補地としては・・・海龍は広い海があるから問題無いとして・・・地龍は地脈の源になるユグドラシル様の麓、天龍は大気の状態から見て西の大陸の大連峰になるだろうか」」


「「おっ?!いよいよ拠点構築するのか?なら我に良い考えがある」」


「「なんか案があるのか?ノイミュンスター」」


「「地龍に関してはユグドラシル様の大霊樹から南西7km地点におそらく太古の火山の火口だったと思われる半地下大洞穴がある。

元火山なら地脈にも問題なくヒットしているしここを活用しよう。

それから天龍には西の大陸の大連峰に実は古代遺跡があるのを発見していてな?」」


「「古代遺跡?はて?この世界の歴史はまだ浅いのでないのか?」」


「「おそらくだが、「世界創生期に女神フレイヤ様が仮宿として使用していた」んじゃないかと我は推察する。調査の結果、僅かだがフレイヤ様の神力の残滓も感じるからな。

古代遺跡の作りは強固で上々、広さも申し分なし、少し手直しするだけで直ぐに使用可能だ。

それに遺跡の周辺は常に雷が発生して強風が流れているから魔力補給の面で考えても天龍には最適だろう。

だが・・・生活面では、かなり荒地地域で不安も大連峰の麓にある巨大な湖の周辺に生活拠点は必要だろうな」」


『へえ?フレイヤ様が作った古代遺跡ですか?それは興味ありますね』

歴史マニアの私としても是非見学したいです。


「「はー・・・やっぱり学者さんって凄いわ・・・

言う事全てが理路整然し過ぎてて何の反論も出来ないわ」」


「「これで性根が乱暴者なんだから不思議よね~。てか、最近ノイミュンスターの姿が見えないと思ってたら世界中の地形の調査していたのね・・・アンタ凄いわ」」


「「お前らが調査の仕事をサボってるだけなんだがな?他の天龍達は頑張って世界中を調査しているぞ?」」


「「サボってるんじゃなくて皆んなから来る情報を整理してアメデを通してディオーネ様に送ってるの!居残りジャンケンで負けたのよ!文句ある!」」


「「私達姉妹が下手に動くと情報に抜けが出るのよ。私だってこんな大嵐の野原に居るより陽射し溢れる空を飛びたいわ」」


そうか・・・それはすまんかった。後は・・・海龍に陸上拠点は必要か?」」


「「基本要らないけど陸上にも火を使う鍛治の作業場だけは欲しいわね。

あっ!でもヘビモスには陸上の拠点は必要よ?あの子達は建築は苦手だから地龍がサポートしてあげて欲しいわ。海龍も建築に関してミソッカスだから」」


「「なるほどな。海龍には海から近く石炭が豊富な場所、ヘビモスには豊富な水場のある良い場所を探して見るか」」


「「ヘビモスは野外活動が得意で野宿は気にしないし至急性は無いからゆっくりで良いよ~。

あっ、でも私達ヘビモスは淡水専門だから淡水湖がある場所が良いわ」」


「「ふむ、淡水湖・・・それなら案外候補地は絞られるかな?

てか、現在もドンドン大きくなってる目の前の湖で良くねーか?」」


「「そう言う事~。ヘビモスの棲家はここで決まりだね!

私達の仕事は先ずはこの地域の水の浄化作業からだね!これはやり甲斐があるわ。

この薄汚れた大量泥水・・・ああ、なんて汚らわしい・・・これを完全浄化して生態系が出来るまで何年かかるかしらん?」」


なんかヘビモス達がこの大雨を見てハアハアしてますね?

そう言えばティティス様からヘビモスってワーカーホリック(仕事中毒)気味だと聞いてますね。

オーバーワークにならない様に私が見張りましょう。


「「仕事が出来て凄い嬉しそうだな?

地龍が海龍とヘビモスの拠点構築のサポートに回るなら天龍は単独での建築作業になるな」」


「「えー?嫌よアメデ。疲れるから建築って苦手なのよねー」」


「「だから最初にお前が拠点を欲しいって言ったんだろ?」」


「「我ら地龍で天龍の拠点を作っても良いが候補地の標高が高すぎて資材運搬は天龍にしか出来んからな?そうなるとシーナ、お前は運搬専用要員になるぞ?」」


「「うげ?!それはそれで嫌。大人しく拠点作り頑張りまーす」」


おお!ウチの若い子達が優秀でドンドン拠点の話しが決まって行きますね。

ちなみに私も建築はミソッカスですので全てお任せします。


「「ハルモニア様の神殿はいかが致しましょうか?祭壇の種類など御要望をお聞かせ頂きますと助かります」」


『あっ!私は「天体憑依タイプ」なので地上に神殿は要らないです。

祭壇に関してはポールを立てて「天秤座」に向けて祈ってくれるだけで良いです』


「「そうでしたか。でもハルモニア様を讃える神殿は作らせて頂きます」」


神の私生活を大別すると、常時顕現タイプ「常に人の目に見える姿で神殿などに留まるタイプ」と天体憑依タイプ「通常は精神体として恒星、惑星、衛星に憑依して人の目に姿は見えず必要に応じて地上に降臨するタイプ」に分かれます。


私を象徴する恒星はお母さん(アフロディーテの金星)が守護する天秤座の中にあります。

お母さんの星のすぐ横にある小さな新星なので目立たないですけどね。

私の神力が上昇すれば私の星も地球からも見える様になるかもですね。


さて、この二つのタイプの何が違うと言いますと「ズバリ!ご飯の都合」ですね。


常時顕現タイプは地上に有る物質からエネルギーを作れるので問題無いですが天体憑依タイプは宇宙空間に存在するエネルギーを吸収する必要がありますので通常は宇宙空間にて生活する必要があります。要するに燃費が悪いんです。


天界などはその辺の設備も整っているので大気圏内でもエネルギーの補給が出来ますが設備が整っていない魔法世界では通常時は大気圏外に出ている必要があります。


大気層は、人の言う「有害物質」、私の言う「ご飯」を遮断してしまいますからね。

そう言う体質なので仕方ないですね。


「「えー?ハルモニア様は地上から居なくなるの?私のエネルギー補給源が・・・」」


『ご飯を食べないとお腹が空きますからね。

そして私はアメリアちゃんのガソリンスタンドではありません』


かく言う今もお腹がグーグー言ってます。そろそろ大気圏外に出てご飯を食べに行きたいです。

でも毎日、大気圏外から通勤するのも色々と朝の準備が大変ですね・・・何か対策を考えないと。




天体憑依系の神様のご飯とは主に「闇」です。

宇宙空間って基本闇じゃね?と思われるでしょうが光を通さない精錬された漆黒の闇は莫大なエネルギーの塊です。ブラックホールなどが良い例ですね。

でも天体憑依系の神様でもブラックホールに飲まれるのは生死に関わります。

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