女神ハルモニアのお仕事。その3
少し?暴れ過ぎたせいで天使には破壊神扱いされ大神ゼウスにも厳重注意されてしまい少し自分の調和のやり方を変えようと考えた調和の女神ハルモニアは自分の下僕・・・相談役である魔王バルドルに相談する事にした。
昼間の会議中に押し掛けたら「お願いですから夜まで待っとくれい!」とバルドルに言われたので惑星軌道上で夕飯を食べてからまたバルドルの所へと突撃したハルモニア。
天体憑依タイプの神様のハルモニアは宇宙空間でないとご飯を食べられないとても面倒くさい生き物なんです。
『面倒くさい生き物って何ですかぁ!!
てか牡牛座に守護星を持つメーティス様もそうじゃないですかぁ!
ほんっと皆んなして私の事を破壊神とか面倒くさいとか言いたい放題ですね。
・・・はあ・・・・もう良いですよ。
もうハルモニアは諦めましたよ。皆んな好き勝手に言えば良いんです。
それでバルドル?どうすれば良いと思いますか?』
今回は大切な話しなので今までの音声のみの「世界の言葉モード」ではなく魔王の間に火の玉モードにて直接降臨しました。
ちなみにバルドルは自身の個有特殊スキル「影見」で悪魔達と戦うハルモニアの人型モードを見ていたのだがドテラ眼鏡の省エネ火の玉モードは今回初めて見たらしく目の前でプカプカと浮かぶ黄金の火の玉を何とも言えない表情で見つめた後に・・・
「そんなズボラな格好をしとらんと普通に人型モードで降臨したらどうなのじゃ?」
神格を持つバルドルには火の玉ハルモニアの真の姿が見えている様子だ。
「それから黙って聞いておれば人の事を下僕だの何だのとの解説者の物言いにはかなり引っかかる所もあるがまあ良い」
おお!わたくしの声が聞こえるなんてバルドルの神格は高いんですね!
「儂の神格が高いと言うよりは儂らを庇護してくださっている「月の精霊王様」の神格が高いのじゃろうな。
何せ、十一面観世音菩薩の二面を持つ精霊王様じゃからな。
真魔族の闇の属性は、その「月の精霊王様」から頂いておるものなのじゃ」
『月の精霊王・・・ですか?初めてお名前を聞きました。
えーと?確かこの世界の精霊王は・・・
木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生ず。
木は土に剋かち、土は水に剋かち、水は火に剋かち、火は金に剋かち、金は木に剋かつ。そして対極の光と闇を加える・・・でしたっけ?
この八大属性の精霊王と月の精霊王は違うのですか?』
そのお話しは、わたくしの知識の中にもありませんね。興味深いです。
でもなんとなくバルドルや真魔族が闇の眷属らしくない理由も分かってきましたよー。
闇の眷属・・・ヴァンパイアが降臨したハルモニアちゃんの「聖なる光」をダイレクトに浴びて女性や子供も含めた一般市民の誰も全然異常がないのは凄くおかしいですもんね。
何なら聖光に照らされて城の皆んなの体力も回復して気持ち良さげ?
普通のヴァンパイアなら、この城に居る全員がハルモニアちゃんの聖火に焼かれて今頃消滅しています。
そこから考えるに真魔族と言う種族はアンデットや闇の眷属と言うよりは夜の力(休息と出産を司る)を持つ観世音菩薩の眷属かな?
それに十一面観世音菩薩の二面?つまり月の精霊王とは二面を持って十一面観世音菩薩から精霊王に分離したのかな?
考えられる二面の属性とは太陽と月の対極の二面・・・その眷属は言うなれば活動と静寂の二面を持つ民?
吸血鬼の特性は人間から上位種族に進化する時に生まれた代償かな?
『うっ?なにか難しい話しになりました・・・』
「おお!さすがは知恵の女神じゃ。なかなか鋭いな、ほぼ的中じゃ」パチパチパチパチ
エヘン!!!!どうだ?!ティーターンの神も凄えだろう?褒め称えるが良いぞ。
「しかしこの話しは話し出すと凄く長くなるので後日話そう。
つーか、切羽詰まった緊急事態だったとは言え「メソポタミア」の民を吸血鬼にした張本人のマクシム君に聞いてくれ。なにせ儂が生まれる前の話しじゃからな」
『マクシム君の説明は大雑把過ぎて現在進行形で痛い思いしているのでバルドルが後で私に教えて下さいね?』
「まあ先ずは真魔族の生い立ちより今はお主への批判を回避する方法じゃったな。
そうじゃのう・・・要するに無秩序な暴力を批判されているのであれば秩序有る暴力に置き換えてしまえば良い」
と、バルドルなりの解決案を提示する。
『秩序ある暴力・・・ですか?』
おや?なんか魔王が妙な事を言い出しましたよ?
「つまり、「神としてここまでは許容するが、ここからは許容はしない」との世界の憲法を作るのじゃな。
その憲法を守るのであれば例え悪魔でも世界での行動を許可するとすれば良い。
その範疇を超えた場合は武力での排除も辞さないと天界と地獄に向けて名言するのだ」
ほう?今までの様に問答無用で悪い子を無秩序にお仕置きするのでなく境界線を明確にする法治世界にしてしまう訳ですね。
『でも限定的にしろ悪魔の行動を神が容認するのはかなり危険なのでは?』
「あー、そこは心配せんでも良い。
だってアイツらって多分、神の作った憲法なんて絶対に守らないからな。
そこを憲法違反と言う名目にて相手側の有責で神罰を与えると言った寸法じゃ。
それなら誰も文句は言わんだろう」
『なるほど?でも憲法ですか?私にはそうする意味が良く分からないです』
「ふむ?まあ、神の存在や命令そのものが現世の者にとっては大義名分になるのだから純粋な神たるお主が憲法の意味が分からないのは当然じゃな。
しかしな?お主が何をどこまで許容するのかを天界、地獄、現世の三大世界に向けて公言するのは大切な事じゃ。
実際にお主の考えがイマイチ理解されずに天界の味方からも破壊神などと言われたのじゃからな」
おおう、なるほど・・・要するに調和の女神版の「十戒」と言うやつですな。
「いや、今回は過去に現世に発布された神意の十戒よりもかなり現実世界に踏み込んだ憲法が必要となろう。
例えば「一般市民に対する略奪は神罰の対象となる」とかじゃな」
『ん?一般市民に対してだけですか?国に対しての略奪も全面的に禁止にするべきでは?』
「国と国に対して規制を強めると戦勝国による戦勝金の請求が敗戦国に出来なくなので一括りにするべきではない。
戦後復興に戦勝金は必要不可欠だし戦争に勝利して土地を得るのもある意味で略奪行為になるからな。
それを一律で全てを禁止にしてしまえば不満が出て大きな反発が生まれてかえって世界が混乱する事となる」
ふーん?でもさ?それってかなり細かい条項が必要な憲法になるのでは?めんどくない?
「でも最初にちゃんと細かくやっておかんと地球で起きた第一次世界大戦と第二次世界大戦後の世界の二の舞になるぞ?
戦勝国に都合の良い曖昧な表現の国際法なんぞ作ってしまったせいで戦後100年近く経っても国際法を管理するべき国際連合がほとんど機能しない間抜けな事態になっておるからな」
確かに地球の国際法なんて解釈次第で四方八方に抜け道があるものね・・・
「あーと・・・それから「小さな出来事で神は動かない」と明記する必要もあるな。
考えて見れば今までのお主は些事でも動いておったからな。
我々としては助かったが世界を統べる神の行動としては少々いただけなかったな」
うん?上に立つ者が積極的に真面目に働くのは良い事なのでは?
「デーモンロードとか存在自体で世界的な秩序が乱れる大物ならともかく悪霊や下位の悪魔の討伐など現世人の我らがやるべきなのじゃ。
何でもかんでも自分の運命を神任せにするのだけは絶対にやってはならん」
『えーと?それでは私は暇になってしまいますね?』
「主神など暇なくらいでちょうど良いのじゃ。
何に対しても神が全面的に出て来る世界は、己では何も考えられない、神が居ないと何も出来ない、連中を量産してしまうからな。
例えるなれば直ぐそこまで大きな台風が近づいておるのに住民全員が揃って神殿で神に祈っておるだけの世界になるのだ。
儂に言わせれば何でもかんでも神に祈って頼る暇があるのであれば台風が来る前に神殿の外に出て自分の家の前に土嚢の一つも積むべきなのじゃ」
『なるほど・・・色々と難しいのですね』
「それから天界から派遣されている龍やヘビモスの扱いを明確にする必要もあるな。
現在の龍とヘビモスはモンスターに対する認識が「ある日突然現れた怖い存在」だと思われておるのは大きな問題がある。
憲法により龍やヘビモスとは神の代わりに神意を実行する神の使いと明記する」
確かにただ単に恐れられているのと畏敬の念から恐れられているとでは大きな違いがありますね。
『なるほど・・・それから実際に憲法を作製するバルドルや真魔族の扱いはどうしますか?お仕事を丸投げする以上はお給料を渡さないといけないです』
パシリの第一人者としては無給で他者を働かせるなどあり得ないのだ。
「神にも給料の概念があるのは意外だったのぅ・・・
いや、混乱するだけなので神獣以外の種族の立場を別に憲法にて明記する必要はない。
と言うか、これから作る憲法の全てをお主が考えたものとせねばならない。
儂は、ここにおらぬ者として考えて頂きたい」
『手柄の横取りなんて嫌なんですけど・・・』
パシリの第一人者としては他者の手柄の横取りなんてあり得ないのだ。
「我慢しなさい」
つまりバルドル的には今回の事で特別な報酬は要らないと言う事ですか?
「神からの報酬なんて貰ってもかえって面倒になるだけなので何も要らん。
儂が望むのは世界の安定、種族の繁栄だけじゃ」
無欲ですねぇ・・・なんかバルドルが1番神様っぽいよね?
「お主達が難しく考えてるだけじゃな。憲法を利用して他の所でしっかり実利を得るから心配無用じゃ」
『うーん?やっぱりせめて加護くらいは・・・』
「ほう?お主からの加護とな?お主の名を教えてくれたらありがたく頂こうではないか。
それに加護とは言わず何なら儂がお主に従属しても良いのだぞ?」
おや?バルドルは割とハルモニアちゃんを信仰しているんですね?
『むう・・・だから教えられません。
それに観世音菩薩様の眷属ともあろう者が他の神族に従属するなど・・・色々と怒られますよ?』
「月の精霊王様はそんな狭量な方ではない。
月の精霊王様は我らを種族として庇護して下さっておるが個人の信仰についてとやかく言う方では無いな」
☆この月の精霊王の考え方が後に複雑な事態を魔法世界に招く事になる。
具体的には、凄く優しい月の精霊王に女神ハルモニアが妙に懐いてしまい仏道の大らかな宗教観に同調して、どの神が世界の主神なのか分からなくなる事態になる訳だね。
前からずっと気になってたんだけどバルドルって20世紀から21世紀の日本に住んでたんだからハルモニアちゃんの名前くらいは知っているよね?
てか、わたくしも含めて皆んなしてハルモニアちゃんの名前を呼びまくりだよね?
何でバルドルはハルモニアちゃんの名前を知らないなんて嘘を吐いてるの?
「無論、儂も地球においての調和の女神の名は知っておる。
地球で調律・・・ハーモニーの名を知らんヤツなどそうおらん。
しかしここで儂が言ってるのは魔法世界においての女神ハルモニアの真名じゃ。
調和の女神に儂の真名を押さえられている以上は儂もその調和の女神から直接名を聞かねばならん」
『もう・・・何も考えずバルドルの真名を私にバラしたマクシム君が全部悪いのに~』
あっそだ。もう一つ名前で思い出したんだけどさ?「バルドル」って光の神なの?
「うん????・・・これはいきなりじゃな?
・・・・・・・・それはもしかして北欧神話の「光の神、バルドル神」のことか?
儂の先祖は分からんが儂が知る限りは残念ながら儂と光の神とは縁もゆかりも無いのう。その件に関しては儂の両親に聞くのが早いじゃろうな」
『ええ?!バルドルにもお父さんとお母さんが居たんですか?!てっきりバルドルは魔法世界で自然発生した特殊生命体だと思ってました!』
「当たり前じゃ!!儂を何だと思っておるのか!
自然に発生って、吸血鬼が何処でどうやって自然に発生するのじゃ???
吸血鬼は畑で採れるのか?
破壊神とか言われて怒ったお主とて人の事をボロカスに言っておるではないか!
儂を突然変異生物のマクシム君と一緒にするでないわ!
儂を産んでくれた両親は今でもバリバリ元気じゃわい!」
「ん?俺か?俺の両親も元気だぞ?」
あれ?マクシム君?居たん?あまりにも静か過ぎて全然気がつかんかったよ。
マクシム君のお父さんって確か・・・カオス様じゃん・・・
「なぜ俺が居るのか?それはここは俺の執務室だからだな。
バルドルと明日の仕事についての打ち合わせ中にハルモニア様とメーティス様が乱入して来たのだよ。
俺はバルドルから言われた新しい物流計画の仕事の準備を徹夜でこなさんとダメだから話しが済んだらそろそろ皆んな退室してくれんか?書類仕事は1人で集中したいからな」
『仕事中にごめんなさい!』
「あっ、これは失礼しました。とりあえず全員解散!!」
その後、気になったのでバルドルの両親にバルドルの名前の由来を直接尋ねた所、「え?真魔族の名前でバルドルって割と多いですよ?へー?バルドルと言うお名前の神様も居るんですね?」との事でした。
なんでぇ。普通の名前だったのか・・・つまらん。
ちなみにバルドルのご両親は普通の一般家庭の吸血鬼で特に何か偉業を達成したとかは無かったです。
ご職業は地方診療所のお医者さんと看護師さんでした。
とまあこんな感じに話しが四方八方に脱線しまくりましたが魔法世界全体での憲法、大憲章が作成される運びとなったのだった。
一つハッキリと言えるのは「魔王が凄え面倒臭え提案を女神にした」と言う事です。
それから憲法の概念が無いハルモニアでは天使達に憲法の説明をするのが難しいので天使達との直接交渉もバルドルがやる事となった。
バルドルは働く魔王さんなのだ。
バルドルから世界の言葉(女神ハルモニア)が大憲章を持って世界を統治すると聞いた天使サキエルの反応は?
『なるほど?ところで憲法と法律って何が違うんですか?』と実に高次元存在らしい素朴な疑問が返って来ましたよ。確かに高次元存在に法律なんて必要ないですもんね。
簡単に言うと憲法とは世界のあり方やその世界に存在している国家権力の限界を定めた「世界の最高法規」であり、法律とはそれぞれの国の枠内で国民の具体的な権利義務や社会のルールを定める下位の法規です。
天使達への説明をした次の日から本格的な憲法の草案を作り始めたバルドルの元に・・・・
『それで大憲章の具体的な草案は完成しましたか?』と、火の玉ハルモニアがまた突撃する。
「幾ら何でも2日や3日のそこらじゃ無理ですけど?!お主は鬼か!!」
『バルドルなら2,3日でチャチャっとやってしまうのではないかと思ってました』
「・・・お主の中で儂はどんだけ頭が良く素晴らしい吸血鬼なのじゃ?
そんなの無理に決まっておろう。世界の根幹を成す大憲章の作成じゃぞ?
大真面目に憲法制定の流れを説明すると先ず草案の原形を作るのに必要な情報収集からじゃ。
真魔族の情報機関も各地の情報収集に動くが龍達にも協力して貰うぞ?」
『あい』
「・・・・・・・・ガラリと話しが変わるがお主のその「あい」と言う返事の仕方は凄く可愛いのう?その声でその返事を聞くと全身の力が抜けるのだが・・・」
『そうですか?私が住んでいる地方の方言なのですが・・・』
あっ、そうなのね。わたくしはてっきりハルモニアちゃんは甘えて「あい」と返事をしているのかと思いましたがヘスティアちゃんの庵がある地方の訛りなんですね。
『訛りが不快なら改めますが?』
「いや!めちゃくちゃ和むからそのままで!凄く・・・良い!」
そうですね。美少女の「あい」は凄く良いですね。とても癒されます。
どうでも良いけどバルドルって何だかんだ言ってハルモニアちゃんにベタ惚れしとらんか?
「逆に聞くが可愛い女神が嫌いな奴なんかおるんか?」
『そう言うものなんですね?良く分からないです』
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「うーん、さて・・・ここで一つ重大な懸案が・・・・・あー・・・気が進まんなぁ」
草案を考えて行く上で一つ大きな障害がある事に気が付いたバルドルがまた動く。
「非常に申し上げにくい話しなのですが・・・」
『なんですかぁ~?』
「天使達は魔法世界から出禁で・・・」いきなり天使達を魔法世界から出禁にしましたよ?!
『なんでですかぁ~?!?!?!』
「悪魔側にも何かしらのメリットがないと交渉がし辛く・・・
それから天使が居ると必ず対極の存在の悪魔も必ず湧く事も判明しておりまして。
世界から悪魔を排除したい我々としました大変憂慮する事態でありまして・・・」
『えっ?!・・・・・・・シクシク・・・』
これまた可愛い天使に泣かれてめちゃくちゃ気まずそうな魔王・・・そりゃ女の子に出禁なんて言い辛いよね。
ちなみにサキエルちゃんの容姿は12,3歳くらいの少女の姿をしています。
『これまで皆んな一生懸命に頑張ったのに~・・・えーーーーーん』
出禁宣言を受けてめっちゃギャン泣きするサキエル。
辛い・・・これは魔王も辛い。
「当然、今までの天使達の功績を讃える品物を幾つかご用意しています」
『ヒックヒック・・・天使の功績を讃える品物とは具体的になんですかぁ~』
一応彼女も天使をひきいる大天使の一柱・・・部下達の為にも、ただ世界より出禁にされる訳にはいかないのだ。
「我が領地で採掘されている「特級魔法石」を10個ほどご用意しています」
『・・・・・・・・・・・特級魔石・・・ですか?』
魔王からの提示に涙が引っ込むサリエル。
特級魔石・・・これは神族や天使にとっても非常に価値が高い品物である。
人間の価値に置き換えると特級魔法石一つで最高級レッドカラーダイヤモンド1ct(金額で言うと日本円で軽く一億円を超える)に匹敵するかな?
「・・・・・・・・・他には?」
かなりの高額なお詫び内容の提示だが一勢力の追放の代償と考えると、まだかなり弱い。これだけではちょっと部下に出禁の決定を伝え辛いサキエルなのだ。
「天界よりの贈り物で「オリハルコン100kg」を天使側に譲渡します」
『・・・・・・・・・ほう?』
特級魔石10個をジャブにして本命のオリハルコン100kgストレートをサキエルに叩き込む魔王。
オリハルコン100kg、これも神や天使にとって価値が高く、日本円に換算すると「約20億円」ほどの価値と思われる。総額して30億円ほどの心付けだね。
『・・・・・・・・・』めっちゃ考え込むサキエル。
今回は天使達が何かしらの被害を受けた損害賠償交渉ではなく「悪いんですけど~、これで手を引いて下さいね」の心付けの話しである。
そう考えると悪い話しではないし天使達の名誉も傷つく事はないだろう。
大きく傷つくとしたらオリハルコン100kgを供出する女神アテネの懐くらいなものだろう。
内心ではやはり出禁処置は納得出来ない所ではあるのだがここら辺りが妥協ラインだろう。
『分かりました~。不本意ではありますが天使達は魔法世界から退去します~。
でも悪魔達への対処はそちらでしっかりして下さいね~?』
「御理解頂きまして大変感謝致します!!!」
何とか交渉成立である。
しかしここからバルドルがとんでもない事を言い出したのだ・・・
「天使を追放するのに至りまして皆んなで地獄へ向けて大侵攻をします」
『ふえええええええええ?!?!?!』
あまりに突発的で予想外の魔王の地獄侵攻案に超ビックリのハルモニア。
「いやな?どう考えても一度は我々が地獄へ組織的な侵攻をせねばならんのだ。
ちなみにこれは決定事項なので皆んな準備よろ」
「「・・・バルドルよ?もう少し分かり易く説明して貰えるかな?」」
ここまでは黙ってバルドルの憲法の草案作りの手伝いをしていた地龍王クライルスハイムだったのだが、地獄へ侵攻ともなればさすがに一言物申さずにいられない。
と言うのも天国や地獄とは別次元に存在しているティーターン神族とオリュンポス神族が別次元の地獄へ侵攻するのは前代未聞なのだ。
これは完全なる越境攻撃である。
「どんな草案を作ろうにも我々には実績が足らんのだよ・・・考えれば考えるだけ「あれ?この大憲章って誰が認めるの?」との疑問しかないのだ。
それに我々が天使に代わって悪魔を抑えれる所を天界に証明をせねばならない。
今のところ、我々はただの口先番長だからな」
「「・・・確かにそれはそうね・・・わたくし達って魔法世界に来てから神獣らしい事を何もしてないわ」」
バルドルの言葉に妙に納得する海龍王アメリア。
「「確かにな・・・魔法世界に来てから竜の育成や拠点作りと情報収集に修行と勉強しかしてないものな・・・」」
魔法世界に来てから一度も誰とも戦ってない事に気が付いた天龍王アメデ。
「「そうだのぅ・・・我など趣味の飛空挺の研究以外は具体的に何もしとらんわ」」
「「ベヒモスも世界各地の湖で淡水魚の養殖作業しかしてなかった・・・」」
魔王バルドルの指摘に会議に集まった龍とベヒモス達がサワサワとし始める。
まあ、どれも世界の統治に必要な作業ではあるものの、今のところは「お前達、ここまで何をしに来たん?」状態なのだ。
『え?確定事項なんですか?』
これから女神ハルモニアは「黙示録世界」のお仕事に突入するのだ。




