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懲罰委員会。

自分が赴任した魔法世界が神々の一方的な思惑から「焼却処分」されると悟った調和の女神ハルモニア。


その事で彼女は怒った・・・そりゃあもう、めーちゃブチ切れました。


そんな彼女の取った怒りの行動とは?


他の神から貸し出されていたSSSランクの神獣、「龍」と「ヘビモス」をぶん取り魔法世界をヴァン神族から「乗っ取ってしまいました」


通常なら「はあ?世間知らずな小娘が勝手に世界の主神を自称しているだけだろ?

龍もヘビモスも乗せられて馬鹿だな」と鼻で笑われて終了なのだが彼女の場合はそうはならない。


それは彼女こそが宇宙の摂理の根幹にダイレクトアタックする特殊神技「確定調和」の使い手だったからだ。


これはどんな邪魔が入ろうがどんな道を辿ろうとも最後はその結果に到達する・・・そんな神技なのだ。


確定調和を使われた以上はいかなる存在(確定調和の根幹である原初神ヌンを除く)でもこの結果を覆えす事が出来ない。


なので、オリュンポス神族、ティーターン神族、ヴァン神族、ヴァナディース神族、アース神族などの天界での主要神族は強制的に対応を迫られる事となり上へ下への大騒ぎになっている。


特に女神ハルモニアが所属しているオリュンポス神族は各神族から来る猛抗議の対処にてんやわんやになっているのだ。


オリュンポス神族の長である大神ゼウスは他の神族の手前、早急に女神ハルモニアとその関係者を処罰する必要に迫れたのだ。

そんな理由から天界では急遽、女神ハルモニアに対する懲罰委員会が開催される事になった。


大神ゼウスの居城であるオリュンピア城に集まった神達に向けてゼウスが重々しく口を開く・・・


「女神ハルモニアに経験を積ませる為に世界終焉の「調査作業」をやらせようと彼の地に派遣して僅か1か月足らずで天界に向けて「乗っ取りの宣言」か・・・アテネよ?なにか言い訳があるなら聞こうか?」


うわぁ怒ってる・・・わたくしの旦那さん(ゼウス神)も怒ってますよ~。


おや?それにしても調査作業とな?

世界終焉の調査作業とは「世界の終わらせた方が良くね?との意見も出ているけど実際の所はどうなん?ちょっと調査した方が良くね?」である。


本当の終焉作業の前の前の段階の調査で、この調査の結果を見てから神族間での予備会談を行い賛成得られたなら天界元老院に終焉案の議案を提出。


そこから本会議にて終焉には具体的にどんな方法を取るのか?どの種族を保護するのか?どの種族を滅ぼすのか?などの具体的な議論を交わし裁決を取り元老院議員の賛成が過半数を上回って初めて本作業に入ります。


世界の終焉とは日本の憲法改正並みにめーっちゃ面倒臭いプロセスを経て遅々として進まない作業なんですよね。と言うか、今までも各神族の思惑が渦巻く本会議で賛成多数になる事はほとんどありません。


女神ハルモニアは即座に世界が終焉を迎えると盛大な勘違いをしてますが時間的な猶予はまだまだあった訳です。なので幾らでも挽回の道筋はある訳ですね。


そしておそらく「荷電粒子式岩石蒸気砲」なんて使われません。

アレは古代の「ネタ兵器」で実際に稼働するのかすら定かではありません。

多分、わたくしと同じアンポンタンが考えた「この俺が考えた最強兵器」の類いじゃないですかね~。

なんかわたくしと同類の匂いがするんですよ。

使った瞬間にいきなり自爆とかするんじゃないですかね?

そもそも、わたくしの計算だと世界を覆い尽くすレベルの岩石蒸気を発生させる為には機動城塞コブレンツを衛星軌道上まで持ってくる必要があり撃った瞬間にコブレンツも丸焼けです。



現時点で天界は魔法世界を滅ぼす気など無かったと分かった所で話しを懲罰委員会に戻しましょう。



「言い訳とは?」弁明する気がまるで無しの女神アテネ。

うーん?娘よ・・・お母さんも貴女が何を考えてるのか分からないです。


「お前は女神ハルモニアに世界の終焉についてどの様な伝え方をしたのだ?

ハルモニアのこの過剰な反応は何なのだ?仮に終焉を迎えるにしても彼の地に住む者達の移住の為の猶予期間は充分に取る事などは伝えたのか?」


どうやら天界による魔法世界の滅亡計画(実際は計画段階ですらない)は問答無用でいきなり焼き払うのではなく、魔法世界に住む住人達の避難も含めてかなりの時間的な猶予があったらしい。


天界的に今回の女神ハルモニア派遣には終焉作業の前段階、万が一が起きた場合の移民の受け入れ先になるであろう神族との予備調整や現地住人の事前の説得や避難計画の作成などの事務的な作業を期待していた様子だ。

幾らなんでも中学1年生くらいの女の子に「世界を焼き払えー!」なんて非情な任務を与えません。


それがまあ、突然「お前らふざけんな!それなら私が貰う!」と来たものだから天界も訳が分からず驚いたのだろう。


「ゼウス?天界による世界の終焉など、この30万年以上行われておりませんわ。

当時まだ産まれてもいない女神アテネに全ての責任を負わせるのは理不尽です。

それに責めるべきは女神アテネへの教育を怠っていた父親の貴方と母親の知恵の女神メーティスです」


ええ?!わたくしも?!義理の母のガイア様が辛辣?!

いや・・・まあ・・・確かにアテネちゃんに世界の終焉について教えてませんでした。すみません。

だって直近の天界による世界終焉なんてわたくしが子供の頃ですよ?

おー?大人達がなんかやってんなぁ、としか覚えてません。いえ、はい、言い訳ですね。


勘違い女神ハルモニアによる天界への謀反の報告を受けて尚且つ母親からも叱責された大神ゼウスも渋い表情だ。

当然ながら彼の地に経験の浅い女神ハルモニアを派遣した直接の上司、女神アテネを糾弾する声は止まない。


「うふふふふふ。わたくしから申し上げる事は何も?わたくしへの処分なら御存分にどうぞ」

従属神のハルモニアから見事に裏切られた形の女神アテネだがいつもの「邪悪な笑み」を浮かべるだけだ。


「女神アテネの責任はともかく、

はあ・・・わたくしが手塩にかけて育てた可愛い海龍達とヘビモス達が調和の女神に取り上げられてしまいましたわ。とても悔しいですわ」


「本当に困った子ですね。慈悲の心で地龍王ベルリンを天界に帰還させた次の瞬間にコレですか」


「あー、困った困った。私ったら女神ハルモニアの謀反直前に天龍を彼の地に追加派遣しちゃったんだよねー」


女神ハルモニアに眷属を奪われた、女神ティティス、女神ガイヤ、女神ディオーネは表向きには女神アテネと女神ハルモニアを痛烈に批判しているが本気で怒っている様には見えない。


「ハルモニアちゃんを養育していたこのヘスティアも処分は免れませんね」

子の責任は親の責任。女神ヘスティアは堂々とした態度にて天界からの罰を甘んじて受けるつもりだ。真なる天然は責任感がとても強いのだ。


「それで?アテネよ。どこまでがお前の計画だったんだい?」

今日はいつにも増して鋭い眼光の女神デメテル。


これが今回の懲罰委員会のメンバーである。

本当ならここに海王ポセイドンも居たのだが会場に入り女神ティティスの姿を見た瞬間にあからさまに不快な表情を浮かべて無言で退室してしまった。


かなり昔に彼は彼女にボコられたので一緒の部屋に居たくないのでしょう。

この他のオリュンポス12神は出張中で不在です。


いやでもこの件でハルモニアちゃんのお母さんのアフロディーテちゃんにわたくし怒られませんよね?この件でわたくしは何もしてませんよね?

ただでさえアフロディーテちゃんから殴られそうな案件が多いのにこれ以上増えるのはキツイっす。


ちなみにアフロディーテちゃんの「殴る」は実の所で肉体的には全然痛くありません。

でもギャン泣きされながらポコポコされるので心には盛大な傷を負うんですよ。


「あら?デメテル様、わたくしの計画とは何の事でしょうか?」笑みを深める女神アテネ。


「ふん、惚けるでないわ。ハルモニアがお前を裏切って暴走する事までもお前の計画の一部だったんだろう?

ハルモニアが「確定調和を使えば」元老院議会の決定など簡単に覆せるからな。

その上でお前が黒幕として全ての責任を被るつもりだったんだろ?

全く・・・お前の策略は遠回り過ぎる、素直に「魔法世界を救済して残して欲しい」と我らに言えば良かったろうに・・・」


「・・・・・・・変な事を仰いますね?・・・軍神たる「私」にそんな甘い慈悲があるとでも?あの混沌まみれの世界が私にとって何の価値があると?」


駆け引きも無くいきなり女神デメテルに己の心の核心を突かれて「邪悪な笑み」が消える女神アテネ。

一瞬で頭に血が昇ったのか個人称も「わたくし」から「私」に戻った事に気がついていない。


「やっと怒ったか?若い時はそれくらい感情的で良いのだアテネよ。

お前はまだ若い。例え彼の世界に価値や慈悲が無くとも「友への思い」は強かろうて。

策略など練らずに素直に「あの世界を助けてくれ」と言えば良いのだ。この中にお前の敵はいない」


「・・・・・・」


「両名そこまでだ。これより天界より最終処分内容を伝える。

神罰対象の女神ハルモニアへの監督不足及び教育不足と部下への命令失敗の責任で女神アテネと女神ヘスティアには「それぞれの自宅への幽閉300年(人間に例えると約4ヶ月)を命じる。

女神ハルモニアには「彼の世界の救済が成らずの場合」は天界を混乱させた罪を再度問い禁錮10000年を命じる。

それから直接的な損失を被った女神ティティス、女神ガイヤ、女神ディオーネへの保証金として女神アテネと女神ハルモニアへの報酬の全額を割り当てる」


こんな感じに大神ゼウスより正式な処分内容が通達される。


あれ?禁錮10000年?禁錮100万年を喰らってるどっかの誰かさん比べたら全然大丈夫じゃん?

世界救済に失敗しても大丈夫。たかが、わたくしの100分の1じゃん。


「メーティス!お前はもう少し反省せんか!」


あい!すみませんです!・・・・・・・・・ちっ地獄耳め。聞こえてたんかい!


「あら?わたくしは何百年お給料無しになるのかしら?」


「何百年の話しじゃないよ?

龍とヘビモスの1体につき、大体君達2人の給料1年分だからね?

単純計算で5826+1527年間は給料無しだよ(人間に例えると7年以上は報酬は無しかな?)」


「あらまあ、これは大変」


「アテネ・・・全然大変そうに見えませんわよ?本当に腹黒いですこと。

まぁ・・・この辺の罰金刑で手を打ちましょうか。それでいかがですか?ガイア様?」

アテネのわざとらしい言動にため息をつく女神ティティス。

どうやらこの罰金刑が本命の刑罰だったらしい。


「そうですわね。それからアテネには謹慎期間中は「イージス」を宝物庫に自主返納して貰います。よろしいですねアテネ?」


「・・・・・・・分かりましたわ。イージスとイージスシリーズを宝物庫に返納しますわ」


神器「イージスの盾」は女神アテネのシンボルである。

そんなアイデンティティを短期間とは言え天界に返納させるのはプライドの高い神にとっては十分な罰となる。

「私は深く反省しています」と他の神族へのアピールにはなるだろう。


しかし全体的に見ると女神アテネと女神ハルモニアへの罰自体は起こった事象に比べて破格に軽いものとなったのだった。


「それにしてもゼウス?こんな軽い処分で他の神族から反発されないかしら?」


「そこは我が各神族を回って頭を下げまくれば何とかなりましょう。

それより・・・・問題はこれからだ。ここより先の失態は全てハルモニアの責任となる」


大神ゼウスは今回のハルモニア謀反を大して問題視していない。最悪、自分が全ての責任を取れば良いだけだからだ。

それよりも自分から存在を賭けて渦中に飛び込んだバカな孫娘が心配でならない。


外部からは自己顕示欲の塊と称されているゼウスだが実の所は権力には全くもって固執していない。

なので他の神に頭を下げる事くらい何とも思っていないのだ。

むしろ自分が頭を下げて問題解決するなら安いモノと感じているくらいなのだね。


かつて起きたとされるティーターン神族内の権力闘争「ティーターノマキアー」もゼウスのお父さんのクロノス様がいつまで経っても為政者としてやる気の出さない息子に発破を掛ける為の擬似戦争だったんですね。


その証拠にティーターン神族の長は、盛大にゼウスに敗北したはずのクロノス様ですからね。


「確定調和が発動したので「魔法世界の再始動計画」は全面的に凍結。

混迷している世界情勢のまま事態を収集して世界を存続させなければなりませんね。

・・・わたくしでもかなり厳しいのにハルモニアに出来るのでしょうか?」

女神ガイアも曾孫のハルモニアが心配でならない。


「その相談の為に皆をここに集めたのだ。

そしてここからは父としてのボヤキになるが・・・

アテネよ・・・フレイヤとの話し合いはもっとしっかりとな。

我から見ても友との意思疎通に齟齬があるぞ?」


「!!!!!!・・・はい、すみません」


「友達の女神フレイヤが一生懸命に作った魔法世界を何とか守ってやりたい」との娘の秘めた思いなどお見通しの大神ゼウスなのだ。


「それよりも地龍を使った武力行使はそれこそ大地を海に沈めて世界を滅亡させますわ。

戦闘は「女神ハルモニアを守る場合のみ認める」と私から地龍に制限をかけましょう」


「それから謀反人に正規の神の応援を出す訳にいかないので代わりに龍達を追加しましょう。

海の敵に対して威圧を高める為にもヘビモスより海龍を重視して追加派遣しますね」


「世界を制圧する為には最終的に今の「3倍」、総数15000体の龍が必要となるでしょうね。

それぞれ追加で3000体の龍を準備をしないとね。・・・あーあ・・・これは幼龍までかき集めないとダメかな?」


女神が龍を生み出せると言ってもせいぜい5000年に一体程度である。

その為に10000年に一度、番の龍2体を生んで後は自然に任せて繁殖して行くのを待つ。


簡単にそれぞれ3000体を追加で派遣するとは言ってるが、これから根本的な眷属の配置の変更に個体毎の選抜作業と実際の労力は莫大である。


何より龍の追加派遣後は自分が使える眷属の大半が居なくなり苦労する事が必至である。

神とは言え「眷属を無限に生み出せる」そんな都合の良い話しなどないのだ。

3女神の苦労は始まったばかりと言う事だね。


「無駄に謀反宣言なんかするから・・・私が応援に行けないじゃないか」

ハルモニアを助ける為に今すぐ魔法世界に飛んで行きたい女神デメテルは「グギギギ!」状態である。


「お姉様・・・あの子が自分で選んだ道ですから仕方ないですね・・・」


「・・・今回ヘスティアはやけに落ち着いているな。らしくないな」


「うふふふふ」


実の所で女神ヘスティアは既に「宇宙で最大最強の切り札」をハルモニアの所に送っているのでそこまで心配はしていない。


そしてその「宇宙最強の切り札」は女神ヘスティアの期待通りに天界の想像を遥かに超える援護射撃をこれから敵にかましてくれるのだ。


「子供達の尻拭いをするのも大人の役目だからな・・・それぞれ個別の裁量で支援を頼む。

他に外交的に出来る事がないか我からも各方面に探りを入れておくとしよう。

それから正規の神の派遣は無理でも「亜神」の派遣は可能にする方向に動く。

最後にアテネは何か言いたい事はあるか?」


「・・・・・・・・・お父さんのばーか」


「謝罪じゃなくてそんな事が言いたかったのか?!お父さんはバカなのか?!」


「すみません」くらいの謝罪の言葉くらい出るとおもい話しをふったのだが、これにはさすがに驚いたゼウス。いや、わたくしも驚きましたわ!


「ふーんだ」

自分の思惑など全てお見通しだった大人達を見て自分はまだまだ子供なんだなぁ・・・と思う女神アテネだった。

そう思った女神アテネは・・・・・・・・仮初の「優雅なる高位神」の仮面を捨てて見事なまでの父への反抗期に突入・・・やさぐれました。



娘よ・・・・・・・・・・・・・・・・なんでそうなるん?!



「・・・・・・・・はあああ~・・・メーティスよ。後で話しがある。家族会議だ」


あい。わたくしも娘の育て方を間違えたと思いますわ。

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